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ポロリはないようです?

はい、朝になりました。


雲1つない、風も緩やかな絶好の釣り日和です。


釣竿があるぐらいだからさぞかし釣り場は混んでいるだろうと思いきや…


どうもこの辺りだと釣りは子供の数少ない遊びでお小遣いにもなるらしく、お子様が数人掛かりで塩の詰まった樽を担いで場所取りをしておりました。


とりあえず邪魔にならない様に遠くへ離れておきました。


因みにエサは虫だったせいかコカちゃんが嫌がったので…後程あたしと一緒に料理をしましょう。




それにしても…さっきから釣れるのは紫色のサバ、橙色のアジ、緑色のタイ、そして烏賊ばかりですね。


釣れる場所はこの際どうでもいいとして、何でこんな美味しくなさそうな色をしているんだとは思いましたが先程の子供達が同じ物を釣っては塩を塗っているので問題はないでしょう。


いざとなったら見た目は日本の物と同じイカもあるので魚を食べたい欲を解消するのは可能でしょうし。


「なー、あそこのねーちゃんたちゲドーをかくほしてんぞ!」


「マジかよー、あれニチャニチャしてるだけでうまくねーのに!」


この世界のイカは外道扱いですか…まあ元居た世界でも日本以外じゃあまり食べる国がないですからね。


それとお子様共よ、魚が逃げるから静かにしなさい。




「…よし、結構釣れましたしこの魚でお昼にしましょう!」


「はい、待ってました!」


サーグァ様ェ…本当に食欲に忠実ですね。




よし、まずはタイからいきましょう。


3枚に卸して、アラを煮込んでアラ汁に…身は酒蒸しにしましょう。


次はサバですが…


これも3枚に卸して塩を振って、小麦粉を塗してソテーしましょう。


続いてイカです。


皮を剥いて短冊切りにして、ゲソやエンペラも天ぷらにしましょう。


最後はアジです。


背開きにして、小麦粉と溶き卵とパン粉を塗して揚げれば美味しそうなアジフライです。


揚げ物が重なってしまいましたが調味料が塩しかないんですから仕方ありません。


お刺身も食べたいですが醤油以前に寄生虫が居たら嫌ですし、作ってもあたししか食べないでしょうからね。





「このアジフライって奴は物凄く酒に合いそうだねぇ…」


「はぁ、このお魚のスープ…凄く良い味ですねぇ」


「お酒で蒸したお魚…凄く…美味しいよ」


「このイカ天をソバかうどんに乗せてかっこみてぇ…」


フフフ…中々好評の様ですね。


うん、あたしの魚を食べたい欲も大分落ち着きましたし…色を除けば同じ味と判ったのは僥倖です。


それにしてもサバのソテーが人気ないのは何故でしょうか…美味しいのに。




そして午後…釣りはロウ達に任せてあたしとコカちゃんは一心不乱にアジとサバを背開きにしていきます。


それらを塩水に漬け、風に当てて干物にするのです。


こうすれば旅先でも美味しい魚が食べられますからじゃんじゃん釣って下さい。




「うおっ!何だこの引きは!」


おや、どうやらロウが大物を引き寄せた様ですね。


まあこんな陸地からの投げ釣りでタイやイカが釣れるぐらいですし…マグロが掛かっても今更驚きませんよ。


釣れてもあたしじゃ捌けませんけど。




「おわっ!…クソッ、逃げられたか」


あー…残念ながら逃げられてしまった様ですね。


針に布が引っかかっていますが肝心の身がないんじゃ…


………布?


「何でしょうかこれ…お魚の皮じゃないですよねぇ?」


「ああ、これは…夏に女性がこういう水辺で胸に巻く布じゃないかい?」


ああ、水着の様な物ですか…って水着あるんですかこの世界は!


しかし季節は春とはいえまだ泳ぐには寒いでしょうに…何処の物好きでしょうね?




「…何処のクソガキの仕業かと思いきや、貴方達の仕業でしたのね!」


この聞き覚えのある声は!


「いつぞやのアバズレメイドもどき!」


「何ですかその呼び名は!わたくしの名前はクティですわよ!」


「知った事じゃありませんよ!というか言いたい事があるなら海から出て来なさい!見てるだけで寒くなってしまいますよ!」


「それが人の水着を奪っておいて言う台詞ですの!?」


「…さてコカちゃん、この布は食べれなさそうですから燃やしてしまいましょう」


「う、うん…いいのかなぁ?」


「わーっ!判りましたわ!今すぐ出ますから…せめてそこの男の視界を閉じて下さいまし!」


元よりロウにあたし以外の女性の裸を見せるつもりはありませんとも。






「全く…酷い目に合いましたわ!」


「いや、ホント、スミマセンでした…」


個人的にもう少し弄ってやりたかった所ですが少しだけ溜飲が下がったので良しとします。


それとロウはそろそろ土下座を止めてもいいと思いますが?


「っていうか、あんたはここで何やってたんだい?」


「泳ぐのは…ちょっと早いと思う…けど」


何て言いますか…こいつ敵の筈なのにもう仲良しになってしまった感がありますね。


「そんなの、海底に居るモンスターの世話に決まっているじゃありませんか」


ほう、いい事を聞きました。


つまり海底に行ければ…ってそこまで長く潜水なんて出来ませんしどうしましょう?




「あのキュアさん、何か変なのが釣れてしまったのですけれど…これ食べれます?」


おっと、サーグァ様が真っ黒なタコを釣り上げてしまいましたね。


塩揉みした後に茹でてぶつ切りにしたらサラダに入れて食べましょう。


ってこのタコやけに活きがいいですね!




「で、それどんなモンスターなんだい?」


「後2年もすれば山の様な大きさになって、力強い8本の足があらゆる物を破壊する…わたくしの自信作ですわ」


「8本の足…それって…今キュアちゃんが料理してる…ああいうのかな?」


「そうそう、ああいう…って何でわたくしの可愛いクトゥルヒがそこに!」




このタコ、モンスターだったんですか…道理で活きが良すぎると思いました。


というかクトゥルヒってこのタコの名前ですか?


後、これは絶対に可愛くないです。


「待って!その子はまだ子供なのですよ!貴方に慈悲という物があるのなら…」


「あたしだって鬼じゃないですし慈悲の心も持ち合わせておりますが…」


うん、露骨にホッとしましたね?




だが、甘いですね。


「あたしの慈悲は全てロウの為にありますので、あしからず」


当然、ロウを誘惑する様なアバズレメイドもどきに捧げる慈悲なんてありませんとも!


という訳でタコの頭に包丁を突き立ててやりました。


どうやら急所に当たった様で、途端に黒い水晶になりました。




「イヤァーッ!わたくしのクトゥルヒがーっ!?」


何にせよこれで2つ目の黒をゲットですね。


今夜にでもトゥグア様に捧げましょう。


「お、覚えてらっしゃい!絶対にクトゥルヒの仇は取りますわ!」


「ハハハ、刹那で忘れて差し上げますよ!」






「これじゃどっちが悪役なんだか…」


「気持ちは分かるけどねぇ…だが戦いってのはそういう物なんだよ」


「無慈悲なキュアちゃんも…凄く…素敵だよ」


うん、色々と言いたい事がありますけどコカちゃんは正気に戻って下さいね?

クティさん、早くもポンコツ化?

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