表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

142/302

初日から 少し情報 集まった

 尾行されていない事を確認しながら本来の宿屋に戻った俺とディックは、ミラ達やリックを加えた6人で女将の教えてくれた高い店で食事をする事にした。

 リックの従者であるハリーは更に情報収集に励むそうだ。

 ハリー曰く、情報は夜の方が集められるとの事。

 夜はこれからなのだから、孤高に裏方に徹するハリーの行為は本当に有り難い。


 ハリーの働きに感謝しつつ、店に個室を用意してもらい高級料理を楽しむ事にした。


 が、

 うーん、高級店の割には特別美味い訳ではなかったな。まぁ及第点かなぁ。不味い訳じゃないけど。

 特に内地のアベニールとは違って海に面しているのに、魚介類の使い方がなってない!

 予想はしていたが、やっぱり魚料理は元の世界の日本の足元にも及ばない。

 変に凝らなくて良いんだよ!

 醤油もワサビも無いから刺身とかは望まないけど、奇妙な調味料とか要らないから!シンプルに塩焼きにでもしてくれた方が絶対に美味い!

 まぁ、酒が有れば結構何でも食えるんどけど。


「ミラ、街はどうだった?」


「賑わっていたわよ。特に変わらないわね」


 昼間見てきた事に話題を移した。

 ミラやエリスは観光と言っても見るべき物も無いだろうから、本当に街を散策するしか無かった様だ。

 特に感じる物は無かったか。


「美術館とか博物館は行かなかったのか?」


「ありませんでしたね。その手の建物は全く無い様でしたわ。エイジ様」


 エリスは呆れた様に言った。

 まぁ領内で2番目の都市なのに治安の為の衛兵を廃するくらいだから、伯爵領内の住民サービスは悪いだろうな。



「建築現場は人手不足の様じゃったのう」


 建築家のエセドワーフ、トニーは建設現場を見て廻った様だ。


「人手不足?」


 拉致した男達を働かせていると予想したんだが、外したか。


「作業員が3時に休憩している時に声を掛けたのじゃが、嘆いていたわい」


「何て?」


「領主から紹介された安く使える者が居ったそうなんじゃが、鉱山に行ってしまったそうじゃ」


「何だって!」


「相場の半値と安く使えて重宝していたそうじゃ」


 相場の半値って不法就労じゃないのか?

 建築現場でも外国人の不法就労ってあったなぁ。

 今は特に内装工事に多くて、建設現場に入国管理局が立ち入り検査をして現場が1週間もストップした事もあった。


「エイジ、その者は」


「領主の紹介、そして都合良い様に鉱山に行くって事は、そうなんだろう」


 表情を曇らせるリックに、その先を言う必要はなかった。

 本当に鉱山に行ったのか、駆け込みで外国に売られたのかは知らないが領主たる伯爵家の人身売買の被害者なんだろう。




「エイジ、僕が先程得た情報を良いですか?」


 それから暫くして切り出したリックの瞳が笑っている。よほど良い事に違いない!


「愉快な話の様だな、リック!」


「ええ、僕とハリーは盗賊退治に来た体で登録しました。すると夕暮れ時になってから、待ち人来たるですよ!」


 リックは笑いが止まらない。

 普段はこんなに笑わないのだろう。ディックが珍しい物を見た!って表情をしている。


「盗賊の首領が、金の鷲と言う宿屋に5人で泊まる。今夜寝込みを襲うから、腕に覚えのある者は参加する様にと役人が回っていました」


「やっぱりか!」


 思わず声が大きくなる!


「ハリーがその討伐隊に参加しました。後で話を聞くのが楽しみですね!」

 

 今日来たばかりの盗賊退治で集まった連中に声を掛けたのは、手っ取り早く戦力を得られたからか。


 それと失敗した時の保険だな。

 失敗した時に伯爵家の兵隊だと面倒だろうが、これならデマ情報を鵜呑みにした連中が暴走したと言い逃れが出来る。

 

 ゆっくり寝たいが、そうもいかないらしい。

 襲撃中は前面には立たずに物陰に隠れているであろうアルフレッドの部下を捕らえて!少しお話しさせてもらおうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ