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ゴーレムの 見つけた新たな 使用法

 数日が経った。

 ローラがゴーレムオペレーターとしての才能に目覚めてからは俺が掛かりっ切りになって鍛えているが、本当に筋が良い!

 ローラの操るゴーレムと俺が操るゴーレムの実践形式の稽古では、目を見張る動きだ。

 これは亡き父への想いと、長い間稽古が出来なかった事でイメージが増幅されたからではないかと思う。

 実際の所、もう既に油断したら負けそうだ。

 もう少しだけ、格好付けていたい。


 レイス子爵領にはハリーが向かっており、行って帰って来るだけならそろそろかも知れないが、彼はまだ帰って来ない。

 何も無ければ直ぐに帰って来るだろうから、何かを探っているに違いない。


 色々と事が動きそうな王国海軍とエリクソン伯爵軍との演習迄はあと数日しか無い。

 

 俺は宿屋のリックの部屋でリックと今後について話す事にした。


「エイジ、港の建設は如何ですか?」


「トニーが設計に取り掛かっているが、図面が出来上がる迄にはまだ日数が掛かるだろうな」


 自らの問いに対する返答にリックは考え込んでしまった。

 「作るからには最高を求める!」

 建築家としての拘り故かトニーは太陽の向き、風や潮の流れ等を計算して考え込んでいる。まだ時間が掛かるだろう。

 職人でも芸術家でも、プロ根性を持っている人間ってこうなったらもう止められない!



「港建設と言う大義名分でこの領都に来ています。しかし悠長に待てる訳ではありません。かと言って下手に動く訳にもいかない」


「そうだな。あっちは俺達がある程度の情報を得ている事を知らない。だから港建設の目処も立たないのに領都を離れたら不自然で怪しまれる」


 此方が情報を得ている事は知られたくはないが、じれったい。

 元の世界なら、現地のハリーからの電話1本で状況が判るのに。


「なあリック、今ある港に停泊している船って、何処に行くんだろう?」


 俺は数日前に思った事を口にしていた。


「如何したのですか?」


「ちょっと思ったんだけど、このエリクソン伯爵領は隣国との国境に面しているのに、密輸の為に港を作る必要が有るのかって」


「エイジ、それはやはり船の方が大量に運搬可能だからではないでしょうか」


 確かに大勢の売られる人間をゾロゾロと行進させてたら目立ってしょうがない。

 それは判るけど、それだけなのか?


「それに船ならば港が有る国全てに行く事が可能です」


 そうか、対象の国が複数となると密輸先を絞れないな。

 密輸先が今回の一件に絡むと見たんだが、そっちで先手を打つ事は難しそうだ。

 人身売買の値段を抑える意味に付いては


 コンコンとドアを素早くノックした音が狭い部屋に響いた。


「失礼します。お耳に入れておきたい事が」


 ディックだ。珍しく緊張感の有る声になっている。

 入室を許可すると、ディックはキビキビとした動きで俺達に一礼する。


「演習に合わせてエリクソン伯爵とその子息も領地入りするとの知らせが入りました」


「ディック、それは誰情報?」


 その情報の出所と信憑性はどうなんだろう?


「王宮魔術師の情報ですから間違いないかと」


 どういう情報網だか知らないが、今は信じるしかなさそうだ。


 当主である伯爵が来るのならアルフレッドにも連絡は入っている筈だ。

 代官所での情報収集ももっと気合いを入れなければならないな。

 ICレコーダーを仕掛けるのも良いが、もっとリアルタイムでの情報が欲しい。

 何か良い手段は無いかと考えてみる。


「そうだ!もしかしたら出来るかも知れない!」


 代官所には使うに使えずに置き去りにしたプチゴーレムが1体有る。

 そのプチゴーレムから何とか映像や音声を得られないか考えた。

 俺は天才魔道士だ!

 イメージ1つで様々な事が可能になる筈だ!


 まずは試しに近くに有るゴーレムで試してみよう!

 俺は毎朝の稽古で使っている、ローラに与えたゴーレムに波長を合わせるイメージをした。

 今はローラと共に俺の部屋に有る筈だ。

 こんな事は椎名さんの魔導書には書いて無かったが、多分いけると思う。


「ゴーレムよ、その目にて見た物を、その耳にて聞きし声を我に伝えよ」


 言わなくても良いのだが、イメージを高める為に言ってみた。

 精神を集中する。

 ローラの声が聞こえ、何か見えてきた!


「あぁ、ダメです。旦那様!」


 いきなり集中した精神が乱れそうだ!

 ゴーレムが送ってきて俺の脳内に映し出されたローラは、左手で自身の豊満な胸を揉み解し、右手は下半身に伸びている。

 部屋にはアリとリサの姿は無く、ローラは1人で自分自身を慰める行為に没頭している。


 これは本当なのか?

 はたまた、俺の煩悩が見せた単なる妄想なのか?

 確かめるべく、そっとローラが居る俺の部屋へと向かい、静かにドアを少しだけ開けて中を伺ってみると声が聞こえる。


「はぁ、いっ、あぁ、旦那様」


 見てはいけない光景を見てしまった気がして、でも目は釘付けになり、心臓がバクバクしている!

 今迄には無かった興奮だ!


 成功が確認されたが、今後のローラとの接し方についでは思案の為所だ。

 正直、自分がネタにされるって初めてだから、如何して良いのか判らん!

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