お宝の類はありませんでした
盗賊のオジサン達をオシオキしてたらもう夕方になってしまいました…。
夜はモンスターの数が増えるし落ちた水晶は見つけ辛いと聞いたのでオジサン達が根城にしていた所を借りる事にしましょう。
当の本人達はせっせとフサノムラに向かったので大丈夫でしょう…多分。
折角増えた信者ですからね…命は大事にしましょう。
「話によるとこの洞穴がそれっぽいな」
「焚火の跡もありますし間違いないでしょう…雨風が凌げそうで良かったです」
そうと決まれば…ご飯の準備をしましょう。
幸い奥に薪があるし、簡単な作りの竈もあったのですぐに作れます。
薪をくべて、赤い水晶に魔力を通して入れればあっという間に燃えてくれました…本当に便利ですねこれ。
お鍋に水と干し肉を入れて、お婆さんが瓶に詰めてくれた甘く煮てあるトウモロコシも入れましょう。
沸騰したら水で溶いた小麦粉を入れて、塩で味付けして煮込めば簡単なすいとんの出来上がりです。
本当なら醤油か味噌が欲しかった所ですがないんだから仕方ありません。
日本だったらビーフジャーキーとコーンの缶詰で同じ物が作れるでしょう…ってあたしは何を言ってるんでしょうか?
味見した結果ホッとする味に仕上がりました、トウモロコシがいい仕事をしてくれました。
干し肉のダシも思ったよりいい味が出ています。
「うん、美味いんだけど…醤油があればもっと美味くなるよなこれ」
「ない物強請りは虚しくなるだけです、贅沢言わないで下さい」
ぶっちゃけあたしもそれは思いましたけどね?
塩はあるし大豆っぽい豆もあるのは分かってますから設備さえあれば作れるんでしょうが…
少なくともあちこちを放浪する旅人では無理でしょうね…ああ、まさかこんなに早くあのグルタミン酸が豊富な調味料が恋しくなるとは思いませんでした。
うん、お金を稼いだら定住出来る家を手に入れましょう。
そこで醤油を作りながらイチャイチャして子育てに励みます。
夜、お風呂はないので諦めつつトゥグア様への祈りも終わっていよいよ寝るだけになったのですが…
「…」
「…」
はい、ドキドキしっぱなしで全然眠れません!
以前なら部屋が別だったし、お婆さんの家でも別の部屋で寝てたので良かったのですが
寝具もないこの状況では密着して寝るしかないのに、いざくっ付いたら眠れないってどういう事ですか?
そりゃ兄妹って枷が外れましたし、そういう事しても良くなったのが分かってるのも理由なんでしょうけれど。
変ですね…いつそうなってもいい様にイメージトレーニングは欠かさなかった筈なのに。
「な、なあキュア…」
「は、ひゃいっ!」
ぅぉぃ!何ドモっちゃっているんですかあたし!
「うん、まあ意識するなってのは無理だよな…正直俺もドキドキしまくってて眠れない」
「ロウもでしたか…」
まあ、意識してないなんて言われたら絶対怒ってますけど…いや、その前に泣いてしまいますね。
「…よし」
あ、この顔はこの世界に来る前に約束を交わした時の顔ですね…
外が真っ暗で…正直表情も見えませんが何となく分かります…うん、愛ですね。
「単刀直入に言うけどな…俺は今ドキドキもしてるがそれ以上に…キュアが密着してるせいでこう、ムラムラしてる」
正直ですね!でも嬉しい!
「とりあえず落ち着け、流石にこんなムードもへったくれもない所で初体験は嫌だぞ、俺は」
それもそうですね…初めてはずっと記憶に残るといいますし、ムードは大事にするべきです。
何よりお風呂に入ってないので匂いも気になります。
「で、だ…女神の事もあるし暫くは旅を続けるけど、ある程度稼いだら家を買おうと思う」
そこで醤油を作りながら暮らすんですね、分かります。
「初体験はそれまでお預けな」
それは生殺しにも程があるんじゃないですかね!?
アレですか?結婚するまで綺麗なままでいようってアレなんですか!
今時そんなの流行りませんよ!
「…一応他にも理由はあるぞ?例えばだけど駆除対象が見つかった時にキュアが妊娠してたらマズいだろうし」
例えじゃなくてもマズいですね、それが原因で初産が死産、最悪あたしも死んでしまう、となったら間違いなくロウのトラウマになります。
というか最初からムラムラじゃなくてそっちで説明してくれればすんなり納得出来たと思うのですが?
うん、ロウの照れ隠しなのは分かってますけどね?
「まあそういう訳だから…今は」
「え…んんっ」
不意打ちのキスーっ!
でも幸せです…はふぅ。
「…これで我慢しろよ?」
「ふぁい、がまんします…だからもういっかい」
結局もう4回して貰って、ようやく寝れました…。
それと余談ですが…中々寝れなかったせいか起きたら太陽が真上にありました。
ゆうべは おたのしみでしたね
「否定はしません」