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小春の時雨日和  作者: 藤宮はな
第二部:ご先祖ソーニャさん登場
17/62

第17話契約? 儀式の為のキス? ご先祖ソーニャさん襲来

 最近、些かほっぺにとは言え、時雨に頻繁にキスしすぎた様な気がする。


 どうしよう、とっても恥ずかしい。


 でもいつもその時は嬉しそうな顔をしてくれるくせに、その後に顔を合わせたら、全然おかしな態度を取らないで平然としているのが気に食わない。


 わたしはこんなに落ち着かない気分でいるって言うのに、どうしてあんなに冷静でいられるのかしら。


 ああ、でももし口にキスしたらどうなるだろうかとか、そんな妄想が頭の中に浮かんで離れなくなる時が時々。


 それからもし時雨からキスしてくれたらどうだろうか、とか。


 ううん、わたしとしてはもっとロマンチックに、ドキドキしていいシチュエーションでキスして欲しいなって思うんだけど、もしかして時雨とだったらそのまま吸血行為に突入しちゃうかも。


 そもそも時雨はわたしの事、好きなのよね?


 もしこれがわたしの勘違いだとしたら、あいつはわたしを弄んでいる事になるけど、絶対あいつってばわたしに惚れ込んでいるはず。


 だからわたしが何かアプローチを仕掛ければ、もっと進展はあるだろうけど。


 けど。でもわたしは今までの動きだって精一杯やっているつもりなのに、この後はもっと勇気を出さないといけないなんてちょっと怖いな。


 勢いでいつもやっちゃってるけど、後から悶絶して困ってしまうんだもの。もっと自然に怒ってるように見えない感じで、優しい態度を取れたらいいな。


 そう思って英単語帳を見ながら、時雨の方を何気なく眺める。


 マルちゃんも同じ方向を向いて、こちらはどうやら棒のアイスを食べているらしい。そして時雨は今、電話中だ。


「はい。ええ? それは大変驚きましたけど、またどうしてこちらに来るなどと? はい。しかしあの方は結構危うい目的があったようですが、平穏に暮らしたい私達を引っ掻き回さないでしょうか。ええ。わかりました。お世話はしますけど、この家の人に許可は取らないといけませんよ。ええ、それじゃあ」


 電話はそれで切れた。何やらおかしな事が起こっているらしい。


 はあ、困りましたね、と溜め息一つをして、悩ましげにわたしの方を見て来る。


 え、何。わたしにも何か関係のある事なの?


 と、そこでチャイムが鳴ったので時雨が通話に出る間に、わたしはさっさと玄関に向かう。


 ここら辺が実はわたしの安全対策とか警戒心の欠如なんだろうけど、とにかく知ってる人がいつも来るので、全然問題にしないのだ。


 時々、お母さんの編集さんが来たりすると、歓迎して入れてあげる。


 そうすると、大層可愛がられるのだけど、お母さんは基本的には原稿の締め切りは守るので、重宝するとかいつも助かってるよ、とかお褒めの言葉を頂く。


 まぁ、わたしが褒められてる訳ではないし、お母さんはいつも氷雨さんとかなりやりすぎなくらい原稿三昧なので、相当ストックも溜まるらしく、色々他にも原稿は進むとか。


 読み切りなんかも時々描いてると思ったら、いきなり二話掲載とかして、本当にそんな暇があるのなら、もっと娘に気を配って欲しいと思うのだな。


 それはそうと玄関を開ける。


 そうするとそこには、わたしよりもう一つ頭が低いかと思われる子供が一人。


 髪は金髪だ。いや、容姿からしてもこの子外国の子ではないかな。妙に可愛い顔をしているのに、態度が不遜な気がするのは気のせいではないよね。


 凄く尊大な姿勢で、胸を張っているからどこかの偉い人の子供だろうか。いやしかし、そんな子がどうしてウチに?


 そんな疑問を感じながらわたしは人見知りを発動して黙っていると、向こうは何気に気さくに話しかけて来る。


「おお。お主が余の可愛い子孫、時雨のご主人か。映像で見るより神経質で面倒くさそうな感じがするなぁ。うむ。今日からしばらく世話になるぞ。余はソーニャ。ささ、中に入れてくれ。これからお主らをグレードアップするいい話を持って来た」


 はい? なんじゃこの子。


 時雨が子孫って、何の冗談かと思うくらいそんな年には見えない。しかも何気に初対面で失礼な。


 そこへパタパタと駆けて来る時雨。顔には申し訳なさそうな表情が張りついている。心なしか、時雨に同情してしまいそうになる。


「すみません、お嬢さま。この人、本当に私のご先祖様なんです。何やら封印が部分的に解けたらしくて。もうご先祖様、いきなり来たらお嬢さま達に迷惑でしょう」


 構わんと呵々大笑するソーニャさんとやら。子供が老獪に笑うのって、マルちゃんで慣れてるとは言え、何だかやっぱり慣れないなぁ。


「はっはっは。何、この家には居候もいるであろう。余一人くらいどうって事ないわ。ちゃんと生活費さえ入れれば問題なかろう。それより、時雨も魔族として力を上げねば、我らの一族再興、それに加えてこのご主人を守る事も容易になるようにならんだろうと思うての」


 まぁ、立ち話もなんだから、とりあえずソーニャさんにも中に入って貰って、居間で寛ぐ事にする。もしかしたら長い話になるかもしれないし。


 何気に部屋には全員集合してるから、変な空気になっている。お姉ちゃんも不思議そうな顔してるし、マルちゃんはと言うと地球の異端じゃと興味津々だ。


「それで何の用なんですか、ご先祖様」


「だから、お主らに働きかけて、魔族としてのパワーアップを図ってやろうと言うんだわ。お主、この間死にかけたであろう。余もまだまだパワー不足だし、自分とご主人を守れる力くらいはつけて置いた方がいいと思ってな」


 うーむ。確かに時雨が強くなれば、それにこしたことはない。わたしもまだ子供だし、安全面では不安もあるし。


「その襲われた話をどうしてあなたは知ってらっしゃるんですか。家族にも言わないでいたのに」


「うむうむ。それは余の残り少ない魔力で編んでいた、外部観察用の〈パペッツ〉と言うのを我が〈ファンタスマゴリア〉の中で作っておいたのだ。それでお主らのあれこれは全部把握済みだ。だから何も説明せずともスムーズに、色々な情報は共有出来ているぞ。しかし、お主らラブラブなのに、中々進展せんなぁ。現代の社会規範が抑圧しておるのか、もっと上手くやれば良いのに」


 待って。どこまで覗いてるんですか、この人は。


 わたしはキレそうになって、ほっぺをつねってしまう。自分より子供だから扱いやすい。魔族と言えども、力があまりないみたいだし。


「うぅ~。痛い! 何をするのだご主人。確かに余が進めようとしている契約をすれば、時雨のご主人は余のご主人でもあるが、年長者を敬わんかこの小娘。余にこんな仕打ちをしてタダで済むと思うとるんか」


「あのねえ。プライバシーを覗いてた人に言われたくないなぁ。わたしは普通に時雨と接してるだけでも恥ずかしいのに、それを人に覗き見られてたとか耐えられると思う。あんなの公開処刑でしょうが!」


 むにむにしていると、まだ文句を言うソーニャさん。


「だったらそこらにもギャラリーはおるだろうがい。余だけ仲間外れにしようったってそうはいかん。もっと現代の恋愛事情も垣間見せて欲しいんじゃ」


 ええー。なんか理不尽な駄々のこね方して来たなぁ。


 って言うか、そんなに子孫の事情が知りたいのかな。


「可愛い子孫の事は気になるのだ。そりゃあ余だって、余の子供を産ませたおなごとイチャつきたいわい。しかし余が封印されて以来、もうあの子は死んでしもうた。それなら、子孫の性事情を眺めて楽しむしかないだろうが。それに余はお主らに朗報も持って来たんだぞ。感謝されてもよかろうもんなのに、こんな扱いで。うぅぅ~」


 ああ、涙まで浮かべて。これじゃわたしが悪いみたいじゃん。覗きやった方が悪いんじゃないの。


 そのパペッツって言うのは、思うに複数形だから、色々な所に監視カメラがある様なもんでしょう。


 バッチリあれこれ見られてたって事だ。お姉ちゃんに見られているのとは違うのよ。


 マルちゃんはまぁ、なんか地球人じゃないし、そんなに見られても悪い気もしないけど、ご先祖様が逐一見ているなんて正気じゃない。


 そりゃあ最愛の人と離別しちゃったのは可哀想ではあるとは言え。って言うか性事情ってなんだ。エッチな事はしてないぞ。


「ご先祖様。言いたい事はわかりましたけど、お嬢さまの嫌がる事はしないで下さいね。それにさらっと爆弾発言しないで頂けますか。そんな風にして、私の一族の歴史が紡がれていたのなんて知りませんでしたよ」


 ああ、女の人同士で子供作ったって話か。ファンタジーな人達だし、案外普通にあり得るんじゃないのかな。


 普通はそう言うのってSFとかが担当するんだろうけど、ファンタジーがそれを受け持ったって構わないとわたしは思うけど。


「とにかく、もうそんな盗撮みたいな事はやめて。そうじゃないと、家に置いてあげないわよ」


「ぐっ。そう来られては返す言葉もない。・・・・・・わかったわかった。この家にいる限り、観察は自分でするとしよう。それくらいは許してくれよ。それに時雨もお主も魔族の事がまだいまいちわかっておらんようだから、その説明もせんといかんしな」


 はぁ。そりゃあ魔族の事なんて、どこから知るのかって感じで、知らないのは当たり前だ。


 それよりどうも吸血鬼な時雨も知らないとはどう言う事だ。その辺は説明あるんだろうな。


「ご先祖様は元々吸血鬼ではなかったんですよ。後からその機能を獲得されたんでしたっけ。それでその魔族について、どうも知識が欠落しているようで、私もそれは伺いたいと思っていました。世界の修正者と戦う異端の身だとは聞いた様な気もしますが」


 ふうん。とにかくそれなら腰据えて話さないといけないんだから、お茶を入れた方がいいんじゃないの。


 そう言うと、そうですね気が利きませんでと時雨がお茶の準備に取りかかった。


 これからその話をするなら、マルちゃん達にも聞いて貰ってた方がいいのかな。お姉ちゃんもスピリット能力者だし、聞く権利はあるよね。


 わたしは当事者っぽいし。それに契約?とか言うのも気になる。何させられるんだろ。




「そうだな、何から話したものか・・・・・・。まず余が高貴な魔の血族だと言う所かな。とにかく人間に虐げられている魔族の中でも、貴族の階級とでも言うべきポジションだった。だから余には仕えてくれる魔族は沢山いたんだが、その中の一人と契りを結んだんだな。大層発育のいいおなごで余は夜の営みにそれは満足しておった」


「ちょ、ちょっとご先祖様。お嬢さまも聞いているんですよ。そう言う話は・・・・・・」


 もうその手の話は別に遮らずともわかってるから。あんまり実際の話なんて知らないから、無知な方だろうけど、上っ面撫でたくらいなら本で読んで知ってるし、性教育もあるし。


「ごほん。で、虚実機関のあの根暗何て言ったかな。そう、フラジャイルだ。あいつらも相談に来たりなんかしておったんだが、変な勢力も台頭して来て異端は狩られるようになっていったんだよ。フラジャイルもそれを止める事は出来なかった。そこで異端狩りのハンターと戦っていたんだが、滅ぼすのが無理そうだと判断した人間達は、余を強力な封印で封じたのだ。そこから余の一族はどんどんジリ貧になっていって、この極東の島国まで逃れて来たんだな。大分外見をこの地のの人間に子孫丸ごと寄せさせるのに苦労したわい」


 虚実機関と言うと、カトレアさんの所属してるあの?


 でもあの組織は、人間に敵対する魔族とは戦ってるらしいけど、中にはカトレアさんみたいな暴走もあったのかな。


 それとも何か宗教的な関係だろうか。異端は作られるとか何かで読んで覚えがあるけど。


「それで、だ。今の時代は我らを滅ぼすほどの大義を掲げる人間も少なくなって来てはいるが、エクスキューショナーの部署は未だにあると言うしな。ご主人とずっといようと思えば、余の回復が一番大きな力になるのは言うまでもないが、封印もまだ完全に解けてはおらんし、時雨の身体能力とかを向上させる方がいいように思うのだ。そこでご主人と回路を繋げる、と言うかなり強引な手段と、余との回路を強化する二方面の作戦を考えてるんだが・・・・・・」


 ああ、そこに繋がって来るのか。


 わたしは何をすればいいのかと思ってたけど、精神的なと言うか魔力的なほにゃららで、時雨と接続するって事ね。


 ふむふむ・・・・・・?! それって実質、なんか凄い一体化するとか主従の契約がより強固になるとか言う事ではないか。


 それって何だかエッチだ。エッチだぞ。エッチが何かわたしは本当の意味でわかってないけど、それは繋がり過ぎではないか。


「いやいや、でもそれってなんか付き合う、とかそんなのより深い関係にならない? そ、そんなのまだ早いよ」


 そう言うわたしの抗議にもソーニャさんは頓着しない。


「ははは。何だ、本の知識で耳年増みたいな癖して、まだまだ初な心でおるのか、ご主人は。それでは時雨も最初のはっちゃけ具合を出せんわなぁ。そうか。今は犯罪になるのだったな。いやいや、心配ご無用。ご主人は実は調べでは、物凄いスピリットのポテンシャルを持っていると推測している。それはそこの姉からも窺えるのでな。で、そのスピリットの精神力から魔力に変換して、時雨のパワーアップに努めようと思うのだ。時雨が強くて格好いい女になれば、そなたも嬉しいだろう。え?」


 うーん、確かにこの間みたいに簡単にやられるよりは、わたしのメイドとして、吸血鬼として魔族として、もっと強くて頼れるお姉さんの方がいいかな。


 でもそれってどうもエッチな儀式とか必要なんじゃ、って疑っているんだけど。


「ほう、小さいのにそんなアホな事まで知っておるんか。それも心配無用。余の技術を甘く見るでないぞ。魔方陣を描いて、お互いの血を流してキスをすれば万々歳だ」


「キ、キス?! それが問題じゃない。そんな事出来る訳ないでしょ。ほっぺにするのもどれだけ恥ずかしいと思ってるのよ」


「あのー、ご先祖様。ありがたいお話ですが、あまりお嬢さまに負担を増やすのは、ちょっと私も賛成出来ないって言うか。無理矢理キスしてもいい事ないですしね。そりゃあ、あんな事こんな事したい欲望は幾らでもありますけど」


 うん。やっぱり危ない欲望は持ってるのね。でもちゃんと弁える所は弁えてて助かるわ。


「しかしお主ら、もうラブラブではないか。時雨は最初からご主人にぞっこんラブだし、ご主人も素直になれんだけで、時雨の事好いとるだろう?」


 ああもう。何でそんな小っ恥ずかしい事をさらっと言うかなぁ。これが年の功かしら。


「でもでも、時雨ってば子供なら見境なしに興奮するやつよ。そんなのにほいほいと簡単に心を許せると思うの。絶対、ご先祖様にも発情してると思うわよ。ねえ?」


 少しギロリと睨みを利かせると、時雨はうっとたじろく。それにソーニャさんはまさかと言う顔だ。


「まさか、時雨よ。血族たる余でも構わんと言うのか。交配するにしても、遺伝子の遠いこの娘とくっつく方が何かといいのだぞ。そう言うのは現在の科学教育で既に知っておると思っておったが」


「いやー、でも幼女少女は可愛ければ、もうそれだけで正義ですので。私はもうそちらのPFM様でも幾らでもご飯が食べられるくらいですし、何なら小春お嬢さまと真冬様や出雲様の組み合わせを見ているだけでも幸せですよ!」


 ああ、こいつのおかしいスイッチが入ってしまった。


 そうだった。少女同士の絡みでも興奮して満足する口なんだった。


「いやいや、据え膳食わんとかどんだけだ。余の様な欲望が限りなく減退したもんでも、そんなの理解出来んぞ」


「まぁご先祖様の時代には、壁になりたいとか、尊いとかそんな概念はないでしょうしねぇ」


「しかし、お主は小春が好きなのだろう? ならもっと親密になりたいとは思わんのか。それが恋する乙女と言うもんだろうが!」


 おお、何だか可愛い発言。


 ちょっとソーニャさんに肩入れしてあげたくなって来ちゃう。いやでもキスはどうだろうか。他に方法はないのかな。


「ない! 覚悟を決めて二人でぶちゅーっとやるんだ。儀式用だからノーカンとしても構わん。ファーストキスはもっとロマンティックにやりたいならな」


 う、うーん。そうか、ノーカンか。うーん、どうも騙されそうになって来た。


 そう、キスくらい一度したからって減るもんじゃないし。好き同士でそう言う関係としてするんじゃないし。


「わかった。やろうじゃないの。それなら、儀式の準備をしてよ。わたしも覚悟する。時雨が嫌じゃなければだけど」


「お、お嬢さま! よろしいのですか? 私としたいと、そうおっしゃるのですか」


 どうしてそう言う方向に取るのか。そうか、それならもうちょっと釜かけてやればいいんだ。


「その代わり、ちゃんとわたしだけを見てくれるって約束してくれるんならね。わたしに寂しい思いをさせないで頂戴よ。それが約束出来ないんなら、してあげないんだから」


「わ、わかりました。お嬢さまに誓います。ああ、何だか緊張して来ました。いいのでしょうか、お嬢さまとキスなどしてしまっても・・・・・・」


 そこですかさずお姉ちゃんが立ち上がる。わっ、威勢がいいなぁ。


「許可します。小春も大人の階段を上るべきだわ。いえ、私はまだそんな経験がないから、先を越されちゃうけど。でも時雨さんなら、小春を任せられるわよ。節度は守ってちゃんと付き合ってくれそうだし」


 付き合うって、だからそう言うんじゃなかったでしょ、お姉ちゃん。


 それにトントン拍子で進んで、仕掛けたわたしが少々困惑している。


「ふふふ。そう言う事だと思って、ちゃんとポータブルのマットに紋様は描いて来ておる。うむ、やはり少し背中を押してやれば、このご主人はちゃんと素直に言う事を聞いてくれるわい」


 な、な? やっぱり上手く言いくるめられてたの? そんなのってないわ。


 でもわたしも少し興味があるんだし、ある意味どちらにも得はあるのか。時雨に強くなって欲しいしね。


 さっさと準備を整えるソーニャさん。即座に周りが固められて、圧倒されてしまう。


 本当にキスするんだよね。うわぁ、緊張して来た。時雨と同じだ。


「ほら、じゃあ余が噛んで血を出してやろう。ほら、時雨から出してみい。普段、噛む専門で噛まれた事なぞないだろうから、やりにくいだろう。ナイフで切るのは加減もわからんだろうし、危険だからな」


「ああ、はい。お願いします。ご先祖様にとっては手慣れたものでしょうしね」


 そう言って、指を噛んで血が流れる。時雨の血って見るの初めてだ、とどうも麻痺した感覚で考えてしまう。


 儀式の紋様が描かれた所に血がポトポトと落ちて、その部分が光る。


 何だか冴ちゃんの携帯の名前がそんな意味だったんじゃとか、余計な事でも考えて気を紛らわせないと駄目だもう。


「さて、ご主人の番だ。どれ、少し味見してやろうか。大層美味しいらしいから、一度食してみたかったんだよ。余にもその恩恵に与らせてくれい」


 指をカリッと噛むソーニャさん。それで少しちゅーちゅー吸われてしまう。


 あれ、あんまり反応してないけど、そんなに美味しくないんだろうか。


 ソーニャさんが離れて、ポタポタと垂れるわたしの血液。


「ははは、そんな事はない。ただ、余は若輩者と違って、極上の血を啜っても、そうは取り乱さんだけの事。あのハイデイライトウォーカーだと誇らかにする小娘とは違うのだよ」


 ああ、そうか。その辺の事情も把握済みなんでしたね。


 光る紋様を前に、時雨がやや強ばった表情でわたしの方に屈んでくれる。


 え、これってわたしからしろって事なの? 心の準備は?


「そんな。私からなんてとてもおこがましくて出来ません。お嬢さまが優しくして下さい。それにこれは私の為にして頂けるサービスの様なものでしょう。本気にしないで下さい」


 あ、そう言われると何だか心外だな。もっと気持ち込めて貰いたいもんだ。


 ボロボロ涙を流すくらい予想していたので、えらい簡単に受けてくれるもんだ、とちょっとぷりぷりしちゃう。


「ほれほれ、ご主人よ、拗ねてる場合じゃないぞ。さっさとやってくれんと」


 ああ、そうですね。やります。やりますよ。


 うぅーっと時雨の視線を直に受けて、尻込みしてしまう。そんなに間近で綺麗なお姉さんに見つめられたら、わたし弱いんだって。


 ええい、とちょっと迷った末に、覚悟を決めてふっと近づいてから、時雨の顔を両手で固定してから、口づけを交わす。やってしまうのだ。


 時雨の柔らかい唇の感触がして、恥ずかしさを忘れてしまうくらい、わたしも気持ち良くなってしまいそうになって、しばらく口を重ねていてから、ハッと気づいて急いで離れる。


 時雨がどこか恥じらいの表情を見せている、やだ、可愛い・・・・・・!


 マットが光って、ギュッと何かに掴まれた様な感触があってから、ふいと時雨と同期したと思えるみたいな実感を確かに感じた。


 これが接続して、契約を結ぶって事なの?


「うむ、意外と簡単に成功したな。やはりお主らは相性が良かったんだろうなぁ。はあ、さて。少し休憩しながら、次の時雨と余の接続までに残った話をしておこうか」


 ええ、まだあれこれしないといけないの。話もまだあるんだ。そうだ、スピリット能力の事も話すんだったわね。


 じゃあ、ちょっとゆっくりしながら、おやつでも食べながらしようじゃない。




 ちょっとしかし待って欲しい。あんなのしてしまって元に戻れると思う。


 わたしは更に悶々としてしまって、時雨の唇を見つめてしまったりしている。時雨はまたお茶を入れ直したりしてから、傍らに座っている。


 そうしていると、体にぞわっとした感覚が押し寄せる。


「うわっ。何?!」


 何か某有名北欧小説とかアニメに出て来る、のたくった様なのがわたしの体を這っている。なんじゃこりゃあーっと気持ち悪い。


「パペッツの一部じゃ。一応、まだ発現しておらんご主人の能力を調べておいてやろうと言う訳だよ。ふむふむ。おお、これは凄い。流石に自意識過剰な女子は、精神力も強いと言う訳か」


 なんか微妙に悪口言われてる気分。でもわたしってどんな能力なんだろうか。まだ目覚める時期じゃないのは残念だけど。


「これは概念も含めて、色々な対象を凝固したり溶解させる能力だな。良し。それなら余が名前を付けてやろう。何がいいかの~」


 えーっと、よくわからないんだけど、お姉ちゃんみたいに固めたり、それから溶かしたり出来る能力って事かしら。


 それなら姉妹に共通する要素はあるのかな。って言うか、自分で名前考えさせてくれないんだ。


「決めたぞ。ご主人の能力は〈ストーン・コールド・クレイジー〉だ。どうだ、イカすだろう。余のファンタスマゴリアを使えば、それはもう何でも出来るって事をよくよく覚えておくんだな」


 ふーん。ストーン・コールド・クレイジーか、悪くないかも。何だかちょっと尖ってて格好いい。


 でもよく考えてみれば、まだ発現してない能力なのよね。ぬか喜びは良くないわ。早く目覚める時を待ってよう。そしたら時雨と肩を並べた気になれるし。


「あのー、ちょっと良いか?」


 わたしが能力を得られる事の感慨に耽っていたら、マルちゃんが挙手して発言する。何だろうか。


「儂とそこのソーニャとやら、何気にキャラ被っとらんか。異能者じゃし、相当の実力者なのに能力が制限されておる所とか。それから話し方も気になるのう」


「何を言うんだ。お主の方が婆さん言葉じゃないか。余はまだまだ若い気分だぞ。そこら辺の若い娘も可愛がってやれるんだからな」


 ふんふんと鼻息を荒くするソーニャさん。うん、そら旺盛な事でよござんす。でもそれはわたしには向けないでね。


「ははは、心配はいらんご主人。何も子孫の恋人を取ったりはせん。余はもっとユートピアな世界で楽しむ術を計画しておるもんでな」


 いやいや、わたしと時雨とは恋人じゃないし。はあ。でもその辺の話もちゃんと順を追って説明して貰えますかね。どうでもいいっちゃいいんだけど。


「仕方ないのう。儂はまぁ居候じゃし、別にお主らの関係に立ち入らん傍観者じゃ。好きに楽しい事させてELPを待たせてくれればそれでいい。勝手にこの星の話でも何でもすりゃあいい」


 そうか、マルちゃんは連絡相手を待ってるんだっけ。


「そうだな。ではするか。お主らスピリット能力とはどう言うもんだと思うているか、少し確認しときたいんだが」


 はい、と今度はお姉ちゃんが挙手をする。段々、授業みたいになって来たな。


 わたしはもうそう言う雰囲気に入っていくのが苦手なので、今は黙っている。


「確かローリン・ストーンって言う謎の存在に付与されて、獲得するんですよね。それ以上の事はよく知らないですけど」


「私も同じように自然現象みたいな物と思ってますけど、違うんですか、ご先祖様」


 時雨も便乗して現状認識を確認する。うーむ、ならしっかり言うておかんとな、とソーニャさん。


「それはそうなんだが、そもそもローリン・ストーンと言うのは、世界に対するカウンターとして、異端の能力を獲得する生命が出現し始めた事に端を発する。自然界の掟に適応進化するだけではなく、そこから逸脱したり更に先へ行こうとする試みから、ある意味で遺伝する時のエラーで起こる突然変異みたいなもんだな。それから、その勢力の内の一つがもっと体系的に今の人間を発展させようと試みた儀式で発生したのが、何を隠そうローリン・ストーンなんだわな。それは余もフラジャイルも確認しておる」


 はー、なるほどよく漫画であるパターンと一緒だ。超能力は突然変異とか適応進化とか。ウイルス進化とかとはまた違うみたいだけど。


「あくまでも技術的にではなく獲得した能力を、工学的に生み出せないかと四苦八苦して展開させた儀式のようだが、そればっかりは余の様な大魔族にも理論とかどう言う原理なのかはさっぱりわからん。しかし、それは今ある世界を超え出ようとする為のものであるのは間違いない」


 それはいるかはわからないけど、神をも恐れぬ業を人間が作ろうとしてるって事かな。


 まぁ、ある意味で現代の最先端科学とか医療なんかも同じように、狂信的な宗教者は認めなかったりするようだし、プロメテウスの火みたいな意味なんだろうな。


「そこで今の世界を存続させようとする派閥も当然ながらある。それらの集合的無意識なのか、どこかの誰かが人工的に作り出したのかは知らんが、アンチ・スピリットとでも言う様なカウンターが出現した。これがイニュエンドゥとアルケーと言う、原理の使者と呼ばれる奴らなんだが、連中は現実の法則を改変してしまったりそれから抜け出ようとする超能力者を、修正と称して能力を消してしまったり殺してしまったりするのだ。つまり単純に言えば、光速度不変の法則とか熱力学の法則なんかを変えられては堪らん、とこんな話だ」


 いやあ、それは確かにそんなんなったら、世界は大混乱だよ。


 物理学とかそんなにまだ勉強してないからよく知らないけど、それが土台になった理論があるからこそ、今の科学技術とか便利な物とか色々発展したんだしさ。


 ちょっと前に読んでた漫画で、時間が速くなって大混乱とかあったから、ああ言うの一般人にとって本当に大迷惑だってわかるもん。


「うむ。まぁ、スピリット能力者の過激派の目指す所は、その意味で言えば、光が光を追い越してみたり、人間の動物的能力を変革させて、新たな世界の地平にたどり着こうと言う、そんな夢物語な訳だからな」


 ふうん。何だか壮大だけど、ちょっとロマンもあるかも。


 ユートピアを社会的にじゃなくて、形而上学的に作るみたいな話と解釈しても良さそうだ。


 だって、どれだけ精緻にやっても、この世で物理的にも社会的にも存在している人間は、誰かが苦しむように出来てるもんな。


 それで変に皆が幸せにってなのを掲げると、極端な抑圧が生まれる構造になってると思うし。


 あー、やだやだ。そんな大それた空想的発想でもしてないと、本当の幸せって昔の有名な作品書いた人みたいな理想は目指せないよね。


「ま、とにかくそんな経緯で、世界の害にならんスピリット能力者は全然問題にならん。無論、犯罪者になる奴はいそうだが。それで余はまぁ、それに触れるか触れんかギリギリのラインを目指しとるんだが。この野望は子孫には伝わっとるんかの」


 ふいに時雨に振られて、時雨はえーっと思案する。


 このご先祖様、かなり封印されてた間も長かったみたいだし、ちゃんと意思疎通とか出来てたのかな。不安になって来る。


「確か、独自世界を創造する、とかそんな話だった気がしますけど。祖母なんかはご先祖様が復活されたら、三つ星王国を復活させるんだ、とか変な事言ってましたね」


 うーん、意味がわからない。王国って事は、ソーニャさんが王様?


 それで臣下は数少ない子孫で構成と。うん、かなり小規模過ぎる、小さな政府とかの形容でも物足りないくらいのが出来上がるわね。


「王国ってのは譬喩だ。余は、ただファンタスマゴリアの力で、異世界を創造したいんだ。そこでなら、精神体になったり不滅の楽しみを得られたり、余の好きな事しても怒られんハーレムとかも作れるのだからな」


 えー、結局目的はそれ? 欲望ダダ漏れだなぁ。


 別にそう言うのは、変に理想を掲げてるより好感が持てるけど、その世界にわたし達は必要なのかな。


「勿論、お主らも自由に過ごせるぞ。ほら、ご主人。もっと自由に本を読んだり、音楽を聴いたりはしたくないか。眼鏡がなくても読めたり、疲れを感じずにあれこれと没頭する事も出来るんだぞ」


 何それ。二十四時間本読み放題とか天国ですか。


 あの世があるなら、ずっとそんな風に本を疲れも知らずに楽しみまくれる楽園だったらいいのにって考えてるくらいだし。


 それに電子書籍とかだと、生身の体には目が凄く疲労するから、そう言うのは切実なのよ。


「ああ、いけません。眼鏡姿のお嬢さまが素敵ですのに。いえ、素顔のお嬢さまもとても素敵でお可愛らしいのですが、何と言いますかお嬢さまを構成するパーツを取り去るなど冒涜の様な気がして・・・・・・」


 思わぬ角度から時雨が反論する。なにおう。そんなに目が悪い女が萌えるとでも言うのか。本人は大変なんだぞ。


 眼鏡には愛着はあるけど、そんな肉体の澱から逃れられる世界なんて最高じゃないの。


「それにご先祖様。あなた、そんなハーレム作るのにお相手はおられるんですか。まさか、昔の伴侶を復活させるとか言うんじゃないでしょうね」


 そう問う時雨に馬鹿だのうと笑うソーニャさんは、更に馬鹿な事を言ったのである。


「ははは。そんな事出来る訳なかろう。再現した所で、それはあいつではないよ。余はなぁ、何をしようかと言うと。余の創造力を駆使した、余お手製の美少女を可愛がってやるつもりなんだ。どうだ、凄いだろう、えへん」


 へえとわたしは思った。中々面白い。


 そりゃあ自分の世界に閉じ籠もる性質のあるわたしには、かなりマッチする力の使い方に思える。


 変に自分を理解してくれない人より、ちゃんと建設的な議論も出来る人を作った方がいいではないか。しかし時雨は呆れ顔だ。


「あのー、それってマッチポンプとか自作自演って言うのでは? そんなのやって虚しくならないんですか。AIと恋愛する、とかの類みたいですよ、それ」


 そんな言葉を聞いて、ソーニャさんは顔を真っ赤にしてぷんすこと反論する。いいぞ、頑張れ。


「何を言うか。神だって人間を作って裁きを与えたり福音をもたらしたりするのに、誰も神を憐れな奴だとか自演乙だとか言わんだろうが。それに余だって自分に都合のいい人形を作るつもりなんか更々ないわ。ちゃんと自律的な機能はつけるし、それならそのAIの話と同じで、発展した自我のある存在なら、何もそんな批難を受ける謂われはないはずだ」


 おお、上手い切り返しだ。


 そうだなぁ、創造主がアホな寂しがりなんて誰も考えないしなぁ。そう考えたとしても、人間的で凄く愛される存在じゃないだろうか。


 それなら、AIと恋愛でも空想上の存在であれ、自分の世界で作った愛人であれ、別に構わないんじゃないのかな。


 ペットがある日人間になって、愛し合うようになった、とかの話と置き換えてもいいと言えば、ペット一筋な人とかには受け入れられると思うけど。


 浦島太郎だって亀が美少女化したのと結婚してたんだしね。


 ああ、そうかなるほど。それはお嬢さまの人形を作って、お嬢さまの音声を流したりするのと同じ様な楽しみと考えればいいか、とかぶつぶつ言って納得し出す時雨。


 微妙にズレてる気もするけど、放っておこう。別に妄想してるのは同じだし。


「とにかく、そんな世界の中に色々な仲間を引き込むにも、まずは余の力を完全に回復せねばならん。その為には、子孫である時雨がより強力な魔族にならん事には始まらんのだ。だって、その為に力を供給させたりしたいんだからな! その為に余と時雨の回路ももっと強力にしたいのだよ」


 ははあ。最後はそこに繋がって来るのか。


 それなら、ご先祖様に協力してあげてもいいんじゃない。わたしも三つ星王国の一員として数えられてるのは、別にそう言う特典があるのなら嫌じゃないし。


「それはいいですけど、また血を出したりしないといけないんですか? もう痛いのも嫌ですけど、面倒な儀式は勘弁して下さいよ」


「そう言うな。もう一つの魔方陣も用意しておる。それに座って、お主の額に余が力を込めて手を重ねるだけだ。すぐ済むんだから、そう嫌がるな」


「はあ。それならいいですけど」


 さっそく傍らの鞄から、また魔方陣を出して、用意をするご先祖ソーニャさん。


 ちょっとこれ面白く感じてるんだけど、こう言うファンタジックなのにわくわくするのは、別にわたしが子供だからじゃないよね。大人でも楽しいよね。どうなるのかな。


 素直に魔方陣に座って目を瞑る時雨。そこに一緒にソーニャさんは座って、まず魔方陣に手を置いて何やら呪文を唱えたかと思うと、両手を縦に時雨の顔に当てる。


 ・・・・・・なんか思ってたのと違う。もっと普通に熱測る時みたいな触り方するのかと思ってた。


 ピカーッとマットが光って、それで接続は出来たのか、ソーニャさんは良し良好だ、と言ってどうやら終わったみたいだ。


 あれ? それにしては今度は寝転んでしまった時雨がジッとして動かないけど?


「おや? 時雨? ああー! そうか、時雨の力が弱すぎて、目覚めるまでに力がもっと必要なんだな。これは困った。このままだと時間がかなり掛かってしまう。うむぅ」


 は? それ困るんですけど。


 時雨はわたしのメイドで、これからこのまま眠ったままだと、時雨をわたし達が世話しなくちゃいけない事にもなるし、こんな失態ふざけないでって感じなんだけど。


「そうか、それならば良いな。うん。ご主人よ、余と共に時雨の内面世界にダイブして、力を分け与えてやってくれ。余のサポートがあれば、すぐにアクセス出来るはずだし、その中で精神を研ぎ澄ませば、ご主人の精神力はもっと強く働くだろう。その素質は充分あるのが、ご主人、お主なのだ。さあさあ」


 えええ~?! そんなの聞いてない。わたしにそんな強い力なんてあるとも思えないし、そんな夢の中で血でも吸わせるんだろうか。でもわたしがやるしかないの。


「そうだな。血でも精神世界で吸わせれば、かなり向上するかもしれん。契約を交わして置いて本当に良かったわい」


 かなり責任重大。


 でも時雨の為だし、その時雨がパワーアップしたらわたしだって嬉しい。


 それに時雨はわたしのなんだから、変にソーニャさんの力に邪魔なんてさせない。ずっとわたしだけを見てくれるって約束したんだから。




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