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プロローグ

初投稿ですが長い目で読んで貰えたら嬉しいです

唐突だけど、あたしには双子の兄がいます。


といっても二卵性双生児とかで顔も性格も全然似てないけど…


例としてあたしは文系科目が得意だけど理系は苦手なのに対して兄は計算は得意だけど暗記が苦手といったように


あたしは魚が好きなのに兄は肉が好きといった感じで正反対なのです。




そんな兄妹でも一応共通する部分はちゃんとあるし仲は悪くない…というか、お互い愛し合ってますよ?


兄は言葉にしてくれないけどあたしが好きでしょう…きっと、多分。


は?ブラコンなのかって?その通りですが何か?





で、その兄は現在父に呼ばれてどやされている真っ最中である。


別に素行不良だとか、隠れてお酒や煙草に手を出したりした訳ではなくて…


父は物心付いた時から兄には医者になれと強要して、限界を迎えた兄はこの前のテストを全教科白紙で提出しただけです。


因みにあたしも兄もまだ中2なので追試はありません…ある所にはあるんだろうけど少なくとも今通ってる中学にはないです。


内申点?興味ないわそんなもの。


余談ですが父はただの万年平社員なサラリーマンで、病院を経営してる様な金持ちは親戚中探したって居ません。


というか父の稼ぎだけじゃ生活出来ないから母もパートに出ています…まさに甲斐性無し。


あったらあったで滅茶苦茶厳しい私立中学なんかに入れられてたんだろうしそこら辺は貧乏に感謝してます。


母に何でこんな男と結婚したのか聞いたら「若気の至りだった」と当時8歳のあたしに言ってたっけ…何言っちゃってるんだ当時の母。


まあ最近話題の家庭内暴力だとか虐待だとかはなかったのだけは救いだけど…


本当に、それ【だけ】は…【だけ】というのが悲しい。









そんなこんなで翌日のお昼…もうすぐ春休みで授業も午前中に終わったけど真っ直ぐ帰るのも馬鹿らしいから人気のない屋上でお弁当にします。


可愛い妹の手作りです、泣いて喜んで下さい。





「お前、本当に料理上手くなったな…前はやけに塩辛かったり甘すぎたりしたのに」


「いつの話をしてるんですか、料理なんてレシピや手順を丸暗記すれば何て事はありません」


「普通は何度も作って覚える所を暗記だけで解決するのはお前だけだろ…」


「美味しく出来れば些細な事です」


というか暗記するだけで出来ちゃったんだから仕方ありません。


あ、違いますね…きっとあたしの兄に対する愛情がそうさせてくれたんですね。


兄妹愛?いいえ、ライクではなくラブの方です。




食後は兄に膝枕をしつつまったり過ごす…


これこそ至福の時間という物です、異論は認めません。


「あぁー…帰りたくねぇ」


「同感です、いっそこのままここに住んでしまいましょうか」


「…それは駄目だ、凍死か飢え死にする未来が目に浮かぶ」


「あたしは気にしませんよ、むしろ今から心中して来世で結ばれるのも有りだとさえ思います」


「…俺の妹がメンヘラなヤンデレになりつつある件について」


「失礼ですね、あたしは至って正常ですよ」


というか兄妹で結婚出来ない世の中が間違っているだけです。


あたしは何も間違ってません。


「まあ冗談はさておき…そろそろ出ないと校門が閉まってしまいます」


「絶対本気だっただろお前…とはいえ時間なら早く出るか」


時間がないのは確かですがアッサリ帰ろうと起き上がる兄の肩を摘んで止めてやります。


これでもあたしは空手を習ってますので兄より力があるのです。


まだあたしの至福の時間は終わっていません、食後にデザートが付くように、終わる前にするべき事があるのです。


「…いつものはないんですか?」


「言うと思ったよ………目、閉じてろ」


はい、もうお解りですね?


あたしは今、兄とキスしてます…舌と舌が絡み合う様なディープなやつです。





ここで唐突ですが兄とあたしには3つの約束があります


・お互いに依存し過ぎない


・人の居ない屋上でのみ兄妹である事を忘れられる


・でも一線だけは超えない


つまりこうしていられるのは高校を卒業するまで…という事になります。


キスは一線じゃないのかって?


別に膜が破れた訳でも妊娠した訳でもなし、外国じゃ挨拶変わりにキスする文化があるんだからいいんです。


バレなきゃ犯罪じゃないという奴です。


というか兄と妹がキスした程度で騒ぐなら世の中の方が間違っているんです。


おっと、世の中は兄と結婚出来ない時点で間違っていたんでした…つまり世界と政治が悪いのです。




至福の時間は長くは続きません…兄の唇が唾液の糸を引きながら離れた時が終わりの時です。


キスの余韻による幸福感と、この時間がもっと続けばいいのにという寂しさが混じった何ともいえない気持ちが渦まきながら兄の腕に抱き付き帰宅する…


その時思うのは決まって、どうして兄妹として出会ってしまったのか…


もしあたしと兄が兄妹でなく幼馴染として出会っていたら違う未来があったのか…


そんなありもしないIFを願っては自己嫌悪に陥ってしまうのです。





帰宅した後は夕飯以外の時間をなるべく顔を合わせないように部屋で過ごす事にしています。


これは約束した訳じゃないけどいつの間にか暗黙のルールになっていました。


お互いがふとした切欠でボロを出すのが怖かったのもあるけど、極稀にあたしがまともに兄の顔を見れなくなる時があるせいでしょう…


それにあたしは兄と夜に部屋で2人きりになった瞬間押し倒してしまう自信があります。


兄もあたしとのキスに応じてくれる辺り同じ気持ちがあるのかも…あったらいいな。


むしろあたしは兄に押し倒されて滅茶苦茶にされたいのですがそれでは約束の意味がなくなってしまうので我慢です。


そして明日はまた屋上で2人きりで過ごすのです…昔授業をサボってその分2人きりでいようと言ったら頭を叩かれたのを思い出しました。




ですが…



あたし達にその明日が来る事はありませんでした。

次回、女神の登場です

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