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帰ったら 知ってる顔が そこにいた

 真面目なのかバカなのか?

 俺を仕留めるという任務に忠実なのは理解出来るが、何度も結界に阻まれているのに馬鹿の一つ覚えのファイヤーボールを放ち続ける刺客を見て思った。

 さっさと片付ける事も優しさか。

 

 少し距離はあるが新しい魔法を初めて実戦で使ってみよう!

 前から炎で鳥とかドラゴンとか作って攻撃したらカッコいいかな?って思っていた。

 試しに何回かやってみたが射爆場での自主練の時に出来た火の鳥は意外と小さくて、キジ位の大きさしかなくて迫力不足。

 どうせなら大きくしたかったが、大きくするとどうしても形が崩れてしまう。

 原因としては魔力を注ぐ事と形を整える事を同時にしなければならないのだが、形を整えるって案外難しい!

 だが、この魔法剣があればきっと大きくて強い火の鳥やドラゴンが作れる筈だ。


火の鳥!(ファイヤーバード)

 身長は成人男性と同じ位の火の鳥が登場した!

 俺は迷う事なく剣を刺客の方に向けると、バサッバサッと羽ばたく。

 その度に火の粉が周りに飛び散るが、それは神秘的な光景でもあった。


「待てよ、こんな機会は中々無いかも!」


 自分の作った火の鳥に見とれていた俺はそう思うと他にドラゴンも作りたくなった。

 魔法剣に魔力を込め、イメージを膨らませると今度は巨大な炎のドラゴンが完成した。


 ヨシ!次は竜だ!ドラゴンじゃなくて竜!

 西洋のドラゴンではなくて、東洋の竜を作ってみよう。あの長い竜!


「ぬっ、長い!」

 頭から作って後は胴体だが、長くしようと思えば幾らでも長く出来る。

 それはそれで大変だ。どこかで終わりにしないと。


 結局は30メートル位の竜にした。もっと長くもしたかったけど、どこかで区切りも必要だ。

 気を取り直して、グリフォン、ペガサス、ユニコーン、この際だから他にも色々作ってみた。

 作っている時は夢中だったが我に返ってみると何とも言えない。

 結果として、炎の妖怪大行進となってしまった!


 肝心の刺客の方はどうかと言うと、最初の火の鳥で終わっていた。

 火の鳥に飲み込まれその身を焼き焦がした。

 それだけでも生存は難しいと思うが、それにドラゴンが続く。

 更に竜が周りを囲み、他にも次から次へと色々と続いた。

 遺体が落ちたら回収が厄介だなと思っていたが、その心配はない様だ。

 もはや一片の骨すら残っていない。


 終わりだな。

 夜だったら綺麗だったかも知れない。

 

 さて、街に入るか。

 問題は魔道士である俺が結界の中に入れるのかだ。

 おっかなびっくり進むとガラスの壁が有る様な感じで、やはりこの結界は魔力を通さない様だ。

 走らなくてよかった!


 結界は光魔法、これをどうにかするには対極の陰魔法を使うしかない。

 俺は魔法剣に魔力を通す。刃に陰魔法を纏わせるイメージをして。

 その剣で俺が通れるだけの穴を結界に開けた。

 派手に壊さなかったのは結界を張ったであろうミラへの感謝と敬意だ。

 あの刺客が空爆を行った原因は俺だ。それから街を救ってくれたミラには本当に感謝だ。


 街に入った俺はクレアの所へと急ぐ。

 街には人々の姿は無く、皆それぞれ建物内に閉じ籠もっている様だ。

 しかしながら、ここまで見た限りは被害らしい被害は無い!


 皆に安全宣言でもしたいが、走りながらではとてもじゃないがそんな事は出来ない。息が切れて。

 それに更なるスピードアップをしたい所だが、思いとは裏腹に42歳の足は言うことを聞いてくれない!


 そうだ!風を出してその風圧で進もう!

 この方が速いしバテない!

 両手を下向けて高圧の風を出して自分の体を進ませる。ホバークラフトの原理だ。

 これで進むと『季節風』にはすぐに着いた。


「クレア!」

「あなた!」

 よかった!無事だ。

 駆け寄った俺達は抱き合って互いの無事を喜ぶ。


「大丈夫だったか?」

「ええ、私たちは」

 見渡す限りは全員無事の様だ。


「エイジ!」

 後ろから声をかけられ、振り返ると今日のヒロインが居る。


「ミラ!」

 ミラを抱き寄せて頭を撫で撫でしてやる。

 もしもミラが居なかったらこの街はどうなっていた事やら。


「ミラ、よくやった!」

「エイジこそ凄い炎だったよ!」

 あれを褒められるとこそばゆい。途中からはUMAのパレードになっていたし。


「ミラ、凄い結界だったな!」

 あわや死にかけた事は言わない様にしよう。


「あ、あれ、私だけじゃないのよね」

 ん?ミラが視線をチラチラと逸らす。どうかしたのか?


「何を言っている!この街であんな結界を張れるのはミラしか居ないだろ!」

「うん、さっきまではね」

「さっきまで?」

 ミラの視線の先に俺も視線を送ると、全ての動作が止まらざるを得なかった。


「やぁエイジ。ただ今戻りました!」


 相変わらずの爽やかなイケメンだな、リック!

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