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レイス領 飛んで行ったら すぐだった

 自分自身には強化魔法を使った経験が有る。

 戦闘とかではなくてクレアとの夫婦生活。とどのつまりは夜の営みにしか使った事が無い。

 こんな事に、しかも股間だけの局所的に使うなんて流石の、偉大なる伝説の大魔道士の椎名さんも想像出来なかっただろうな。

 すみません。こんな同郷の後輩で。


 クレアとの夜は1度で終わる事がほぼ無い!

 俺は自分自身の性欲は弱くないと思っているけど、それはクレアにも言える。

 妻のクレアはお淑やかに見えて実は結構、2回戦、3回戦を求めてくる事も有る肉食系女子!

 そんな何度もしたい時、2回戦までは自信が有るが、3回戦が不安な時には局所的に身体強化魔法を使った!

 ドーピングみたいで気が引けるが、クレアの恥じらいながらの要求(おねだり)には応えてやりたい!


「ニヤニヤしてどうしたの?」


 ミラからの冷めた視線が刺さる様だ。

 そんなにニヤけていたのか?


「いや、別に」


 確かに胸は無いが、細身の身体をくねらせる姿が悩ましいクレアを思い出していたなんて言える訳も無い!

 やっぱりアベニールに帰ろうかな?


「エイジ、今すぐにレイス領への出発準備をしましょう!」


 ですよね。

 リックの言葉に力が入っている!

 今さら妻が恋しくなったなんて言えない!


「そうだな。リック、ディック、それにミラは支度を。残りは置いて行く。アルフレッドは悪くはしないだろう。」


「エイジ、本当にこんなに大勢を乗せられる様になんて出来るの?」


「ミラ、今までだってエイジは有り得ない魔法を使ってきました。信じましょう!」


 リックなんか信じきってるよ。ダメならワイバーンのせいにしようと思っていたけど、こりゃ失敗出来ないな。


 そこからの行動は早かった。

 部屋に籠もっているトニーに事情を説明し、代官所に向かいアルフレッドに事情を説明した。


「父がアベニールを攻めているですって?」


「そういう訳です。我々はレイス領に赴き、直ぐにアベニールに向かいます。女子供と老人は置いて行きますので、アルフレッド様に保護をお願いしたいと思いまして」


「心得ました。父の愚行、重ねてお詫び申し上げます」


「頼んだぜ、アルさん!」


「任せてくれ。そして親父を止めてくれ、エイッさん!」


 敢えて初めて会った時に、お互いに酔いが回った時の話し方をした。

 何かが違えば、良い友人として付き合えたかも知れない。

 いや、まだ遅くないかも知れない。

 そんな事を思いながら熱く握手を交わして別れた。


 宿屋に戻り、エリスとローラに言っておく事が有る。


「エリス、お前がリーダーだ!何かあったらトニーに相談してお前が決断しろ!」


「私ですか?」


「そうだ。ローラは副リーダーとしてエリスを支えてくれ!」


「畏まりました。旦那様!」


 エリスも前よりかは周囲とコミュニケーションを取る様になった。

 不安が無い訳では無いが、環境が人を育ててくれるだろうと思う。

 これで何とかレイス領へと飛び立てる。


「準備は?」


「万全です!」


 リックが先ほど俺に掛けた落ち着かせる魔法はワイバーンにも効いたらしくて、今はワイバーンも暴れないそうだ。

 と言う事は、俺の魔法も効く筈だ!

 俺はワイバーンに向き合うと、大人数を乗せてもへこたれず、力強く大空を飛ぶワイバーンをイメージして強化魔法を掛ける!

 気持ち良くイメージを膨らませる為に、「翼を広げる」とか「空を飛ぶ」みたいな歌詞の歌を脳内再生して。


「行くぞ!」


 翼を力強く羽ばたかせ、ワイバーンが遂に離陸した!


「おお!」


 空を飛ぶワイバーンに乗るのは俺も初めてだ。思わず声が出てしまう。

 飛んでいると気持ちが良い!

 夜景も何も無いけど、星空が綺麗だ!

 

「この暗いのに、よくレイス領に向かえるわよね」


「星で方角が判るそうですよ」


 ミラの問いにはリックが答えた。

 逆に言えば晴れていないと夜は飛べないのか。職人芸も素晴らしいが、技術って偉大だな。


「さっき大きな川が下に見えました。もう既に半分程度進んでいます。あと少しでレイス領に入りますよ」


「思ったよりも早いな!」


「今までに無い速さです!誰も乗せていない時よりも速いですよ!」


 ワイバーンの操縦者が後ろを振り返って答えた。

 彼がそう言うと言う事は、魔法は良く効いた様だ。

 夜が明けてから着けばちょうど良いかと思っていたが、暗い内に着いてもする事が無さそう。

 仮眠でも取るか。


「もうすぐレイス領だ。もっと南を飛んでくれ。ランバート王国との国境付近をだ!」


「なんだ、あの光?」


「何かが燃えている?」


「近付いてくれ!」


 離れた位置からでも判る炎と言う事は、それなりに大きい炎。

 悪い予感しかしない。


「何これ…」


 ミラが言葉を失うのも無理は無い。

 国境近くの村が、村ごと燃やされていた!

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