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お風呂で女子会しました

突如トゥグア様が御光臨なされてから3日…


ひたすら歩き続けて、合間にモンスター倒して、夜な夜なコカちゃんに抱き付かれながらようやく次の村…ヤマンに到着です。


流石は温泉の村というだけあって硫黄の匂いが凄いです。


「エヘヘ…キュアちゃんと一緒に…お風呂で…エヘヘ」


…あたしは後から1人で入った方がいいのでしょうか?


貞操の危険が容易に想像出来るんですけど。


うん、アプさんとサーグァ様の良識に期待しましょう。




それはそれとして…今回はアプさんが懇意にしているという宿に泊まる事になりました。


何でも旦那さんと出会うより前に商品が売れず路頭に迷っていた時代に随分お世話になった人の曾孫さんがやっている宿だと言ってましたが…


そういえばアプさんはエルフでしたし、それぐらい生きてても不思議じゃないですね。


「とりあえず温泉だな…日本人ならまず風呂だろ」


「それはいいが…ここに混浴はないよ?」


「何…だと!」


何を期待していたんですかロウ…とはいえ実はあたしもちょっと考えていたので残念です。




そして宿で出迎えてくれたのは浴衣に似ている黒い服を着たお婆さんでした…


浴衣あるんですかこの世界!?


「おやアプさん、今年も来てくれたのかい?」


「ああ、ここの酒は美味いし…それと珍しい物も入ったからねぇ」


何やら商談が始まってしまいましたね…


先に部屋へ行っておきましょう。




「明日はこの村で屋台を出すと言ってましたし…少なくとも2日は温泉を堪能出来ますね」


「温泉もいいんですが食事が気になりますね…」


サーグァ様は本当にブレないですね…。


もう謎の美人なイメージは消えてただの食いしん坊にしか見えませんよ。


「よし、早速入るか」


「じゃあ…行こ、キュアちゃん」


しまった…まだアプさんが戻って来てないのに!


「私もご一緒しますね」


サーグァ様…期待してますからね!




まあ結局、他の利用者も居たお陰で何事もなかったのですが…


もし居なかったらどうなっていたのか…うん、想像するのは止めておきましょう。


それにしてもあたし達以外の方々は胸に贅肉を蓄えていらっしゃる人達ばかりなのは何故でしょうか?


嫌味ですか?嫌がらせなんですか?




まあいいです…今は温泉を楽しみましょう。


「はぁ…温泉に浸かりながら飲むお酒は美味しいですねぇ」


「サーグァ様、あまり飲み過ぎると身体に悪いですよ?」


確かお風呂での飲酒は血圧が上がり過ぎて血行障害になるとかいう話を聞いた事があります。


本当かどうかは知りませんけど。


「判っていても止められない事もあるんですよ…いずれキュアさんにも理解する日が来るでしょう」


ああ、お酒とかタバコとかギャンブル等がそうだと聞いた事がある気がします。


お酒に興味があるのは確かですがそこまで判りたくはないんですがそれは…


「母さんも…お酒飲む度に…同じ事…言ってたよ」


アプさん…貴女もですか!?


「この世界は16になれば飲めますからね…その時は是非ご一緒しましょう」


結婚出来る年齢も16からだと言ってましたし…16歳で成人という扱いになるんですね。


その時は是非ともお高く美味しいお酒を振る舞って頂きましょう。


オツマミはあたしが作る羽目になりそうですけどね!




「ふぅ…それにしてもキュアさんは前線に出ているのに綺麗なお肌ですねぇ」


「そうですか?余り気にしてないのですが…」


正直旅の最中にお肌の手入れなんて出来ないですからね。


それに肌荒れを気にしながら戦闘なんて出来ませんし。


あ、でもアプさんに習ったお肌のマッサージは欠かさずにやってますよ?


「キュアちゃん…女の子なんだから…少しは気にした方が…いいよ?」


うん、コカちゃんは会話に混ざるフリしてあたしに密着するのを止めましょうね?


「ぶっちゃけますと将来の相手がいますしそこまで気にならないのですが…」


「駄目ですよ、そうやって油断していたら相手に呆れられてしまいますからね」


「うん…ボクは絶対…離れないけど」


サーグァ様は既婚者ですから説得力がありますね…後コカちゃんは物理的に離れて下さい。


というかコカちゃんの手が背中から腰に移っているんですがそれ以上前に出さないで下さいよ?




「しかしお肌と言えばアプさんもかなりの美肌なのですが…」


「確かに…最前線に出て攻撃を受けるタンクで、しかも大酒飲みにしてはかなりの物ですね」


「母さんは…毎晩…美容液…塗ってるよ」


美容液があるとは初めて聞きました…


「何でも…エルフ族に伝わる美容液だとかで…作り方は…ボクが成人したら…教えてくれるって…言ってた」


何作ってるんですかエルフの皆さんは…


今度あたしも使わせて貰いましょう。




「そういえば…サーグァ様も…凄く…お肌が綺麗」


おいコカちゃん…いつの間にかあたしのお腹に当てていた手をどけてくれませんか?


「私の場合は…眷属補正とお姉様に教わったお手入れの賜物ですよ」


「お姉様…という事は王様の夫人ですね」


トゥグア様の事は姉とか姉さんと呼んでましたからね。


「ええ、第1夫人のお姉様は公爵令嬢でしたので…綺麗になる事に関しては色々と物知りなのですよ」


つまり悪く言えばそれ以外を知らない世間知らずと…まあ貴族ですからね。


「貴族だからって民を見下したりはしない、とても優しいお方なのですよ?そうでなければあの王様と結婚するなんてありえませんから」


成程…知らないだけで悪い人ではないのですね。


そして王様の眼力はとても凄いと。


「因みに第1夫人は現在介護と教育の発展に尽力していますよ」


滅茶苦茶いい人でした。




「それじゃあ…第2夫人って…どんな人なの?」


「第2夫人は元奴隷で、王様が悪徳貴族にカチコミかけた際に出会ったそうで…現在は王様と一緒に奴隷商人やそれを先導している貴族の殲滅に動いています」


おい王様…ヤの付く稼業じゃあるまいし何で態々自分で乗り込んでるんですか。


なんというか王様のイメージが偉い人から手の掛かる困った人になってるんですが…


あ、でも奴隷だからって差別しないのは好印象ですね…それ所か嫁にするぐらいだし海より深い懐はありそうです。


殴り込むのは部下に任せた方がいいと思いますけど。


「【民の事を知らぬ王の国に未来はない】が王様の持論ですからね…政務を放って町や村に繰り出すのもこの国の名物となりつつあって」


「そんな水戸の副将軍みたいなノリであちこち回ってたんですか!?」


まあ…そのお陰でアバズレの企みを1つ潰せたのですから悪い事ばかりではないのでしょう。


「そして私はその王様の繰り出し中にたまたま出会いまして…目と目が合った瞬間に一目惚れしました」


そんな何処かのアイドルの持ち歌の最初のフレーズみたいな出会いで結婚したんですかサーグァ様!?


というか確かサーグァ様って試験の最中でしたけど結婚しちゃってもいいんですかね?


「試験内容は人の一生を経験する事ですからね…結婚はその中でも欠かせない要素と言えます」


「そういえばサーグァ様は今お幾つなのですか?」


「25歳ですよ…といってもこの世界に降りてから数えてですけれど」


「じゃあ…女神様って…何歳なんだろ?」


「姉さんは17歳ですよ」


ちょっと待って下さい、明らかに計算がおかしいのですが?


「姉さん曰く…女神は17歳になったら時も成長も止まるらしいですよ?」


ああ、アイドルや声優にもそういう人は居ますが貴女もですかトゥグア様!?


信者である以上野暮なツッコミはしませんけど。




「となるとサーグァ様は普段王様と一緒に居る時は何を?」


「私は娯楽や料理の発展に力を入れています、ダニチの肉料理コンテストも私が企画しました」


貴女の企画だったんですか!?


確かに料理を発展させるなら有効な手段と言えますが…


「今回はキュアさんのお陰で人気がなかったクックー肉や骨の使い方が広まりましたからね…来年はきっと美味しい料理が増えてくれますよ」


あたしとしても美味しい物が増えるのは嬉しいので是非頑張って貰いましょう。


「それはそうとコカちゃん…流石のあたしも胸に手を伸ばしたら怒りますよ?」


「………残念」


段々遠慮が無くなって来ましたねコカちゃん…


最初の頃の謙虚なコカちゃんは何処に行ってしまったのですか?




「ふむ…最後になりましたがコカさんも中々」


「確かに後衛とはいえここまでスベスベなお肌とは…」


「は、ハーフエルフだから…かな?」


それは理由になってない気がしますが…まあサーグァ様の眷属補正とやらも謎ですしそれはいいでしょう。


ですがこれ程の美肌…触らなければ失礼ですね。


「本当に艶もあってハリもある…一体どんなお手入れをすればここまで」


「ま、待って…ボク、敏感だから…そんな触り方したら…ひゃぁんっ!?」


「先程まであたしをまさぐってましたからね…仕返しです」


「だ、ダメぇ…せ、せめて2人きりで…ふみゃあん!」


ハハハ、既に他の入浴者は居なくなってますからね…たっぷり仕返ししてあげましょう。


「折角ですし私も」


流石はサーグァ様…いいノリですね。




この惨事は数分後、鬼の形相をしたアプさんが来るまで続きました。


尚、あたしとサーグァ様はその場で、正座で説教されました…でも後悔はしていません。


「後悔より反省しな!」


…善処します。

「もう…キュアちゃんの…お嫁さんになるしか…ないよね」←コカ


「本当にスミマセンでした」←キュア(土下座)

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