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『残念ながらお2人の人生は終わってしまいました』


このお姉さんは唐突に出てきて何を言ってるんでしょうか…


辺りを見渡してみたら真っ白い空間に意味不明なお姉さんと全裸の兄…あたしも裸だった!


でもお姉さんは同姓だし兄になら見られても構わない…というかガン見してもいいんですよ?


まあ兄の視点ならきっと謎の光が恥ずかしい部分を隠してるんでしょうね…お約束ですし。


兄以外だったら両目を潰した後で記憶が消えるまで頭を強打し続けていた所です。


『あの…話を続けてもいいでしょうか?』


あ、どうぞ…って声が出ない?何故?ホワイ?


『お2人は今魂だけの存在となっていますので…心配せずとも思考で会話は可能です』


つまりさっきまであたしが考えてた事も筒抜けだったと…お恥ずかしい限りです。





『まずお2人の死因ですが…カクカクシカジカ』


長かったので大雑把に纏めると


・万年平社員どころか実は窓際族だった父が遂にリストラを言い渡されて


・自分がこんな目に合ってるのはお前のせいだと母に八つ当たりして


・包丁を持ち出した所にあたしと兄が帰ってきて


・そのまま3人揃って殺されてしまった


『はい、それで合ってます』


あまりの内容に兄も落ち込んでしまいました…


思えば父に振り回されてただけの人生でしたね…あたしも泣きたい。


『一応伝えておきますがその父親はすぐに捕まえられて終身刑になります、死後も私が責任を持って罰を与えておきましょう』


それは徹底的にお願いします。


そういえば母はどうなったのでしょうか?


『母親は先に来ましたので、今は生まれ変わる手続きをして…本人の希望が通ったのでペルシャになるそうです』


そういえば母は猫が好きだったっけ…今度は悪い男…猫なら雄?に引っかからない様に祈ってます。




『ではお2人の処遇なのですが』


まあそうですよね…いつまでもここに居る訳にはいかないでしょうし。


生まれ変われるのなら今度こそ兄と恋人になりたい。


『…異世界って興味あります?』


…は?







で、またカクカクシカジカな説明を聞いた所…


・目の前に居る女神は昇神試験とやらで新しく1つの世界を作る事になって


・ある程度の生物や人類が繁殖して軌道に乗ったのはいいけれど


・同じ試験を受けてる他の女神の妨害でそれまでに見た事のないモンスターなんかが蔓延る様になってしまったので


・それを駆除してくれる人を探しておりました


『大体そんな感じです、一応言っておくと魔王とかドラゴンとか、そういう物騒な存在は居ないのでそこは安心して下さい』


そんなの戦えと言われても絶対に無理だろうし居ないならそれでよしです。


『あ、勿論引き受けて下さるんならこちらの方である程度戦える様にしますので』


おっと、兄の目がギラギラと輝いていますね。


シチュエーション的に男子が好きそうな話ですし…かくいうあたしもラノベとか好きなんで気持ちは分かります。


まあ兄がやるというならあたしが断る理由はありませんが…他の世界から人材を引っ張ってきて試験は大丈夫なのだろうか?


『ああ、最高神であるヨグソ様からは1神につき5人までなら許すと言われてますので』


どうやら大丈夫らしい…随分と大らかな試験ですね…日本と違って。


って名前あるんですね?まあ当たり前ですけど。


因みに女神様はどんなお名前で?


『そういえば名乗っていませんでしたね…私はトゥグアと申します、炎と愛を司っています』


トゥグア…炎属性…もしかして妨害してくる女神ってニャルラ~とかナイアルラ~とかいう名前だったりします?


『ええ、アルラという女神なのですが…よく知っていましたね?お2人の世界では信仰されてないと思っていたのですが…』


うん、信仰はされてないですね…熱狂的なファンは居たけど。


主にラスボス的な意味で。


『…何故か深く聞いてはいけない気がするので追求はしませんね?』








そんなこんなで戦える力と最低限の装備と通貨を貰って…


兄は剣を使いたいと言ってたけど狙撃手になってました。


『私の場合その人の適性を見極めて、最も適した職業を自動で付けてしまうらしいのです…』


と言ってたのできっと兄は弓とか銃の才能があったのでしょう…これから行く世界に銃はないらしいけど。


因みにあたしは攻撃魔法が使いたかったけど、回復や支援の方が向いているらしくヒーラーでした…ちくせう。




『では最後に…引き受けて下さったお礼に何か望みがあれば叶えましょう』


天使か…おっと、女神様でした。


とてもラスボスになりかねないアレと同じ名前な女神とは思えませんね…。


向こうの世界に行ったら毎晩お祈り捧げなきゃ(使命感)。




で、兄が最初にチートな武器を願った様ですけど却下されてました。


魂だけなせいか兄の声が聞こえないので女神様から又聞きですがそんな感じだったらしいです。


『余りに強過ぎる力を持ったら貴方が魔王にさせられてしまいますよ?』


デスヨネー…強過ぎる力は避けられるか、恐れられるか、どの道ロクな目に合わないでしょう。


目立たずひっそりと2人きりで生きていけるのが最上です。




代わりに願ったのはこれから行く世界の地図と言語に大きめの鞄だそうです。


確かに地図はあるに越した事はないし鞄も便利だし、言葉が通じないのはマズイですね…失念してました。


『ああ、大丈夫ですよ…私の世界の文字は全て片仮名ですし言葉もそのままで通じますから』


日本語通じるんですか!?


しかもカタカナだけというのは有難いですね…兄は漢字が大の苦手ですから。


因みに地図に書かれていたのは…兵庫県を拡大した様な大陸と海しかありませんでした。




『次は…貴方の望みはありますか?あ、バストサイズ以外でお願いします』


いきなり第2候補を潰されたんですがそれは…というか女神様もあたしと大差ないですよ?


因みにあたしのバストは69…AAですね。


『私は72です…そちらの世界で言うとAですね』


おお…まさか女神様が持たざる者の悩みを持つ同志だったとは。


兄は何故か顔を赤くして耳を塞いでますが、女神様がわざわざ教えてくれてるんですから聞いておいて損はないでしょう。


まあいいです、兄が胸の大きさで異性を見ないのはベッドの下にあったエッチな本の内容で分かってますし。


何で知ってるのかって?あたしが兄の全てを知りたいからですよ。


内容の8割は兄が妹を対象に口説いていくギャルゲーの薄い本であるのも把握済です。




では改めて、あたしの望みは…兄と恋人になってから結婚したいです。


『はい、いいですよ』


女神だ…おっと、女神様でした。


『実は私、こういうラブコメ話が大好物なんです…なので応援しますよ』


いやー食べられちゃうー(棒読み) という冗談はさておき女神様の応援とあらばたっぷり見せ付けて差し上げなければいけませんね。


あたし、今から女神トゥグア様の信者になります(確定)。


『ですがあの世界で結婚できるのは男女共に16歳からとなっていますので…後2年程待って頂く事になりますが』


兄と結婚出来るんならそれぐらい待ちますとも!


あ、でも言っておいて何ですけど近親婚とか、生まれる子供とか問題になったりしませんか?


『元々あの世界に送る際に肉体を再構成する必要がありますし、その際に遺伝子なんかを操作するだけなので手間はありませんよ』


うん、もうトゥグア様に足向けて寝れないです。


心なしか兄も嬉しそうです…嬉しくないとか言ったらお仕置きします。


『余談ですが私の世界は一夫多妻は勿論、多夫一妻や同姓婚、異種族婚も認めています…子供もちゃんと出来ますよ』


愛も司ってると聞いてはいましたけど懐が広過ぎですよトゥグア様!?


というか多夫一妻なんて初めて聞きましたよ!


そして兄よ…一夫多妻という一言に反応があったのは見逃してませんからね?


浮気はギルティです、慈悲?必要ありません。


あ、でも二次元はセーフですので安心して下さい。





『それでは宜しくお願い致します…お2人の人生に今度こそ幸福を』


今度こそという部分に引っかかる物はあるけど実の父に殺された身では否定も出来ないので素直に祝福されましょう。


お礼にしっかりとトゥグア様の信者を増やしておきます。

次回、2人の名前がわかります

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