父親はパクという名前らしい
アプさんの爆弾発言で急遽コンテストに参加が決まってしまった翌日…料理が出来ないアプさんとロウはコンテストに出す料理の為に肉を買いに市場へ。
あたしとコカちゃんは試作品を作る為の準備に取り掛かっています。
幸い材料費はアプさんが出してくれると言ってたので、精々美味しい物を作らせて頂きます。
「えっと…キュアちゃんはどんな料理が得意なの…かな?」
「そうですね…強いて言うなら煮物が得意です」
「そうなんだ…ボク、焼いて作る料理しか出来ないから…足を引っ張っちゃうかも」
食材によっては焼くだけの方が美味しかったりしますし、そんな卑屈にならなくてもいいのではないかと思うのですが…。
「それはそうと何でコンテストに参加を?旅人で行商人だとこの村の知名度とかあまり意味がないと思うのですが」
そりゃ賞金狙いとなれば話は変わりますし、持ち家があるこの地に根を降ろすというなら分からなくもないのですが、見た所旅を辞めるつもりはなさそうですし。
何より大金を持ち歩いてれば盗賊の的になるだけでしょう。
「…この村にね、お父さんのお墓があるの」
そこからポツポツと教えてくれたのは…
・毎年コンテストがある頃に墓参りに来るのだけれど
・この地を収める貴族が墓を潰してリゾートを作ろうとしてる、という話を聞いて
・それを止める為に土地を買う決断をして
・コンテストの優勝賞金で言われた金額に届く
これはまた…日本の悪人だってお墓には手を出さないというのに…先祖を敬うという事を知らないんですかね?
「じゃああたしの目が潰れかけた時に居たチンピラは…」
「うん、その貴族の手下…だと思う…確証はないけど…それと昨日はスミマセンでした」
「あー、アレは不幸な事故なんで、もういいんですよ」
これは絶対に勝たせてあげましょう…そしてそのチンピラと貴族共はまとめてトゥグア様の信者になる様に教育してやります。
「…それにしても遅いですね」
「何かあった…のかな?」
ふむ…ロウはともかくアプさんはそこらのチンピラ如きにやられるとは思えませんが…?
というのも寝る前にちょっと手合わせをお願いしたのですが、アッサリ返り討ちに合いましたからね。
あたしの拳を難なく受け止めてカウンターを放つその動きは通っていた道場の師範に通じる物がありました。
ガチャ
おっと、帰って来ましたね…ってやけに不機嫌オーラが漂っています?
お肉は買えたみたいですが…
「あ、これ…クックー肉しか…ない」
あの固くて臭いと批判されている鶏肉…もとい、クックー肉?
「どうも店の連中は貴族に脅されたらしくてな…それ以外の肉は売れないんだそうだ」
何ですかその料理漫画にありがちな妨害は…
そこまでして墓地を潰したいんですか!?
「酷いよ…これじゃ…何をしたって勝てないよ…」
コカちゃん…
ええ、温厚なあたしも久しぶりに頭に来ました!
「アプさん、肉は売れないという事は他の物は手に入るんですか?」
「あ、ああ…だが肉のコンテストで肉以外の物を出したって」
「ロウ、今から言う物を揃えて貰えますか?」
「それはいいけど…何する気だ?」
それに安心させるつもりで満面の笑みを持って答えようとしましたが何故かアプさんとコカちゃんが怯えた…解せぬ。
「ロウが食べたがっていたアレを作ります」
料理漫画っぽくなってますがあくまでもファンタジーです…(汗