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美女母娘 目指せ異世界 親子丼

「リック、村を見て回ったのか?」

「ええ、元々は見聞を広める為の旅ですから」

 辺りはすっかり暗い。俺は光属性の魔法で足元を照らして歩いている。

 

「魔法をこんな使い方をするなんて初めてですよ!」

「足元が暗いと危ないでしょ。安全は全てに優先する!って言ってな。俺の国では」

 正確には日本の建設現場だけど。


「こんな事に使って魔力が尽きたらどうするのですか?」

「俺、魔力の量が多いみたい」

「羨ましいですね!」


 椎名さんの魔導書には魔力の事も書いてあった。

 そもそも考え方が違うようだ。


(契約した魔術師は魔法を使う度に魔力が無くなっていくようですが、私にはその感覚がありません。

 それは私が契約による魔術師ではないからなのか?

 それとも違う要因が有るのかは分かりません。

 私にとって魔法をいっぱい使った時の感覚は、集中力をかなり使って精神的に疲れた時の感覚ですね。

 精神的に疲れなければ、いくら使っても大丈夫です。

 だからどんな強力な魔法でも慣れればそれ程疲れないので、かなり使えます。爆発や氷結といった強大な魔法はその効果が見ていて楽しくなるので、いくらでも使えます。おすすめします!

 仮に疲れても少しリフレッシュしたら、また使えます。

 つまり、魔術師の魔力が消耗品であるのに対し、私はその気になれば無尽蔵に魔法が使えるという事です。

 ただ、いきなり実戦で試すのは危険なので、精根尽きるまで魔法の練習をして、試して下さい。

 魔法に慣れる事と、疲労の感覚を掴む事、両方出来るので、一石二鳥です。)


「リック、魔法の契約ってどうやっているんだ?」

「エイジは外国人だから違うのでしょうか?魔術師志望の者は12歳になると魔力の有無と属性の適性検査を受けます。そして魔力の有る者は、適性の有る属性の精霊と契約して属性魔法の修行を行います」 

「魔力の無い者は?」

「無ければどうしようもありません」

「なるほど。それで契約はどこでどうやって?」

「教会や神殿で聖職者の立ち会いで契約します。契約すると、出来なかった魔法が使えるようになります」

「そうか」

 この国の魔術師じゃなくてよかった!契約して、修行して、使える属性は1つって、今よりも良い事が1つも無い。


「エイジの国は違うのですか?」

「えっ?俺の国?」

「はい」

「すまない。国の事を話してはいけないという掟がある。リックに話したからどうだって事は無いが、心の奥底に引っ掛かるんだ。すまない」

 魔導書の中身に関する事はなるべく言いたくない。それこそ、勿体ぶらなければ!


「いえ、良いんです。気が向いたら話して下さい」

 ここでニコッとする。やはりイケメンだ!


 しばらく歩いてソフィの家に着く。

「エイジ、おかえりなさい!」

「ちょうど出来上がったのよ!」

 ステラとソフィがすぐに出迎えてくれた。美女2人に出迎えられるって良いもんだ。


「それでは、エイジとリックの来訪と、エイジとソフィの婚約内定を祝して」

「ちょっとお母さん」

 またしても暴走気味のステラと恥ずかしがるソフィ。もはや成り行きに身を任せるしかない!


「乾杯!」

 口にしたワインは特別美味い物ではなかった。それは日本で買うワインは安くとも、それなりのレベルだからだろう。

 料理も、申し訳ないが日本の方が美味い。ステラの料理が不味い訳ではないが、食材、調味料、調理器具、それに繊細な感覚は現代日本に敵う筈もない。

 ステラが悪い訳ではない!

 でも大丈夫だ!酒が有れば何でも食える!


 それにしても燭台の光だけって暗い。

 蝋燭なんて停電の時くらいだよ。ちょっと我慢出来ないかな。

「折角のご馳走なんで、明るくしますね」

 俺は天井に手を掲げてLED照明をイメージする。

「ライトエミッティングダイオード!」

 如何にも魔法っぽく叫ぶが意味としては、「LED」と叫んだだけだ。


「眩しい!」

「昼間みたい!」

「あり得ない」

 驚かせ過ぎたか?次はもっと光束を減らしてみるか。


「ソフィも飲まないと!今夜はお酒の勢いも必要よ!」

「もう、お母さんたら!」

 ソフィは何か言われる毎にワインを口に運ぶ。さっきから見ているがかなりの量だぞ!



「いいエイジ、私の旦那様になるんだから死んじゃだめだからね」

 ソフィはすっかり出来上がった。目が座っている。

「エイジ、私をちゃんと愛しなさーい!」

「いや、ソフィ」

「返事は、はいだけでしょ!」

「はい」

「よろしい!ご褒美あげる」

 ソフィは自分の顔を俺の顔に最接近させた。気が付くと俺の口は、何か柔らかい物によって自由を奪われていた。

 42年の人生で初めてだった。


 キスとはこういう感じなのか。全くロマンティックではなかったが、俺はこの酔っ払いを愛おしく思った。

 

 苦しくて我に返る。突然の事に呼吸を停止させていた。

 キスの後にステラとリックの存在を思い出すが、気にする必要は無かった。何故ならステラとリックも酔い潰れて寝ている。


 

 まず俺はリックに肩を貸して客間に運んでやり、ベッドに寝かせる。この後の事を考えると、申し訳ないがリックは邪魔だ。

 さっさと寝かせるに限る!


 次にソフィをお姫様抱っこで運ぶ。ソフィは細身の身体なので軽い。それでいて出る所は出ているって、素晴らし過ぎ!

 こんな女性が俺の嫁になるなんて、異世界って!

 でも残念ながら今日の初夜は無理だ。寝かせてやろう。


 ベッドに寝かせてやる。

「うーん」

 悩ましい声を出す。手を出すまいと思った決心が鈍るだろ!

 頑張れ、俺の自制心!

 明日は合意の元、合法的に手が出せるんだ!

 ああ、心臓の鼓動が凄い事になっている!

 何か痛い様なヤバい感じだ、心臓!

 落ち着け、俺。42年間縁が無かったのが、1日だけ延びただけだ!

 後ろ髪引かれる思いでソフィの部屋を後にする。


 最後はステラだ。ステラもお姫様抱っこして運ぶ。こうして見るとステラは美人だが、可愛らしくもある。

 まだ32歳。女盛りなのに、この世界では終わった女扱い。やるせない。

 ステラをベッドに寝かせてやろうとするが、彼女の細い腕が俺の首を離さない。

 その直後、ソフィの時とは同じ様な、でも違う感触が俺の唇を襲った!

 

 異世界、最高!

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