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気を付けよう ゴーレム急に 止まれない

 アルフレッドを挑発した昨日の今日でこれか!

 

 ワイバーンに乗った刺客は街の上空からファイヤーボールによる空爆を繰り広げていた。

 それが無差別なのか、俺に関係する所を狙ったのかは分からない。

 ただ1つだけ確かな事は、アイツは絶対に許さない!

 もしもこの空爆でクレアが掠り傷でも負っていれば、それだけで八つ裂きにするには充分な理由だ!


「ゴーレム!」

 堀の深さは2メートルだった筈だ。俺は5メートルのゴーレムを作って堀を渡る事にした。

 渡るのは俺だけだ。エセドワーフ達には捕まえた刺客とワイバーンの番をしながら待っていてもらう。


「ウォ!」

 5メートルのゴーレムを作るつもりで念じると、もう一廻り大きいサイズのゴーレムが出来上がった!

 5メートルが大体、2階建ての家と同じ位の大きさであることを考えると、このゴーレムの大きさは3階建て位かな?

 と言う事は、7から8メートル位だと推定した。


「俺を乗せて堀を渡れ!」

 命ずるとゴーレムはヒョイと俺を軽々と掴むと、ツカツカと堀に入った。

 

「えっ?」

 今までのゴーレムは大きくなるに従って動きは遅くなっていったが、このゴーレムは違う!

 この大きさなのに、信じられないくらいに動きが機敏だ!

 乗ってて怖いくらいだ!

 これは魔法剣の影響に違いないとは思うが、あのアイテムには直接攻撃以外にもこんな使い方が有るんだな。

 こんな時だが新たな発見だ!


 堀の幅は10メートル、その先の土塁は高さ5メートル。

 何れも防衛システムとして罠が仕込まれているが、動力源は俺の魔力なので俺の邪魔をするためには発動しない。


 ゴーレムが俺を乗せて土塁を駆け上がる迄に15秒位しか掛からなかったのではないだろうか。

 本来なら侵入者を引きずり落とす為に伏兵として土塁の一部になっているゴーレム達が、チームプレーで俺を乗せたゴーレムを上へ上へと押し上げている事が印象的だった。

 そんな事まで念じてはいない。随分と気の利くゴーレムだ。



「あれか!」

 土塁の上に登った俺の目に映ったのは、ワイバーンに乗ってファイヤーボールを真下の街に放つ刺客の姿だった。

 だが、その姿はこの土塁の上という位置からではあまりにも小さく、狙う事は難しい。


「もっと近くまで行くぞ!」

 ゴーレムに命じてもっと近付く。でなければ狙え

ないし、それよりも何よりもクレアの無事を確認したかった。

 常日頃からクレアの行動範囲には護衛用のゴーレムを伏兵させて在る。

 いざという時には盾となってクレアを守る筈だ。


 だがやはりこの目で無事な姿を見たい!

 

 それに街も気になる。

 俺が責任を負うつもりは無いが、奴の空爆で街が破壊されていたり、死傷者が出たら気にするなと言う方が無理だ。

 アルフレッドにはキッチリと落とし前を付けてもらう。


 ゴーレムは俺を担いだまま加速を続ける。

 街を囲む古い壁も飛び越えられそうな勢いだ!


「!」

 何が起こったのか分からない。理解不能だ!

 トップスピードから突然、放り出される!

 

「うっ!」

 突然、そのままのスピードで地面に叩き付けられ全身を強打した俺は、言葉なんか出せずにのたうち回る事もままならない。

 痛みは勿論だが、痛いとかよりも死の恐怖が頭を過る。交通事故ってこんな感じなのか?

 そんな中でも頭を打って意識を失わなかった事は幸運だったと思う。

 これで意識が無かったらそれこそ死んでいたかも知れない。

 落ちた所が草むらだから助かった様なもので、石畳なら死んでいたかも知れない。

 まだ運は有る。


 自分で全身に治癒魔法を使いようやく余裕が生まれた。首の感覚が変だと痛いとかよりも怖かった。

 改めて周囲を見回して見ると俺の傍では砕け散ったゴーレムであった土の塊がウゴウゴと動き再生を初めていた。

 何かにゴーレムが阻まれた事は間違いない。


 再生されたゴーレムに歩く様に命ずると、ある所から前に進めない?

 ガラスの壁があるかの様に、ある所からゴーレムは1歩も進めない

 これは、結界?


 試しに小さいファイヤーボールを、結界がありそうな所に向かって放ってみる。

 案の定ファイヤーボールは消え、空間に微妙な波紋が出来た。

 間違いなく結界だ!

 だから魔力で動くゴーレムが弾かれたんだ!


 この街でこんな結界張れそうなのは、ミラしか居ない。

 俺も結界は張れはするが、街を覆う規模はやった事が無かった。

 ミラが街を守ってくれていたんだ!

 封印された聖女アリアである可能性が高いミラなら安心だ!


 ここで俺がミラの結界を破る訳にはいかない。

 ここから刺客を狙う事にした俺は、ゴーレムに持ち上げさせた。

 近くなった分、さっきよりもよく見える。


 刺客が躍起になって放ったファイヤーボールがことごとく結界に阻まれている様もよく見えた。

 

 ミラはしっかりと街を守った。

 次はミラが喜ぶ様なド派手な魔法を放つしかない!

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