広場にて 朝のローラは 魅せてます
またしても快眠とはならなかった。
この寝不足の原因でもあるローラとアリ、リサは朝の散歩に出掛ける等と言う。
随分と健康的な習慣だな。
「旦那様もご一緒にいかがですか?」
そんな事を朝から3人揃って可愛らしく言われて、断れる訳が無かろうに。
俺が朝の爽やかさとは無縁なオッサンでもだ!
朝靄の中雑所得しながら歩を進め、人も疎らな広場へとやって来た。
「少し良いですか?最近、運動不足だったから」
一応、俺に断りを入れてからローラは何やら動き出した。体操でもするのか?
「ハァーッ、ハッ、ヤァ!」
ローラが真剣な表情で始めたのは体操だなんて穏やかな代物ではなく、拳法とか空手の型だ!
中国やその文化圏である台湾では早朝に太極拳をしているが、そんな感じにも見える。
そうか、そう言えばローラの亡き父は武闘家だったらしいから、彼女が客を殴って顔の骨を折った力の源はここから来てたのか!
暫く見とれていたが、人が居なくて良かったな。
ローラの動きが激しさを増すと、それに合わせて豊満な胸がこれでもかと言わんばかりに、ワッサワッサと揺れる。
爽やかな早朝の広場が急に、何だか俗っぽく感じるから不思議だ!
「旦那様、何処を見ているのですか!」
そんなの聞くまでもなく、1つしか無いだろう。見るなと言う方が無理な話だ!
これを見ない男なんて、男じゃない!
「旦那様、今はそんなに見ないで下さい。この胸が、私が武闘家を諦めた理由なのですから」
「揺れるからか?」
この世界にはスポーツブラとか無いしな。
そもそもブラは有るのか?
嫁がブラとは無縁なので気にした事が無かったが、どうなんだろう?
「はい。でも武闘家を諦めた理由はそれだけではありません。父が亡くなってからは稽古も出来ていませんでしたし、男女の筋力差を考えればやっぱり」
ローラは盗賊に襲われた村の出身で、村が盗賊に襲われる迄は葡萄の父と暮らしていたんだったな。
父親から手解きを受けていたか。
「自分で格闘技のセンスは有ると思うか?」
「父以外に負けた事はありませんでした。尤もその父も剣や魔法には敵わずに亡くなりましたが」
ならば脈有りかも知れない。
「試してみるか?」
広場の土に割り符を置き、ゴーレムを作り出した。
「わぁ、大きい!」
プチゴーレムしか見ていない3人瞳を輝かせて身長2メートル程のゴーレムを見詰める。
「この割り符を持っていればゴーレムは思い通りに動く。ローラ、動かしてみろ!」
上手くいけば自分の身は自分で守れる様になるだろう。
俺と関わってしまったからには、身の危険が迫ってもおかしくない。ここは敵地なのだから。
「こうですか?」
シュン!
俺が見た限りでは、これまでで最も素早く動くゴーレムで間違いない!
格闘技経験者のローラのイメージ通りに動けばそれなりだと思っていたが、とんでもない掘り出し物だ!
新たな戦力の発掘だ!
「だっ、旦那様?」
気が付けば、興奮した俺は両手でローラの両肩を掴んで、ローラの身体を震わせていた。
それに合わせてローラの胸が小刻みに揺れる様を見て我に戻る事が出来た事は秘密だ!
「兎に角ローラにはこのゴーレムで与えるので、自分とアリとリサを守ってくれ!」
「畏まりました。旦那様」
「アリとリサはローラの指示に従ってくれ」
「畏まりました」
俺の作ったゴーレムなら弓矢や剣、それに多少の魔法では負けないだろう。
出来るだけ死角は無くしておきたい。
敵地で権力者側の人間とやり合うと言う事は、そういう事だ。




