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厄介だ 魔道士キラーか その剣は

「その剣は!」


 リックの顔が青ざめている。

 確かに非常にヤバい剣だと予想出来るが、そんなに何か曰く付きの剣なのか?


「あの剣は王宮の宝物庫に在る筈です。何故それを伯爵の手下が?」


 リックの言葉を受けてガストンを見ると、申し訳ない様な表情を浮かべる。


「詳しくは分かり兼ねますが、あの剣は半年程前に入手した様です。それ以前には有りませんでした」


「そう言えば宝物庫からあの剣を持ち出せる、あちら側の人物が1人だけ居ましたね」


 確か現国王の叔父に当たるが王位継承権を剥奪された王族、ゲイリーか!


「番の者に上手く言って持ち出したのでしょう」


 となると、少なくとも半年前には計画を実行に移していた訳か。


「リック、あの剣は一体?」


「あの剣はファバージと言いまして、あらゆる攻撃魔法を無効化出来る剣です」


「魔法を無効化?」


「ええ。あの剣の前ではどんな魔術師も普通の人となってしまいます!」


 何だってそんな剣が存在するんだよ!


「戦闘に於ける優位性はどれだけ優秀な攻撃魔法の使い手を揃えられるかで決まります。あの剣はそれを覆す為に制作された剣です」


 なるほど、魔術師をズラリと揃えたとしても、魔法を無効化されたら戦術が大きく狂う訳か。

 主力に考えていたのに使い物にならないんじゃ、勝てる戦も勝てないからな。

 

「しかし剣による斬り合いで生じた血の池を目の当たりにした王族が封印したと聞いています。魔法による戦闘の方が人的被害が少なかった様です」


「最前線に出ていた王族が居たんだ」


「元々、王侯貴族は戦場で効を成してその地位を得ましたからね。エイジ、あまり話している時間的余裕は無い様です!」


 暗がりから剣士がゆっくりと近寄って来る!

 その姿が見え、凝視する。鎧は着ておらず全身黒尽くめの軽装だが、その身体から溢れんばかりの凄い殺気だ!

 顔は仮面で隠していて判らないが、雰囲気が不気味な事は確かだ。

 先ずは魔法が無効化されるのかを確認しなくては。


 「ホントかどうか、実証させてもらうぞ!」


 先ずはサッカーボール大のファイヤーボールを1発放つ!

 その剣が噂倒れなら黒焦げになる筈だ。


 だが奴がその剣を一閃すると俺の放ったファイヤーボールは真っ二つだ!

 気持ち的には「中々やるな」と「ヤバいかも」が半々と言った感じだ。


「ならば、弾が小さくなったらどうだ!」


 今度はマシンガンをイメージする。1発1発の弾は小さいが、この連射は剣で対抗出来る訳が無い!

 

「なっ!」


 今度は剣で切っていると言うより、俺の魔法は奴の間合いに入ると剣に吸い込まれている様に全て剣で対処された!

 構えているだけでそんな事が出来るのか!


「ならば風の刃だ!」


 本当に魔法が消えるのか試させてもらう。

 風は剣では切れないからな。今度は風魔法だ!

 無数の風の刃に奴を襲わせるが、本命は別に有る。


「からの大地の牙だ!」


 今度のは、ケツに挿すだけなんて手加減はしない。串刺しにするつもりで強力なのを出す!


「無駄だ!」


 あの男が初めて喋った。あの風貌から予想通り、まるで地の底から響く様な低い声だった。

 そしてその言葉通り、風の刃は奴の間合いで消え、大地の牙に至っては発動すらしなかった。


 魔法を無効化出来る剣を持つ剣士と魔道士の対決。

 普通に考えれば魔道士である俺に勝ち目は無い。

 ジャンケンでチョキがグーにはどうやっても勝てないのと同じで。

 俺がチョキしか出せないのであれば、相手にパーを出させない様にするしかないな。


「お前、名前は?」


「すぐに死ぬ者に名乗ってどうする?」


「そうだな、化けて出る時に必要かもな!」


「それは御免被る」


 冗談に乗ってきた。多少は見所が有るかも。

 こうしている間に何とか、負けないでこの戦闘を終わらせる方法を考えなければ!

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