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魔法剣 実験台は ワイバーン

 俺への不意打ちが通用しなかったので、ワイバーンに乗っている奴等は旋回して様子を伺っている様だ。

 バカな奴等だな。不意打ちに失敗した時点で退けば良いのに。

 絶対に仕留めろと命じられているのか?

 それならそれで構わない。実戦で魔法剣の実験台になってくれる彼等には心から感謝したい。

 

「ファイヤーボール!」

 早速、最初からかなりの大きさのファイヤーボールを放つ。それも連射だ!

 サイズ的には放った直後のサッカーボールから大きくなり、最後には直径2メートルくらいになった。


 結論から言うと実験で分かった事として、動く獲物には意外と当たらないと分かった。

「躱されとるな」

 エセドワーフが呟くが、そんな事は見れば分かる。

 上手くいかない事を知る為の実験だ。寧ろ最初から当たったら実験にならない!

 と言う事にしておこう!


 狙いを1頭に絞ったが連射しても距離が有るし、空中に居るので横移動の他に上下にも動ける。そんな相手には中々当たらない。

 それに大きくなる事も災いしていると推測される。

 大きいと認識し易い分、退避行動も早い。

 スピードだってもっと速いファイヤーボールでなければ当たらないと思うが、残念ながらスピードはこれが精一杯だ。

 ロンのワイバーンと戦った時には炎の竜巻、『火災旋風』を使ったが今度は生け捕りにして情報を吐かせる目的が有る。こんがりと焼く訳にはいかない。


 次の一手を打つ。

「花火の特等席だ!しっかり見とけ!」

 俺はそう叫ぶと3頭のワイバーンに向けて花火を打ち上げた!

 打ち上げ花火は基本的に何処から見ても同じに見える。つまり球体で広がるのでこれが連射して至近距離で爆発すれば流石に躱せないだろう。

 勿論、花火の様に綺麗である必要は無いので見るからに武骨な爆発だ。花火と言うよりも、炸裂弾と呼ぶべきか。

 当たればかなりのダメージが有る筈だ。


 彼奴らは今度は空中に居る事を悔やむに違いない。

 上下左右、縦横斜めに飛び交う炎にその身を焦がすといい!


 遠目だが、炸裂弾が生み出した何発もの炎をワイバーンが受けて空中でフラついているのが分かる。

 暫くすると翼が傷付いたワイバーンがフラフラッと落ちてくる。

 いかん!そのまま地面に叩き付けられば生け捕りが出来ない!

 咄嗟にワイバーンが地面にぶつかる瞬間に風魔法でワイバーンを少し持ち上げてやる。

 これはロシアの宇宙船が地球に帰還する時にはパラシュートは使わずに、地面直前で逆噴射して着陸するシステムにヒントを得ている。

 ヨシ!生け捕り成功!


 この調子で残りの2頭も捕獲するぞ!

 と思いきや、逃げ出そうとしている?

「逃がすか!」

 同じ様にしてやろうかと構えた時にはそれぞれ反対方向に飛び出した。

 俺は両腕を広げてそれぞれに炸裂弾を放つ。


 右手で狙った方はあっさりと落ちた。

 問題は左手だ。利き手でないせいか意識が右手にばかり行ってしまい左手は数発しか撃てなかったし、狙いも今一つ。

 結局は逃げられてしまった。

 これは今後の課題だな。


「あいつは街の方に逃げたの」

 エセドワーフの誰かがボソリと呟く。

 街に潜入するつもりなのだろうか?

 アベニールの街を守る堀も土塁も空を飛ばれては無力だ。

 

「帰ろう!」

 街に潜伏して俺を狙うのならまだ良い。クレアや他の皆に脅威が及ぶ事は避けなければならない。

 ヨハンの時と同様に捕まえた奴等は闇で包む。これで身動きが封じられるし、後の取り調べも楽になる。

 ワイバーンも闇で包み込む。コイツは新たに作ったゴーレムで運ぶ。手懐けられたらかなり便利になると思う。



「あれ?」

 おかしい。アベニールの門に近付いても門番が出て来ない。

 雰囲気も変だ。一体どうしたんだ?


 呼ぼうが叩こうが誰も出て来ない。

 反対側の門に回るのも面倒くさいな。


「仕方ない。堀と土塁を越えて入るか」

 考えていても仕方ない。門を壊す訳にもいかないので、それしか思い付かなかった。

 防衛システムも、俺がいれば発動しない筈だ。


「あっ!」

 堀の外側を歩いていると突然、素っ頓狂な声を上げたのはエセドワーフの誰か。

 指差された方向を見ると街の上空を飛ぶ何かが見えた。

「あれは?」

 街に潜入したと思っていた残りの刺客は潜入などせずに、ワイバーンで街の上空から炎を放っている。

 空爆だ!

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