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戦って ビジネスモデル 閃いた

 村の中心では異様な光景が広がっていた。

 村人が一塊に集まっている。その中心にいるのはリック。

 村人達を囲むように20人くらいの盗賊が立っているが、村人には手を出さない。

 正確には出せないのだ。

 リックは光属性の魔法の使い手。そしてあれは、光魔法による結界! なのか?


 魔導書も属性別では土属性しか詳しくは読めていない。

 あとは斜め読みなので詳しくは知らないが、多分そうだろう。


「ステラ、これから見たくない物を見る事になると思う。護衛のゴーレムを作るからソフィの所に行って、付いていてやって欲しい」


「何を言っているの!私は村長よ!見届ける義務が有るわ!」

 勧告したつもりだが、ステラは強く反発した。村長の責任感は評価するけど、これで戦い方が限定される。

 

 自分でも節操ないと思うが、昨夜の事も有るのでステラが見ているならば、勝ち方に拘りたい。

 親子丼が望めるのならば、あわよくば。

 

 さて、どうしたものかと思ったが、リックが結界を敷いているのなら、俺の魔法のコントロールが多少悪くても村人達に影響は無いだろう。

 何の魔法にしようか迷っていると、

「まだ村人がいるぞ!」

 盗賊が俺達にようやく気が付いた。

 ここはステラに派手なのを見せてやるか!

 俺は熟読はしていないが、見た目が派手な火の魔法を試してみる事に決めた。


火球(カキュウ)!」

「ファイヤーボール!」と言おうか迷ったが、敢えて漢字の音読みを採用した。意味が分からない方がカッコイイと思ったからだ!

 

 魔法を発動させる瞬間、火球とは地球に到達した隕石が大気との摩擦で燃えた状態の事、だと思い出す。

 本物の火球を1回だけ見た事がある。

 あれば建設会社で施工管理をしていた時だった。辺鄙な場所の現場には夜明け前に車で家を出ないと間に合わない。電車も動いていない時間だ。

 東の空が薄らと明るくなってきた頃、それは突然来た!

 車のフロントガラス越しに青白い様な、オレンジ色の様な光を放ちながら空を一直線に飛んで行く火球を見た。

 後にネットニュースで、それは火球で太平洋に落ちたと知ったが、あの神秘的な光景は忘れる事は無いだろう。


 と、一瞬だけ火球の事を思い出すと、それは現れる。

 火球だ!


 あの時と違う事は、空の明るさと火球の飛距離だ。

 太平洋まで行ったあの時とは違って、火球は近くの山に落ちた。


 火球は燃えた隕石!

 俺の魔法であの火球が発生したのであれば、その元になっている隕石が何処からどうやって来たのかは知らないが、隕石が落ちれば衝撃波が来る。


 ゴゴゴォォォ!!


 そして実際に来た!


 予想以上の砂埃が立つ!全てを飲み込む砂埃の大波が襲って来る。

 このままでは埃塗れになってしまうだけではなく、呼吸にまで支障をきたす。ステラまでそんな埃塗れは出来ない。

 咄嗟に見様見真似でリックの様に結界を張った。これで大丈夫だと思う。


 砂埃の大波に飲まれるが、結界は成功だ!結界の外は凄い砂埃で視界はゼロだ!

 衝撃波をやり過ごす間は、他を気にする余裕は無かった。



 治まった事を確認して立ち上がると、衝撃波で飛ばされたのか盗賊はほとんどの者が倒れている。気絶した様だ。

 

 村に目をやると、いくつかの家が全壊、或いは一部損壊となっている。

 壊れた家の皆さん、ごめんなさい。


 残りの盗賊は5人か。全員が立ってはいるがフラついている。

 今度は確実に土属性魔法で決める。

「出でよ、ゴーレム!」

 俺はゴーレムを5体作り、それぞれ盗賊の相手をさせる。ゴーレムは、力強いし、痛みも疲れも感じない!

 おまけに、椎名さんの魔導書によれば、強い魔力を込めて作ったゴーレムは自己修復機能が有り、30年は動くそうだ。

 あっという間にゴーレムにより盗賊は制圧され、動ける盗賊はいなくなった。

 本当にゴーレムって便利だ。

 

 そうだ!ゴーレムをトラクターや重機の様に働かせれば農業や建築土木、その他いろんな事がこの世界での技術革新になる!

 指先を使える様になれば、産業ロボットの様になるかも!

 この世界では誰もそんな事を考えていない筈だ!


 このソマキの村から世界に打って出るぞ!

 椎名さんの魔導書のお陰でゴーレムはいくらでも作れる!


 金と地位と名誉と、若くて美しい嫁!


 今までの生活とは真逆だ!


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