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宿場町 俺だけ1人 町に出る

 領都までは馬車で移動だ。

 馬ではなくゴーレムに引かせても良かったのだが、それだと目立ち過ぎる。

 先方は俺が俊敏なゴーレムを作れる事をご存知だろうが、それを情報として聞いただけの者にまでわざわざ見せる必要はないだろう。


 それにしてもこの馬車は乗り心地が悪い!

 路面の衝撃がそのまま伝わってくる感じだ。

 ゴム製で中が空気のタイヤとか、衝撃を吸収するサスペンションって偉大だったんだ!


 今度は車でも作ってみようかな。

 ゴーレムが引っ張れば馬みたいに疲れないし、化石燃料ではないのでエコだと思うんだけどな。


 なんて思っている内に本日の宿泊予定地に到着した。

 ちなみに御者はリックの従者のハリーが引き受けてくれた。

 ハリーの御する馬車はかなりのスピードだ。予定より早いのは良いが、その分衝撃が有る。

 乗り心地が悪いのはそのせいか?

 お陰で馬車の中では皆無言だった。


 

 宿場町の簡単な門を通ると、そこそこ賑わう宿場町が広がる。


「もしこの町の宿屋に泊まれないと野営する事になります」


 そう言い残してリックが宿屋の空き具合を聞きに行く。

 実は数軒の宿屋を回ったが全部満室だった。ここが最後の希望だ。

 もし空きが無ければ野営するのか?

 尤も馬車だから完全な野営よりもマシだろうけど、出来れば遠慮したい。

 

「部屋はシングルが4部屋です」


 4部屋?俺達が5人、ハリーも入れれば6人だぞ。


「ハリーは馬車で寝ますが、それでも部屋が足りません」


 リック的に従者はそういうポジションなんだな。

 まぁ、ハリーなら大丈夫そうだけど。


「トニーとエリスは同じ部屋でどうだ?」


 父娘で同室なら問題無いかな?


「エイジ様とでしたらともかく、父とでしたらお断りします!」


「エリスを床で寝かせる訳にもいかんし、ワシも年だしベッド寝たいのう」


 お年頃のエリスが全力で拒絶したのとは対照的に、トニーはもっともらしい理由を口にした。

 道理を通すあたりは建築家らしいな。

 


 リックとの出会いは2人して物置小屋に閉じ込められた時だった。

 あの物置小屋を思えば、どっちかにベッドが無いくらいはどうって事は無いだろう。


「申し訳ありません。報告書の作成をしたいので」


 リックも理由が有るのか。

 となると、やはり1部屋足りないか。

 俺がミラやエリスの部屋に転がり込む訳にもいかないし。

 多分というか、絶対に理性が崩壊する!

 そりゃあクレアを愛しているが、ミラやエリスはモデルの様なスタイルだ!

 特にミラなんてかなりのプロポーションで、スレンダーの中のスレンダーなクレアとは全然違う!

 クレアに不満は無いが、いつも和食を食べていたら偶にはガッツリとステーキとか食べたくなる。

 目の前に霜降り肉が美味しく焼かれて、さぁどうぞとなったら手が出ない事は無い!

 でも流石に妻を置いてきた初日に、つまみ食いをしていたら最低過ぎて洒落にならない!


「じゃあ、俺は適当に過ごすから明朝に宿屋前に集合な。解散!」


 考えても仕方ない。俺は逃げる様に見知らぬ町へと当てもなく1人で繰り出した。

 エリクソン領で2番目の都市であったアベニールに比べると小さいが、ソマキの村よりも遥かに大きい町だ。


 

 町の酒場を覗いてみた。

 宿屋がどこもかしこも満室状態だけあって、酒場も満席に近い。


「いらっしゃい!」


「1人なんだけど」


「カウンターの空いてる席へ」


 若いウエイトレスに促されてカウンター席に座る。


「ご注文は?」


「酒と料理、お奨めを適当に」


「喜んで!」


 初めての店だし、メニューは読めないのだから他に頼みようが無い。


「お待ちどう様!」


 暫くして肉と野菜を煮込んだ料理と酒が運ばれて来た。中々に美味そうだ!


「お客さんも領都に?」


「ああ。ここの客皆が領都に行くのか?」


「当たり前じゃない。代官様が盗賊討伐の為に腕に覚えの有る人を集めてるからね。お客さんもその口なんでしょ?」


「まあな」


「あんまり強そうに見えないけど、頑張って!」


 一言多いが、まあ良い。

 アルフレッドが腕の立つ人間を集めている事が気になる。

 情報収集してみるか。

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