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小春の時雨日和  作者: 藤宮はな
第二部:ご先祖ソーニャさん登場
26/62

第26話デート再び

 目が覚めるといつの間にかベッドの中で寝ていた。


 多分、時雨が運んでくれたんだろう。いっその事横で寝ててくれたら良かったのにと思うも、それでもきっとわたしより先に起きてるだろうから、あんまり意味はないのかもしれない。


 パジャマから服に着替えて、居間に向かう。何やらソーニャさんとマルちゃんは既にゲーム対戦とかしている。


 それを傍で見ているティナさんが、あたしにもやらせて下さいーと言っていて、現在選手交代した所。


 って言うか、マルちゃんが大分勝っていたようで、ソーニャさんは相当弱いのかな。


 あんまりゲーム三昧とかした事ないし、人の実力がどうとかもわからないから、わたしは傍目に眺めているだけだけど。


 時雨がパンを焼いてくれて牛乳を入れてくれる。それをゆっくり食べながら、今日のプランを時雨と考える。


 とりあえずその〈悪童書店〉に行く事でいいみたいだけど、予算は昨日の内にお母さんにねだって置いたので、今日はそれがテーブルに置かれている。って言っても、お年玉とかから引かれてしまう事になるのだけど。


 レモネードを飲んでいるお姉ちゃんが、今日も三つ編みにしてあげようか、それともツインテールなんていいかしら、と言うとすかさず時雨が、


「ツインテール、いいですね。どんな髪型もお嬢さまなら、素敵になりますが、木の葉様の発案はいつも素晴らしいです。お嬢さまの活かし方をわかってらっしゃる。流石、お姉さまですね」


 などと持ち上げている。それを受けてお姉ちゃんは、


「ふふふ、そうでしょう? 小春の魅せ方は色々あれど、やはり姉である私にはいい部分が、もうバッチリ見抜けてしまうのね。時雨さんと結婚したら、正式に義理の姉になってしまうのだし、今から時雨さんもお姉ちゃんって呼んでくれて構いませんよ?」


 と返している。それだと少し年下のお姉ちゃんになるけど、それはいいのかな。


 時雨はあまり気にしなさそうだけど、お姉ちゃんはもっと時雨を慕っているんだから、年上に敬意を払って欲しい。わたしの事でマウンティング取りたいんだろうけどね。


「おー、勝ちました! マスター、あたし才能ありますか? マスターより実力は上ですよね」


「う、うるさい。部下の癖に生意気だぞ。ふ、ふん。ゲームで勝ったからっていい気になるなよ。余が完全体になれば、ゲームの実力どころか、全てに置いて貴様など凌駕してくれるわ。無論、マルよ、お主もだぞ」


 あれま、逆にソーニャさんを吹き上がらせてる。たかがゲームって言っても、今はeスポーツとかも盛り上がりかけてるし、それって賞金とかも出るんでしょう。


 それなら馬鹿にしたものでもないんじゃあ。まぁ、そんなのに勝てるほどにティナさんが強いかは別の話だけど、少なくともこの家の中では強い訳で。


「さあ、小春。やってあげましょう。私も実はあっちのゲーム大会に参加したいのよ。二人のデートはまた聞くとして、今は休日を有意義に過ごす方法を考えなくちゃ」


 待って。まだ食べてるから。数分掛けて、食事を済ませると、鏡の前で今日は時雨もニコニコと観察しながら、わたしはお姉ちゃんに髪をセットして貰うのだった。




 久しぶりに眼鏡を変えてみる事にした。


 それはツインテールにされて、昨日の三つ編みともまた気分が変わったからなのだけど、今日は眼鏡もお洒落してみる気に。


 いつもは黒くて薄い機能性の物を付けているのだけど、今日はちょっと青い色でフレームもそれほど重くはないけど、装飾的に分厚いのをかける。


 それを見た時雨が一言。


「わ。お嬢さま。いつもの地味な眼鏡はそれはそれで、お嬢さまの知的さを強調するようで、かなりときめくものがありますが、今度のはお洒落ですねー。そんなちょっと目立つ様なのも持っていらしたなんて。お嬢さまも、自分でも可愛い恰好したいんじゃないですか」


 と言われて、やっぱり元のに戻そうかなと、気恥ずかしさを覚えた。


 ああー、いけません、そのままでどうか、と言うので仕方なくそのまま出かける訳だけど。まぁ、時雨が気に入ってくれたんなら、わたしも嬉しいけどさ。


「そう言えばお嬢さま、普段は後ろで纏めてるだけですよね。何か理由があるんですか」


 うーん、それ聞かれるとは思ってた。これ言うと、わたしがずぼらな人間みたいで嫌なんだけど、そういつも髪型でお洒落ばっかりはしていられないのだ。


「いや、それはただ面倒だから、とりあえず梳いてから後ろでくくって、残ったのを髪留めで纏めてるんだけど、そんなに器用な方じゃないし、上手く色んな髪型に出来ないんだよね。昔はお姉ちゃんにあれこれやって貰ってたから、そりゃあ可愛くはしてたけど、段々男子とかに眼鏡なのに可愛い子ぶりやがって、とか言われてからやめちゃった。本読むのに別に綺麗でいる必要もないし」


「な、何て酷い。そんな男子、千切って捨てましょう。女の子の髪をそんな風に言うなんて。でもそれなら言って下されば、どんな髪型でもして差し上げましたのに。今まで辛かったんですね、よしよし」


 時雨は唐突にわたしの髪を撫でて来る。な、何これ・・・・・・!


 凄くいいんだけど。気持ちいい。こんな風にされるの、今はかなり快感に感じるの、わたしが時雨を好きだからなのか。


「あ、すみません。あまりにも子供扱いしすぎましたかね」


 時雨は勘違いして、わたしが嫌がってると思ったんだろう、それをすぐに止めてしまう。


「別にいいのに。それ気持ち良かった。子供だからして貰える特権があるんだし、もっと甘えさせてくれてもいいのよ」


 うぅ~と感動しているのか、悶えているのだけど、これはわたしの言葉が嬉しいって解釈でいいのよね。それより、早く行きましょうよ」


「あ、そうですね。じゃあ出かけましょう。お嬢さまの行く所なら、どこまででもついて行きますよ」


 行き先は古本屋と言う、昨日以上にデートらしからぬ場所だけど。そして今日は時雨もメイド服を着ている。それもまぁいいか。




 〈悪童書店〉に到着して、自動ドアをくぐる。


 やはり古本の独特の臭いが漂って来るので、それまで心地いいとか思ってると変態だと思われそうだから、黙っている。


「うわー、凄く古本屋って感じですね。何だか年期感じます」


 そうは言っても、内装は綺麗なもんである。それほど天井が高くないので、小学生でも危なくない高さまでしかなくて助かる。


 勿論、台はいるんだけど。それか、時雨に取って貰えばいいのかな。


 古典文学全集とか哲学者の全集とかが積まれている、カウンター付近を通って、その先の小説の棚に向かう。


 流石に古い版の物も多くて、それは活字が小さいデメリットがあるんだけど、現在の版が絶版でもない限り、かなりお安くなっていると言う特徴がある。


 だから出来るだけわたしは大きい活字の版で読みたいとは思っているんだけど、そちらが古本で手に入らなかったり、小さい方が格別に安い時は、そちらを購入する事もある。


 しかし、これが眼鏡を掛けている視力が悪い人間には大変なんだよなぁ。だから先程言った通りに、わたしは出来るだけ活字が大きい方を好むのだ。


 勿論、電子書籍ならもっと自由に読めるんだけど、あまりにも長時間読んでたら、そちらはそちらで凄く目が疲れて堪らない。端末の電池残量だって心配になるしね。


 それから古本を利用しているとこんな事もある。文庫が既に出ている本を、安いからと言う理由で単行本の方を買ったりするなんて話。


 実は解説とかの類は、それが大いに助かる事もあるのだけど、結構な割合でそれがつまらない感想とか自分語りをしているだけ、なんて言う下らない解説を見かける機会が多くて難儀するんだね。


 だから、単行本でもそう変わらないし、そっちでいっかなんて事にもなる。


 勿論、内容が変わるのもあるし、凄く改訂されているのは、文庫を最終決定版として購入するのがいいのだろうけど。


 雑誌なんかも置いてあるのだけど、これも割と色々取り揃えている。


 それも何やら、同人誌なんかの販売店はそうだと言う話だけど、この店はその雑誌の目次と大まかなページのコピーがビニールに貼り付けられていて、それが結構重宝するとそんな声も聞こえるみたい。


 お願いすると、中身の確認もさせて貰えると言うのだから、至れり尽くせりだ。


「はー、昨日の書店では見なかった本なんかも、沢山あるんですねぇ」


「そう、そうなの。旧版とか絶版本とか、品切れの商品とか、色々な本が置いてあるから、品揃えのいい古本屋さんって好きなの。これなんて読みたいと思ってたから買おうかなー」


 そう言って、わたしは有名な主従があちこちを遍歴する、前篇と後篇で合わせて六冊がセットになっているのを見つめる。


 これ六冊一纏めだけあって、結構値段するな。でもこれ今買っちゃおう。


 それからあれこれ、これもいいでしょ、あれもいいでしょ、なんて長々と話し込んでから、かなり安い値段の文庫本を大量に買ったと思う。


 その間、籠を時雨は持ってくれていたので、やっぱり時雨は凄く優しくて気配りの出来るメイドであると思う。


 恋人としても、小学生には辛い量だから、持ってくれたのは素直に嬉しい。ほら、わたしって非力だし。


 別に重い物が持ちたくない訳じゃないけど、素直に助かるって話。これ、以前はお姉ちゃんにお願いしてたんだよね。自分で持ったりもしてたけど、帰りでへばったりしてたし。


 レジを済ませると、店主のお姉さんがこっちを見て、


「いつもありがとね、お嬢ちゃん。近頃、本ばっかり読む子なんて減ってるから、君みたいな子は貴重だよ。乱読大いに結構。偏見なく色んな本を読んで欲しいね。それに今日は、いつものお姉さんじゃなくて、別のお姉さん連れて来ちゃって。隅に置けないな」


 恥ずかしくて俯いて、はいとかどうもとか言って、お釣りをわたしが受け取っていると、時雨が笑いながら、


「お嬢さまは私の誇りです。お供出来て、望外の喜びです」


 なんて言うもんだから、お姉さんも目を丸くして、


「そ、そう。そりゃあ良かった。こんな背伸びして、変な本とか大人が読む本ばかり読む子も、珍しいけど必要だよ。お姉さんもちゃんとこの子の長話にも付き合ってあげなね」


 と言うので、これはわたしみたいな人種は、本の話をすると話が長くて、興味がない人間には退屈なだけって言うのをよくわかっている証拠だ。


 さては、お姉さんもここの店番してるくらいだから、そう言うタイプだな。傍に置いてある本は、どうやらアメリカに亡命したロシア貴族が、大学でロシア文学を講義した内容の本みたいだし。これは上下巻だったかな、確か。


「はい。お嬢さまの話は、いつまで聞いてても飽きないで、その声色から内容から、凄く楽しいので大丈夫ですよ。夢中になっちゃいます」


 そりゃ良かったと、にこやかにお姉さんは袋に詰めた物を時雨に渡している。やっぱりわたしも持った方がいいんじゃないだろうか。いい所を見せたい気持ちはあるし。


「いえいえ、いいですよ。お嬢さまは昨日からお疲れみたいですから、わたしが持ちます。それくらいの事、させて頂けますよね」


 そう念を押されて言われては、引き下がるしかない。お姉さんが毎度ーなんて言うのを聞きながら、店を後にする。


 それからどうしようかと思っていると、帰りますかと時雨が手を差し出した。そうだ、もう今日は家でゆっくりしてよう。


 これで当分の積ん読は確保出来た訳だし。時雨にも読んで貰って、色々話がしたいな。


「ええ、是非女子会しましょう。それも二人だけの、ね」


 ニコッと微笑む時雨は、それはもう眩しくて、わたしなんかには勿体ないのではないかと思えるほどの、美貌のお姉さんなのだった。


 この人がわたしの恋人なんだ、とふと再認識すると、途端に気持ちが高揚して来て、自分が誇らしくなると言う勘違いも生まれるのだった。


 握った手のひらが、いつも以上に温かかった様な気がしたのだけど、多分気のせいではないはず。うん、時雨が温かいのよね。




 家に帰って、わたしはまだ時雨に甘えようとしてなかった。でも夜にはやろうと思ってる


 だって、今日は時雨ったらいつもそうだけど、暑いのに外出してくれたし、それに影も作ってくれてそこそこ暑さが軽減されたもん。


 それは時雨もそうしないと辛いからだけど、わたしにも恩恵がいくように考えてくれてるのは、ホントに気配りが出来るって言うか。


 だからわたしがもっと甘えると喜ぶかなって思うのよね。それ以外だと肩揉んであげるとかしか思いつかない。


 ああ、肩揉みとかしてあげればいいのか。それもしてあげようかな。


 本を読んで時雨の先にお風呂に入る。今日はどうしてだか、一緒には入らなかった。なんかマッチングが上手くいった時に入るって感じなのかも。それで時雨が出て来るのを待つ。


 時雨が程なくして出て来ると、彼女が水玉模様のパジャマを着ているのがわかる。夜はメイド服ではないのだ。そして、わたしはピンクのちょっと可愛い目のやつ。


 ソファに座る時雨の傍に行って、わたしも座る。にこやかに視線を送ってくれるので、わたしはちょっと悪戯っぽく、


「ねえ、膝の上に乗ってもいい?」


 と言った。これには少したじろいでいるみたいで、彼女の視線は行ったり来たりする。


「え、ええ・・・・・・。いいですけど、またどうしてそんな」


「いいの、したかったから」


 そう言って、わたしは時雨の上に乗っかる。痛くないかなとちょっと心配したけど、その心配はないと思われた。


 まだわたしはあんまり重くないって事かな。そこでわたしは不器用だから上手くなんて出来ないけど、自分なりのアプローチをしていく。


「ねえ、まだデートは終わってないんだよ? 時雨から今キスしてくれると嬉しいな」


「わ、わ。お嬢さま、どうしたんですか。そんな蠱惑的な瞳で見つめて来て。そんな風に迫られたら、私困っちゃいます・・・・・・」


 いい。困らせてやるんだから。わたしも振り回して、ドキドキさせられるように頑張るもん。


「ね? いいでしょ。ほらぁ、こんな感じで・・・・・・」


 そうしてわたしはちゅっとほっぺに口づけをする。ひゃわーっとなる時雨だけど、容赦なんてしてあげないんだから。


「や、やっぱり、ち、近いですよお嬢さま。わたし耐性ないから、こう言うの弱いんですから」


「駄目。キスしてくれるまで離れないもん」


 これじゃ甘えると言うより、駄々捏ねてるみたいだ。


 でももう判断なんてつかなくなってるし、わたしもこのドキドキをどうする事も出来ないから、そのまま暴走する。


「ね、お願い。時雨、大好きだから」


 頭に手を回したら、真っ赤になって恥ずかしがってるように見える。


 何だか、そんな姿も可愛いかも。


 大人なのに、子供にいいようにされてるっていいじゃない。おねロリだとか言われた事もあったと思うから、それならロリ側が攻撃してもいいじゃないのよ。


「は、はい・・・・・・。お嬢さま、それではお嬢さまがして下さい・・・・・・」


「もう、しょうがないわね。そんなにヘタレだったとは。いいわ。してあげる。時雨の口って柔らかくて好きよ」


 ぷしゅーっとなっている所にすかさず、わたしは甘いキスを仕掛ける。吸い付いたりすると、余計にあわあわして、彼女は顔を逸らしてしまう。


「もー、そんなに恥ずかしがりだっけ。最初の時とはえらく違うなぁ。恋人になると、色々な一面が見られるって聞くけど、時雨は実はシャイなのね」


 でも、そっか。そんなに人付き合いして来た方じゃないのは確かだし、恋愛だって経験がないのは同じだよね。奥手でもあるんだね。


 ちょっと安心したって言うか、より愛おしくなって好きになっていく。で、それで緊張から暴走する事もある、と。


 でもそれなら、あっちもして貰いたい。だから言う。


「じゃあさ、血を吸ってよ。あれで時雨も気持ち良さを感じて欲しいな。時雨にばっかり気を遣わせてるから、もっとわたしも何かしてあげたいのよ」


「う、そ、そうですね。それなら、そこに寝てくれますか。お嬢さまにも、いいようにしますから」


 言われて、抱き上げられてから、ソファーに寝かされる。わ。これ結構いいかも。


 抱っこされるのって小さい時しかされないけど、この年になっても嬉しいものなんだなぁ。


 首にしてくれるようだ。首をペロペロと舐めているからわかる。


 こうなったら、それなりには出来るみたいだけど、凄く一生懸命にやっていると感じさせられるので、その誠実さが伺い知れる。


 牙がキラッと光って、わたしの首筋に立つと、やっぱりまだ怖い感じもあるけど、あの甘美な感覚も味わいたくて、期待感も高ぶる。


 がぶっと来てから、ちゅーっとされて、あ、なんか凄い。前からこんなのだっけってほど、時雨の吸血能力が上がっているのかしら。


 凄く痛みもないし、官能って言うのかしら、そんな快感が生まれて来て、エッチな事が出来ない子供のわたしには、ちょうどいい代用でもあって、時雨にとってはそれが素晴らしく吸血鬼としての幸せでもあるのだろう。


 しばらくぼんやりしていると、時雨がえへへと笑って来る。


「やっぱりお嬢さまの血は至高の物ですね。こんな風に私が貰ってしまっていいのでしょうか・・・・・・」


「うん、いいよ。時雨だから吸って欲しいの。これからは出雲ちゃんにも、他で吸うように言おうかなぁ」


 そう言ってわたしも寝転がっていると、時雨は牛乳とチョコレートを持って来てくれる。それを食べると、少し元気が出て来た。そんなにぐったりしてた訳でもないけど。


 それからまだドキドキしながら、今日買った古本の話をしながら、ああでもないこうでもないと本の話をずっとしていたとさ。


 ああそれから、こちらからお願いしてって言うのもなんか変なんだけど、肩揉みもさせて貰った。


 意外に凝っているようで、それはそれは念入りにしてあげると喜んでくれた。


「ああ、お嬢さま。気持ちいいです・・・・・・あ、そこ。その部分、最高です。痛いのがまた気持ちいいって感じで、それも段々凝りがほぐれていく感じが、また楽になっていって、お嬢さま凄く上手でいいですぅ」


 などとふにゃーっとなって声を漏らすものだから、少しわたしの方がドキッとしてしまうみたいで、一生懸命揉みほぐす事で、そんな邪念を打ち払おうとしていたのだった。


 それで寝る時になって、また一緒に寝て欲しいと、夏場なのにまたお願いをすると、モジモジしながらも了承してくれた。


 だから、もうわたし達はラブラブって事でいいと思う。と言うより、わたしだけを見ても、時雨にメロメロだし、時雨にもわたしにもっと夢中になって欲しいのだ。


 そこに少しだけ、まふちゃんの顔が浮かぶのだけど、問題は先送りにしてしまうわたしなのだった。




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