表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界食道楽アドベンチャー  作者: 海鼠腸
青年期・カサード多忙編
87/137

84話 汚い店の謎

 カサードは飲み屋街をぶらつきながら、空いてそうな店を探す。

 あちこち眺めながら歩いていると、一軒だけ誰もお客が居ない店を見つけた。

 

「ん? この店は満席だからかな?」

 

 気になり店を覗くが、満席では無く誰も座ってなく、閑古鳥が鳴いていた。

 

「おっ? 誰も居ないな。丁度いいや、この店にしよう」

 

 カサードは、ドアを開けて店内に入ると、カランカランとドアベルが鳴る。

 

「おや……? らっしゃい。今月初めてのお客だぁ」


 奥から白髪まじりの爺さんが出てくる。

 

「お爺さん、何かオススメの物を頼む」

「はいよぉ」


 カサードは注文して料理が出てくるまで、暫く店内を眺めまわす。

 

 天井の隅には蜘蛛の巣が張ってあったり、テーブルの上には埃が薄く積もっていたりしていた。

 爺さんが奥に引っ込んだ時に、アイテムBOXからタオルを取り出し、水魔法でタオルを濡らしてテーブルを拭く。

 

『う~ん……掃除が行き届いてない……これじゃぁお客が入らない筈だよ……』


 カサードは、フェアリー(ドローン)を召喚し、店主と思われる爺さんが奥の調理場で、どのような仕事をしているかを覗く事にした。

 

 腕を組んで、フェアリーから送られてくる映像を眺めていると、とんでもない現場を見た。

 爺さんがペッペッ! と両手に唾をかけて擦り合わせ、素手で材料を触って調理し始めた。

 

「ちょ……おいおい、ボクにそんな過程で作ったものを食べろと?! 結構不衛生な店だなぁ……」

 

 などと、カサードは不快に思いながら、フェアリー(ドローン)を撤収し、どんな料理が出てくるかを待つことにした。

 

「はいよ」


 奥から爺さんが料理を持ってきて、カサードのテーブルに置く。

 

「おっ、豚肉ステーキか……。いただきます」

 

 カサードは合掌し、ナイフで肉を切り分け、切り分けた肉をフォークで差して口元に持っていく。

 

「あー……ん?」


 食べようとした肉片よく見ると、切った断面の殆どが赤い。

 どうやら表面だけを焼いて出してきたようだ。

 

「う~ん、ちょっと爺さん。生焼けじゃない? この豚肉ステーキ」

 

「何を言っている! ワシはちゃんと焼いたぞ! こう見えても昔は名を馳せた調理人だったんだ! ボウズ! わしの作った料理にケチをつけるのか!」 


 カサードが、今食べようとした肉があまり焼けてない事を言うと、爺さんが急にキレてカサードに詰め寄り、怒鳴り始めた。

 

「まぁまぁ、爺さん落ち着いてください」

 

 カサードは、頭に血が上っている爺さんを落ち着かせようと宥める……。

 

「ワシがこの店のルールじゃ! お前は気に入らん! 出て行け!」


 カサードの宥め工作は失敗、取り付く島も無いので、黙って店を出ようとすると。

 

「おい待て! 頼んだ物のお代を払わないつもりか! 食い逃げだ! だれかー!」

「ふぁ?!」

 

 出てけと言われて、出ようとすると食い逃げだと叫ばれる……どうしろと?

 困り果てたカサードは、とりあえず払う事にした。

 

「あー……お勘定はどのくらいで?」

「ふん! 金貨3枚じゃ!」

「ぴゃー?!」


 ぼったくりじゃん! ぐぬぬこんにゃろめ……後で意趣返ししてしんぜよう。

 カサードは料理を食べて無いけど、誰もいないと思ってぼったくり店に入った自分が悪かったと思い、金貨3枚を爺さん支払って店を出る。

 

「うがー、何も食べてないのにお金取られたー。しゃーない、他の店で食べるかな」

 

 ぐぅぅと鳴るお腹をさすりながら、カサードは再び飲み屋街をぶらついた後、美味しいお店にありつけた様だ。

 

 

 

 後日談だが……。

 翌日、エタンダール国ギルド長のフーシェー・イェンと共に、昨夜の店に行くと綺麗に拭いたテーブルの上に干からびた肉の載った皿があった。


 カサードとイェンが顔を見合わせ奥の厨房を見てみると、白骨化した遺体の手元に3枚の金貨があった。

その光景を見て、カサードとイェンの2人は、逃げ出す様に店から出たのであった。


さらに後日、空き家にあった白骨遺体は、カサード達によって丁寧に弔われたのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ