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愛に形はないらしい

どうにか決勝までこぎつけはした物のまだまだ油断は出来ません。


というのも再び貴族の嫌がらせでクックー肉すら買えなくなってしまいましたし(でも骨は貰えた)。


まあ、こんな事もあろうかと材料は余分に買っておいたので問題はないのですが。




「漫画…じゃなくて物語の定番だと夜襲とかありそうだが」


「あの腐れ貴族なら間違いなくやるな…よし、あたいが見張りしておくよ」


アプさんが見張ってくれるなら大丈夫でしょう…多分。


「キュアちゃん…骨と干し肉、焼けたよ」


「分かりました、では煮込みましょう」


決勝は調理工程も見せる事になっていますが、時間のかかる物は予め用意する事を許されています。


流石にこのスープと麺はその場では用意が出来ませんからね。


「さて、火にかけている間に麺を打ちましょう」


「う、うん…何度もやったけど…食べ物を踏むのは慣れないなぁ」


「コシを出すのに必要な作業です、慣れるしかありません」


はて?何処からか麺になりたいとかいう悲鳴にも似た絶叫が上がった気がしましたが…まあ気のせいでしょう。




「…よし、後は当日に麺を伸ばして切って、具を作ればオーケーです」


「お疲れ、ほれ牛乳」


流石ロウですね、あたしが喉渇いたと思った瞬間用意してくれるとは。


「あ、ありがとう…」


「ありがとうございます、お礼に後でキスしてあげましょう」


「落ち着け、人前は恥ずかしい」


むぅ、半分は冗談だったんですが…。


まあ流石にコカちゃんの目の前でするのはマズイですね…うん。


「やっぱり…キュアちゃんとロウくんって…そういう関係…なの?」


「そういうがどういう物かは判りませんが…まあ2年後には結婚する間柄ですね」


「そっか…まだ2年あるんだ……ならボクもまだチャンスがある…かな」


おっと、予想外のライバル出現ですか!


出会って間もないながら親友と呼べるコカちゃんですが、ロウは渡しませんよ!


「ロウくん…ボク、負けない…から」




…ん?


あたしでなくロウに宣戦布告?


という事はコカちゃんが好きなのはロウではなく…あたし!?


いつの間にフラグを立ててしまったのですかあたし!


「あの…コカちゃん?あたし非生産恋愛をする気はないんですが?」


「心から愛し合えば…神様が同性の夫婦にも…子供を授けてくれるって…常識だよ?」


この世界の神様…という事は間違いなくあたしが信仰するあの女神様な訳で…そういえば同性婚も肯定してらっしゃいましたね。


…うん、トゥグア様ならそれ相応のラブコメを見せればやってくれる気がします。


ってラブコメ好きだからってそれはやり過ぎですよトゥグア様ぁーっ!?




「キュアがいつの間にかハーレム建築していた件について…」


「待って下さい!あたしはそんなの築いた覚えはありませんよ!」


「大丈夫…多夫一妻って制度もあるから…何ならボクは愛人でも」


「コカちゃんはとりあえず落ち着きましょう!あたしは夫を1人しか持つつもりはありませんから!」


「じゃあ…ボクが妻…うん、頑張る」


話が通じない!?


恋は盲目という言葉があった気がしますが…成程、これがそうなんですね。


「…これって傍から見たら俺がハーレム状態になるのか?」


浮気はギルティだと言いたい所なんですが…この場合はあたしが2人を侍らせてしまっているので…どうなるんでしょう?










結局答えが出ないまま朝を向かえてしまいました…。


正直寝不足ですが睡魔は【覚醒ウェイク】という、睡眠状態の人を起こす魔法で誤魔化しています。


効果は半日しか持たない様ですが…まあコンテストさえ乗り切れば何とかなるでしょう。


余談ですがあたしが悩んでる間にロウとコカちゃんは寝落ちしてたので、寝れなかったのはあたしだけでした…ぐぬぬ。


まあ…寝てる間にスープに細工をされる危険もあったし見張りをしていたと思う事にしましょう。


それよりも今はコンテストに集中しましょう…その為のスープです。




既にラーメンもどきは出来上がって、順番が来たら仕上げるだけになっています。


先にスープを入れてしまうと麺が伸びてしまいますからね。


まあ観客…というか貴族の手下が時間内に仕上げないなら失格じゃないのかと騒いでましたけど


これは最も美味しい状態で食べて貰うためだと言ったら審査員として来られた王様がどうせなら美味い物を食べたいと許可をくれました。




因みに審査員はこの世界で1番偉いというフォーマルハウト王(思ったよりも若い…見た目30代ぐらい?)と騎士団の団長さん、王様の夫人が3人でした。


夫人の1人がやけに深くフードを被っているのが気になるのですが…恥ずかしがり屋なんでしょうか?




「それでは只今より審査を始めます、まずはアーラン子爵お抱えの料理人、ヘドロさんのポクーソテーです」


おいコラ、今子爵って聞こえたんですがあの人は貴族の手先ですか?


「そういや言ってなかったな…アーラン子爵ってのが墓地を潰そうとしてる腐れ貴族だ」


うん、そんな気がしました。


お抱えの料理人をコンテストに出すぐらいならコッチの妨害しなくてもいいでしょう!


というかポクーってこの世界じゃ貴族か王様でしか食べれない高級品ですよねぇ?


何でこんな村のイベントに使ってるんですかねえ!




「ふむ、ポクーの味を完全に引き出しているな…だが」


「素材に頼り過ぎですわ、この程度なら材料さえあれば誰でも作れるでしょう」


おや、意外と辛口な評価ですね…とはいえフード被った夫人以外は残さず食べてますけど。


お抱えさんも予想してなかった評価に悔しそうな顔をしてますし…ざまぁって奴ですね。


でも誰でもは作れないですよ、ロウだったら間違いなく炭になってしまいますから。




その後も出てきた料理はどれも美味しそうではあったのですが…


「ビフーステーキにリンゴのソースとは面白いが…」


「肝心のビフーに火が通り過ぎて美味しさが半減していますわ」


いや、ステーキの焼き加減って好みの問題じゃないんですかね?


あたしはミディアムが好きです。




「サイコロ状に切ったビフーとダイズ豆を煮た物か…味は良いのだが」


「これではビフーを使った意味がありませんわ」


うん、まああからさまに豆の方が多いですからね…いわゆる庶民の味方という料理なのでしょう。


というかあの豆はダイズ豆っていうのですね。


覚えておきましょう。




「今年もフードの女王様にダメ出しを頂いてしまった…ハァハァ」


おい!


貴方もしかしてその為にわざと肉を少なくしたんじゃないでしょうね!





「な、何だか厳しいなぁ…ボク達の料理…大丈夫かなぁ?」


「気持ちは判ります、ですがここまで来たら後は覚悟を決めるだけです」


流石に美味しいと言わせられる自信はないんですけどね…何せもどきですし。


ですがせめて豆の人よりはマシな評価が貰えると思いたい…というかあれにだけは負けたくない。




「ふむ、噂ではクックーを使っていると聞いたのだが…それらしい臭みはないな」


「ですがこれは…どの様に食べれば宜しいのかしら?」


あ、食べ方について失念してました。


「王様、お姉様方も…これはこの様に食べれば宜しいのですわ」




ズズーッ




まさかのフードの夫人が行ったぁーっ!


え、っていうか何で食べ方知ってるんですか?


「成程…これはそういう料理なのだな」


ズズーッ


王様も、残った夫人方も騎士の人までつられて行ったぁーっ!


作ったあたしが言うのも変ですがいいんですかねぇ!?




「この濃厚な旨み…、これが本来のクックーの味という訳か」


「今まであの臭みと固さで敬遠していましたが…成程、この子が気に入る訳ですわ」


「うーむ、この麺とやらも、乗っている肉も美味いのですが…何よりこのスープが凄い」


「ええ、クックーの旨みをここまで凝縮するなんて…一体どうやって作ったのかしら?」


ぶっちゃけ大した材料は使ってないです…。


この世界じゃ無料タダで貰える物ですし。




「どうかな?君ならもう判っているのでは?」


「ええ、スープの材料はタマネギとハーブが数種類に火で炙った干し肉、そして…クックーの骨ですわ」


何…だと!


別にバレて困る物ではないんですけど、完全に見抜かれるとは思いませんでしたよ!


「そうか!ビフースープを作る時にビフーの骨で出汁を取る方法を応用したのだな!」


ビフースープってもしかしてビーフシチューみたいな料理なんでしょうか?




というか骨を煮たりしないっていうのはクックーに限った話だったんですね。

フードの夫人…何者なんでしょうね(スットボケ

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