隠れんぼで泥合戦
アルヴァは昼頃、ハイド、ミョイル、ラピードの四人で鬼ごっこで遊ぶことになり、アルヴァは逃げる側になり、ハイドが最初の鬼になった。
話は、昼から始まる。
アルヴァは、友達の「ハイド」と「ミョイル」、「ラピード」の四人で鬼ごっこをはじめようしていた時である。
アルヴァが鬼では、足が島民の中で一番速いということなので、それでは鬼ごっこがすぐに終わってしまう。しかし、それでは面白くないということになる。では、逆にアルヴァが逃げる方になった方が、面白くなるのではという四人の話し合いにより、増え鬼ごっこ形式で遊ぶことになった。場所は、小さな島の東側にある見るところ全てが畑の場所になった。作物は稲、今は夏なので青々しい色が地面をうめつくしていた。
そして、鬼ごっこが始まり最初の鬼はハイドに決まった。
しかし、
「クソッ、走っても全然つかまんねー!」とハイドが呟く。鬼ごっこが始まり、すぐにミョイルとラピードの二人を捕まえ、残りのアルヴァも見つけ捕まえようとしていた。だが、全く捕まる気配がない。アルヴァの足の速さは誰もが知っていた。しかし、子どもなら稲の中を走っていれば誰かが追ってくるとは視覚では判断できない。だから、逃げている側は稲の揺れている音だけでは鬼が仲間かを判断できず、適当に逃げ回っているうちに疲れ果てる。そこを鬼が適当に音を出せば逃げる側は体力が無くなっているため、簡単に鬼は捕まえられる。そう思っていた。だがアルヴァは違った。アルヴァは、稲の中へと入ったっきり、全く音沙汰が無く、丘の上から探しても、子どもの身長では稲により隠れてしまう。ハイドは、自分が思った長所は他の人にも長所になるということを忘れていたのだ。
「クッソー、アルヴァのヤツ稲の中に隠れやがって。あいつ、案外頭いいじゃん。」
ハイドの言葉は、皮肉と尊敬を混ぜた言葉だった。
「これじゃ、いつも通りアルヴァの一人勝ちかな。」と、少し悔しげな感情を隠しきれない声と顔ででミョイルは喋った。
しかし、ラピードは違った。
座り込んで何やら、ぶつぶつ話し込んでいる。
と、次の瞬間立ち上がり「いや、今回の鬼ごっこはアルヴァには勝たせないよ」と、キメ顔でハイドとミョイルの方を見た。「この勝負、わしのセンリャクで勝てるかもしれないよ。」