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伯爵よ あんたも好きねぇ いい年で

 突っ掛かって来た部隊は殲滅したが!伯爵軍の本体はまだアベニールを取り囲んだままだ。

 ドカンと派手に打ち噛ましたい所だが、狙いが少しでも狂えば町に影響が出かねない。


「こう構えられると攻め難いな」


「こちらは少数。真っ正面ではなく、いっそのこと本陣に入り込み伯爵本人を捕らえますか?」


 確かに。指揮系統を奪ってしまえば軍としての機能は失われる筈だし、死者が少なくて済む。

 問題は伯爵本人の居場所と、どう入り込むかだな。


「エイジ、伯爵軍の集中力を削ぐ魔法は何か有りませんか?


「それは有るけど」


「ではそれを使いましょう。伯爵軍が気を取られている間に近付きます。その後は」


 リックは言い掛けて四天王にチラリと視線を送る。


「なるほど。四天王を使った陽動作戦だな!」


「ええ。尤も最初はエイジが、如何にも遠くから魔法を使っていると思わせるのが良策かと」


「遠くからの攻撃だと見せ掛けるのか?」


「はい。遠方からの攻撃の際に人の出入りの多い所、そこに伯爵本人は居る筈です」


 すぐそばに敵が居れば部隊毎にその場の判断するだろうが、敵が遠くなら状況報告と指示を仰ぐ為に司令部の人の出入りが激しくなるっていう訳か。


「なるほどリック、それで伯爵本人の居所が判明したら四天王による陽動作戦を行い、その混乱に乗じて俺とリックで乗り込む訳だな?」


「いえ、僕だけです。エイジはここで魔法を放って下さい」


「しかし危険だぞ!」


「ここは僕の見せ場にして下さい!」


 余裕ができた出来たのか、リックは爽やかにニッと微笑む。

 いつも思うのだが、リックのその爽やかさは俺に対しては必要無いから!


「恐れながら申し上げます」


 四天王の風魔法の使い手、フーが畏まって発言の許可を求めている。

 何か気になる事でも有るのか?


「伯爵軍にも魔術師が居ると思われます。その者との戦闘になった場合、陽動作戦は難しいかと」


 確かに正面切って戦うのであれば、ある程度は相手に集中力を注がなくてはならないだろうな。

 だが、コイツら四天王を腕の立つ相手とじっくり戦わせる事は効率が悪い。

 陽動作戦なんだから、もっと派手に暴れてもらわないと。


「お前らは戦おうなんて思わなくていい!兎に角、引っ掻き回すんだ!手強い相手が居れば目眩ましの魔法を使いつつ回避しろ!それはそれで陽動作戦になるから心配は無い!」


「御意!」


 段取りは決まった。後は伯爵軍全体の集中力を他所に向けさせる作業に入らなければ。

 俺は二段階で広がる打ち上げ花火を打ち上げる。

 我ながら綺麗に打ち上がった!

 

「伯爵軍には勿体ないですね」


 まさにリックの言う通りなのだが、綺麗ではあるけど何か弱い気もする。

 もっと兵士たちが食い入る様に見る物ってなんだろう?

 伯爵軍兵士のニーズを考える。

 家族とは長期に渡って離れて暮らし、ここ数日は町を取り囲んで野営を続けている男達。


「そうだ!」


 兵士は皆むさい男だ。それも禁欲生活を続ける。絶対に食い入る物を思い付いた。


「エイジ、何を?」


「餓えた狂犬にエサをチラつかせるのさ!」


 元の世界で、夏の夜にショッピングモールで見た事がある。

 名物となっている噴水が織り成す水のカーテンをスクリーンにして、芸術的な映像を客にサービスするイベントを。

 俺が見た時はバレエとかを取り入れた正に芸術的映像だったが、ここでバレエを見せても意味は余り無いだろう。

 そこで、セクシーな映像を流す事に挑戦する!



「エイジ、かつて無い程の集中力ですね」


「話し掛けないでくれ」


 近日中では間違いなく最高に集中力を高めて光魔法の応用で映像を流せないか試してみた。

 その結果として手応えを掴んだ!


「さぁ、餓えた狂犬どもよせいぜい食らい付くが良い!」


 さて、その手の映像ならばレパートリーが豊富なこの俺が厳選した取って置きをイメージして、水のスクリーンに映し出す。

 本物のスクリーンではない分、出力高めで光魔法を放つ!

 黒く長い髪、あどけなさの残る健康的な笑顔、それに似つかわしくない豊満な身体!どうやら伯爵軍は釘付けのご様子。

 まだ水着にもなっていないが、これでもかと言わんばかりに胸を強調した映像だ。


「ゴクリ」


 生唾を飲み込む音がしたが、おい! 四天王まで釘付けになってどうする!

 このAVなら早送りするシーンでも、見た事の無い連中には貴重な体験なんだよな。

 この後は笑顔が消えて、恥じらいながら服を脱ぎ捨て下着姿を見せる。

 

 その間にリック達は伯爵軍の陣中に入る事に成功した。

 通信用にとリックに持たせたプチゴーレムを通してリックの周りが見えるが、見張り役なんて1番の良席で見入っている事がこちらから丸見えだ。

 

「もうすぐ胸チラからの手ブラだ!」


 リックたちは陣中のかなり奥まで行った。予想を上回る食い付きなのか、誰1人として気が付かない。

 何人かの兵士を見たが皆、呼吸を忘れるくらいに見入っている!

 問題はどこまで見せるかだな。このまま見えそうで見えないを続けるか、いっそのことサービスしてやるかで悩んでいると、プチゴーレムを通じて慌てている声が聞こえる。


「落ち着き下さい、閣下!」


「ワシにも見せんか!」


 周りに数人の兵士を引き連れて、年の割にシャキシャキ動く年寄りが出て来た。

 ここで閣下なんて呼ばれる人間は1人しか居ない。

 コイツがエリクソン伯爵本人に違いない!

 向こうから出て来てくれるなんて探す手間が省けたってもんだ。


「これが魔道士の力か!」


 映像では胸を隠していた手を外すが、今度は前に降ろした長い黒髪でバストトップが見えない!

 自分で映しておいて何だが、焦れったいな!


 

「おお、素晴らしい!」


 この評価は俺?女優?

 まあいいや。サービスしてやるか。

 

「ちょっとだけよ!」

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