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小春の時雨日和  作者: 藤宮はな
第二部:ご先祖ソーニャさん登場
33/62

第33話覚醒してもあんまり変わらない?時雨を触ってみる?

 何だか寝苦しかった様な気がするけど、ずっと朝までうんうん言いながらもぐっすり寝ていたと思う。


 だって、異様に変な、と言うか凄く淫らな夢を長時間見ていたと思うからだ。


 それと言うのも、どうも成長したわたしが、まふちゃんと時雨に只管エッチなご奉仕を受けるなんて、ある意味イカレた内容で、とにかくわたしがされっぱなしで、もうホントにいいようにされていたのだけど、快楽の為に抵抗なんて出来ずに、いや抵抗どころかそれをこちらも受け入れていて、愛あるセックスとはちょっと違う様な気もするのに、とにかくその長々とした愛の睦言、行為を享受していた夢だったのだ。


 目覚めた時はやたらと汗をかいていた。


 そう、まるでホントにそのセックスを体験したみたいに。で、パンツを見ればかなり濡れていたので、やはり夢の中で興奮していたって事なんだろう。


 生理が始まってからは、結構な頻度でどう言う周期なのかはまだよくわからないけど、濡れる場合が出て来て、最初の内は本では読んでいたものの戸惑いがあった。


 生理にしたって、少し嫌悪感もあるのだが、ある技術を使えば時雨の子供もその内産めるようになるかもしれないと考えれば、肯定的に見られる様にもなって来た。


 しかし、日本では少子化がもっと加速していくと、こう言う技術を使って同性間でも子供を作れる方法を利用していいとなるだろうか。


 同性婚の制度も随分遅れていた事だし、中々進まないのは日本が性的多様性に対して、制度もコンセンサスも遅れているって事だろう。


 でも実際に同性愛者はいるし、それ以外にも様々な人がいるので、それをマジョリティだけがいる様には出来ないのは確かなのだし、制度的にも認めていく方向になっていくだろう。


 とりあえず服を着替えて、びしょびしょになったパンツやパジャマを脱いでいく。それからシャツとスカートに履き替えてから、ふと声を掛けて来る相手を認識する。


「オ目覚めデスカ、小春サン」


 わっ。なんか傍に小さな雪女みたいな恰好した子がいる。


 子供・・・・・・だよね? ちょっとお姉ちゃんのシベリアン・カートゥルーみたい。この子はお姉ちゃんのとは反対に、右目が髪で隠れてるし。


「も、もしかしてあなたがわたしのストーン・コールド・クレイジー?」


「ハイ、ソウデスヨ。宜シクお願イシマス」


 わー、何だか自分のスピリット能力がついに手に入ったと思うと感激だなぁ。あれ?


 でもわたしローリン・ストーンっての見てないし、熱とかも出てない様な。どう言う事だろう。


「ソレは能力の引キ出シが特殊ダッタ為デスね。ソレに熱ナラ寝テイル間にズット出シテマシタよ。ソレカラ淫夢を見タノも引キ金にナッタ様デスネ」


 はー・・・・・・なるほど。あの夢はそう言う意味づけだったんだ。それももしかして願望だったりするのかな。それともあんな事が実際にあるのかなぁ。


「それであなたの能力って何だっけ。確か固めるとか何とかだった気が」


「エエ。ワタシの能力は凝固ト言エバイイデスカネ。物理的ニモ概念的ニモ精神力が追イツク限リ自由自在デス」


「うーん。概念的に固めるって言うのがいまいちわからないんだけど、具体的にはどうする事なの」


 普通にわたし、能力についての会話をこの子と交わしてる。お姉ちゃんもこんな風に接していたんだろうか。


「ハイ。例エバ、究極的ナ話デスト、時間を止メタリモ出来マスよ。ヤハリお姉サンと似タ性質ナンデショウネ」


 えーっと、似たって言うのはどんな所がかな。


 固めるって所はでも確かに、お姉ちゃんの氷の能力と近いかも。わたしもじゃあお姉ちゃんみたいな事が出来るのかな。


 それより時止めるのってちょっとやりたいかも。多分、そんなに長い間は止めてられないんだろうけど。


「ジャア少シヤッテミマスカ。りびんぐに行ク間クライは可能デスよ」


「わー、じゃあやってやって。あ、それと。ストーン・コールド・クレイジーさん、わたし雪空小春。これからよろしくね」


「ゴ丁寧にドウモ。ワタシもコレカラ成長スルノデ、小春サンと一緒ニ力をツケテイキタイデス。ソレデハ、ヤリマスよ」


 ふ、とストーン・コールド・クレイジーは前に手をかざして力を使う。・・・・・・使ったんだよね?


「ハイ。行キマショウ」


 そうして、わたしはこの子に導かれて、リビングに行く。と、時間を先に見るともうお昼だ。


 随分長く寝ていたけど、あんなに長くじゃああんな夢を見ていたって事か。




 どこかドキドキしながら、止まった時間の中を歩く。ってホントに停止してるんだよね。


 ふふ、と親指を立てて合図をくれるSCCちゃん。略しちゃったら駄目だろうか。


 しかし、居間にたどり着いてわたしは驚きのあまり開いた口が塞がらない。時間は停止しているのだが、何か見てはいけないものを見てしまったみたい。


 ・・・・・・まふちゃんと時雨が絡みそうになってる。これ、どう言う事? ってまふちゃんもう来てたんだ。


「あのさ、いきなりで悪いけど、SCCちゃんって任意に時間停止をやめる事って出来る?」


「ハイ。勿論デス。ソウシマスか? ソレト、ソノえすしーしーチャンと言うのはあだ名デスカ? 嬉シイデス!」


 うん、その略称は喜んで貰えたようで何より。そして、やっちゃって。


「オーケー。凝固中止」


 パッとすぐに動き出して、その二人が何やら会話をしている。


「じゃあ時雨さん、わたしからだったら触っていいですよね? 少女に触られるの好きなんでしょう?」


「は、はい・・・・・・。心の準備は出来てます。本当はお嬢さまに頼みたいのですが」


「ちょっと君達。人の家で何やってるの。って言うか、アンタ達そう言う関係だったの。わたしに隠れて、よくもまぁ・・・・・・」


 呆れるやら怒るやら、どう感情を持っていけばいいのか持て余し気味のわたしが、眉をピクピクさせながら、二人を問い詰める。


「お、お嬢さま?! ち、違うんです、これは・・・・・・。子供から大人への性的接触だけなら、逆に犯罪にならないだろうって。襲われたのが私ならって。そう言う真冬様の配慮なんです。こ、これは真冬様から言い出された事で、私もその、あの・・・・・・」


「あー、そうやって責任逃れしてもいいですけど、時雨さんもノリノリでしたよね。あのねハルちゃん、これ別に胸とかちょっと触るだけの実験だから、もっとイケない事はまだ流石にしないよ。それにわたしじゃ不満なんだったら、ハルちゃんがやってあげたら」


 はわっ?!と期待の眼差しでわたしを見る二人。


 い、いや、それは論理的に考えてもちょっとおかしい。


 そもそもエロい事をするのが問題なんであって、それを誰がやるかとかそっちの問題じゃなかったはずだ。


 ああっ。何だか夢の内容思い出して、変な気分になっちゃいそうで、股間が若干濡れて来てしまっている気がする。パンツ折角変えたのに・・・・・・。


「ちょっと、SCCちゃん。この二人にお仕置きって出来るかなぁ・・・・・・」


 わたしが黒い笑顔でSCCちゃんに質問すると、二人は傍らの雪女ちゃんに目を転じて、目を丸くする。


「お嬢さま。能力が目覚めたのですか。で、でも高熱なんていつ?」


「夜中の間、うんうんうなされてたんですよ、時雨さん。わたしそれで変ないやらしい夢は見るし、それでこんな現場見せられるし、イライラがマッハになりそうなの。どうしてくれようかなぁ」


 少し楽しくなって来ているわたしに、能力が凄いとこの前聞いていた手前、本気で怯えている時雨。


 それに対して、わたしのそう言うきつい性格はよく知っているまふちゃんは溜め息一つするだけだ。


「あー、やっぱり爆弾爆発させちゃったか。ハルちゃんにもいい刺激かと思ったけど、タイミングが悪かったかな。そんな超能力まで嫉妬の爆発に使うとは・・・・・・。嫉妬心までそんなに凄いのは、あんまり想定してなかったけど、確かに友達関係でもそんな所あるから、理解出来る気がする。そんなハルちゃんの気難しい所も可愛いよ」


 そ、そんな事で丸め込まれる様なわたしじゃ・・・・・・。


 で、でもまふちゃんはホントにわたしをわかってて、そのまま受け入れてくれている。お仕置きだって甘んじて受けるって感じの態度だ。


 ハッ。待って待って。そもそもまふちゃんったら、全然反省してる気配すらないじゃない。あの素直なまふちゃんはどこに行っちゃったの?


 もっと優しくてそんな意地悪なんて全然しなかった昔の憧れが、どんどん変化によって崩壊していく・・・・・・。


 そうか。恋人になったり、成長していくって言う事は、そうやって振る舞い方とか関係性が少しずつ違うものになっちゃうって事なんだな。


 それでも変わらないものもあるだろうけど、一切がそのままなんて、そんな旨い話はないんだ。


 それは勿論わかってたけど、どこかでそれを拒絶してたのかも、わたし。


「ドウシマスカ、小春サン。オ仕置キとはドンナ物がイイデスカネ。動ケナクスルトカも出来マスケド」


「うーん、もういいや。時雨がなんか本気で怖がってるの見たら、あなたの力は暴力的になりふり構わず自分の都合で振るっていい物じゃないってわかったからね。それにもういいんだ。違う提案もして貰ったし」


「ワカリマシタ。ソレではワタシは、待機シテイマス」


 時雨がホッとした顔をして、あーこれは脅しすぎたかなと、ちょっと反省。で、とまふちゃんにわたしからも話をするのである。


「そこの場所、やっぱり変わって」




 今このリビングルームにはわたし達三人しかいない様ですね。ソーニャさんとティナさんは昼寝中?みたい。


 あの二人、ソーニャさんはエロを避けようとしているけど、一緒にいつも寝ているらしいし、相当仲いいものと見た。


 案外、ソーニャさんも寂しがり屋なんだよね。


 マルちゃんも今はいつもと違ってここにいない。どうしてるんだろ。部屋で何かしてるか、寝てるのかな。揃って皆が寝てると変な感じだな。


 と、それはそうとして、今わたしは時雨の上に乗っかかって、メイド服を捲ろうとしている。


 いや、これ手を入れた方がいいのかな、どっちがいいだろ。


 と思ってると、何やら恥ずかしげにしながらも嬉しそうな顔で、時雨がまるで本番を行うかの如くに「優しくして下さいね」なんて仰る。


 時雨さん、そんなエッチな声でそんなセリフ言われたら、こっちもおかしくなりそうなんでやめて貰っても構いませんかね。


 やけに時雨もそう言う感じを出すし、こっちが緊張して来てしまう。


 傍でまふちゃんはニコニコしているのだけど、この子はこの状況をよく楽しめるものだな。


 やっぱりわたしの憧れの女の子は、肝も据わってるって訳だ。


 少しメイド服を捲ってお腹を見る。おへそも一緒に凝視してから、撫で回してみる。あ、結構これ気持ちいい。


「あ、お嬢さま。手つきがやらしいです・・・・・・。そんな丁寧に撫で回す様にされたら、いかがわしい気分になっちゃいますよぉ」


 そ、そんなの言ってもしょうがないじゃない。


 初めてだし、そんなにエッチな触り方してるつもりじゃなくて、普通にさわさわしてるだけなのに。


 もう時雨の艶めいた言葉は無視して、ここからは捲らずにそーっと手を這わしていって、胸まで行進していく。


 途中で時雨は「あっ。ああっ。お、お嬢さま、そ、そんなっ」とかホントに艶めかしい大人の女性の喘ぎ声みたいなのを漏らしているのだけど、これは無視無視。


 う、うん。でもそう出来ないほど、魅力的な声で喘ぐわね。こんなに声を漏らされたら、もっと何かいやらしい事してみたくなっちゃいそう。


 子供にはこんな大人の嬌声は、耳に毒だ。


 ブラの所に行き着いたので、そこを進んで行って、時雨の形のいい胸を手に取る。で、どうするかと言うと、揉んでみるのだ。一応先に許可を取ってみると、すんなりオーケーサインを黙って手で作る時雨。


 「お嬢さまぁ~」と切なげな声と表情で、何かを訴えて来るのだけど、これ以上どう応えてあげればいいのか。って言うか、凄く柔らかい。


 自分のではない他人の胸の感触がここまで気持ちいい物だとは。これは癖になっちゃいそう。ふにふに。


 そして探索していきながら、乳首をちょろっと摘まんでみる。そうすると、


「ひあぁっ。お、お嬢さま! そ、そんな事までされるんですかっ。い、いけません。お嬢さまにはまだその様な大人の階段に昇る行為は・・・・・・。あああっ。そ、そんなに強く摘まんではいけませんよぉぉ!」


 うーむ、楽しくなっちゃいそう。こんなに時雨の優位に立てる時ってそうそうないから。


 だって、いつも時雨は余裕たっぷりにわたしをサポートしてくれて、血を吸われる時だって、いつだってわたしが放心する羽目になるんだから。


 これからどうしてみようかと思っていると、パンパンと手が叩かれて我に返る。まふちゃんだ。


「はいはい。ハルちゃんって結構むっつりスケベだね。かなりノリノリじゃないの。時雨さんが収まりつかなくなるから、そこら辺で止めてあげてね。それ以上やると、下半身が我慢出来なくなっちゃうから。いや、今でもそうですかね、時雨さん」


「うぅぅー。お嬢さまは割とSっ気があったんですね。わ、わたしちょっと妙な気分が収まりませんよ、まだ。で、でも大丈夫です。あ、後でちゃんと自分で処理はしますんで。お気になさらず! 後、本来ならしていいと言った事しか他ではしちゃいけませんよ!」


 強がってそんな変な発言になっている時雨。って言うか子供の前でそんな言葉言わないでよね。そんなの聞いたら、わたしもムズムズしそうになるじゃない。でも後の発言は確かにそうだから、わたしも反省しないと。


 いやそれよりも、まふちゃんさん。わたしの事むっつりスケベだって言った? そんなつもりなんてまるでなかったから、ちょっとショックかも・・・・・・。


「うーん。やっぱり難しいなぁ。ハルちゃんは悪ノリするし、あんまり性的刺激をすると、時雨さんに途中で止めるのは悪い気になって来るし。これはあんまり子供から大人への性的接触も控えた方がいいかな。うん。それならわたしとハルちゃんでなら、一番楽しめるって事か」


 何やら一人納得顔のまふちゃん。えーっと、その論理はおかしいですよ、真冬さん。


 どうせ、わたしがネコ側になるんでしょう。まふちゃんはリードしてくれる性格だから、絶対そうだ。


 そんなの駄目だよ。乱れてもいいのは、もっと大きくなってから!


 性規範に従順になれって言う訳じゃないけど、やっぱり越えちゃいけない一線だってあると思うから。


 そんな様な事をわたしはモジモジしながら言うと、ふむとまふちゃんは少し不満気ながら、まぁいいかと引き下がってくれた。でもと前置きして、


「ちょっとはキスするとか、胸を触り合うとかくらいならいいよね。また今度しようね、ハルちゃん。あ、時雨さんもさっきはああ言いましたけど、混ぜてあげますからね。わたし達へのお触りは厳禁ですけど」


 どうも時雨へは生殺しを徹底するらしい。


 それなら、わたしなんかは下半身以外なら、時雨にも触らせてあげてもいいのではと思うのだけど、それが越えてはいけない一線なのかもしれない。


 でも時雨におっぱい触って欲しいな、とも実際思うんだもん。


 こう言う子供の欲望は、大人に向けると確かに危険な兆候を帯びるんだね。


 でもわたしは時雨を好きになってしまったのだから、節度あるお付き合いを前提にしないといけないのはわかってる。


 そうだ。エロい接触なら、時々の血液提供があるじゃない。あれだっていい気持ちになれるし、こっちだって何かしてもいいはず。


 と思って、まだどいてなかったので、首筋をペロリと舐めてみる。


「ふひゃあぁっ! お、お嬢さま?!」


「へへへ。ちょっと時雨のやる様な事やってみちゃった。好きだもんね。これもあげる。・・・・・・ちゅ」


 唇にちゅーをする。


 少し照れくさいけど、これは凄く幸せになるので、段々好きになっていってるかも。


 時雨がまだ興奮している様な顔で、わたしを熱い視線で見つめるので、離れていないとなんかヤバい感じもして、まふちゃんが「もー、悪戯するの好きなんだからー」と言うのを尻目に、わたしは知らん顔して、ソファーに座って本を読み始める。全員誰もが死ぬミステリってどんなのって思ったけど、以外にこれ面白い。傑作扱いされる訳だよ。


「あれ、クールを装ってるけど、自分でもまだ戸惑ったり高揚してる証拠ですからね。ハルちゃん、あんまり免疫ないから、緊張してたのに勢いだけであんなにやって、自分で悶々としてるんですから」


「あー、そう言うとこ、お嬢さまはありますよね。わかります」


 わたしの恋人二人は、実にわたしの分析が良くお出来になる様で。そう二人が言うんなら、そうなんでしょうよ。わたしは知らないもん。


 もう、あんまり勢いで流されるの、わたしの悪い癖だ。




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