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異世界食道楽アドベンチャー  作者: 海鼠腸
青年期・カサード多忙編
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75話 謎の物体の正体は…

 カサードは、足元でモゾモゾと動いている物体を、竹製の長い箸で恐る恐る突っついてみる。

 

「ギィィ!」

 

 物体は突っついた箸に向けて威嚇の声を出す。

 よく見ると、まだ目が開いてないようだった。

 

「ちょっとごめんねー、持ち上げるから噛まないでなー?」

 

 そんな風に話しかけながら、そっとその物体を持ち上げる。

 持ち上げて、謎の物体の全体を眺めるカサード。

 見た感じは色が赤いトカゲみたいだ、至極短い体毛の感触がある。

 

「カサード殿下! もしかしてそれは火の精霊、サラマンダーではないのか?!」

 

 謎の物体の姿を見たアルチョルが、驚いたように声を上げる。

 それを聞いたカサードは、サラマンダーと思えし物体に話しかける。

 

「おまえ、サラマンダーなのか?」

「キュイィ」

 

 カサードの問いかけにサラマンダーが頷く、どうやらこのサラマンダーは人間の言葉がわかるらしい。

 

「どうやってここに入ったんだろう? とりあえずボクが面倒見ることにしようかなぁ?」

 

 このサラマンダーが、何処から入って来たのかは判らないが、とりあえずカサードが飼う事にした。

 

「カサード殿下、サラマンダーの扱い方をご存知なのですか? 出来れば扱いに長けている我が国が引き取ります故……」


 う~ん……サガード共和国に渡したほうが良いかなぁ……等と考えていると。

 

「カサード様、そのサラマンダーを渡した方が宜しいのではないでしょうか? 万が一我が国で暴れだしたら……」


 シャロミーが国の事を心配している様だ。

 

「じゃあ、とりあえずお願いします……ふぁ?!」

「うわっ!」

 

 と、カサードがアルチョルにサラマンダーを渡そうと、アルチョルの方に手を伸ばすと突然アルチョルの方を向き、小さいながらも火を吹いた。

 

「コラッ サラマンダー危ないって、やめなさいっ」


 カサードが少し乱暴だが、口を抑えながら再びアルチョルに渡そうとすると、今度は暴れてカサードの手の中から抜け出し、腕を伝ってカサードの服の中に隠れた。

 

「うわっ、行きたくないのか? 申し訳無い、アルチョル氏。こりゃぁボクが面倒見るしかないらしいです……」


 その様子を見ていたアルチョルは大きく肩を落とすようにため息をついた。

 

「どうやら、そのサラマンダーはカサード殿下に懐いているようですね。もう強引と言う訳には行かないようです」

 

 アルチョルが、ほぼ諦めた様な口調でカサードに伝える。

 

「まぁ、何だかサラマンダーのせいかは分からないけど、グダグダになってしまった。とりあえずアルチョル氏の歓迎は出来たから良しとするか」


 カサードは腕を組んで一人で頷いている。

 

「あっ、そうでございましたか。殿下の作ったこの肉料理は大変に美味でございました。有難うございます」

「うむ、苦しゅうない」


 アルチョルがカサードに対し、感謝の意として胸に手を当て頭を下げる。

 その姿を見てカサードはドヤ顔とで微笑む。

 その後、隠し食堂『猫又』から王城に戻り、アルチョル氏をサガード共和国まで送る馬車を御見送りしてから二人は各自自分の部屋に戻っていった。

 カサードは、ベッドの上でサラマンダーと遊びながら名前を考えていたが、いつの間にか眠ってしまっていた。

今回は短めでした……

チョット冗長だったかなぁ……_(:3 」∠ )_


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