48話 初めての冒険者登録……
翌朝、目覚めるとボクの体に、リリアーナが抱きついている。
「あはは……ボクは抱き枕か」
そう言いながら、苦笑いを浮かべる。う~ん、どうしようか? と少しの時間、ベッドの上で考える。
うん、リリアーナを起こさない様に、引っ剥がしてみようかな?
そっと首に巻き付いている腕から外してみる……。うまく外せた。
次は絡まってる足……。
もぞもぞしてたら、リリアーナが目を覚ましてしまった。
「う…ん……?! なによ! イヤラシイわね!」
コロンと転がって、ボクから離れた。
いやいや、リリアーナが抱き着いてたんじゃないか。
と思いつつ、無言で体を起こす。
たぶん、今のリリアーナの顔は真っ赤だ。
耳が赤くなってるので、そこで確定。
「リリアーナ、ボクはイヤラシイ事なんてしてないよ~?」
とりあえず言い訳めいた事を言ってみる。
「……」
無言で枕に顔をうずめてる。
めっちゃ照れてるのかな? 恥ずかしがり屋め。と苦笑いながら、リリアーナの肩の辺りを突付いてみた。
「おーい、リリアーナーこっち見てよ~……ぶわっぷ?!
いたずらしていたら、枕が飛んできた。
「カサード様、何をじゃれ合ってるのです? 今日の予定くらいは考えてください」
シャロミーが呆れたように言ってきた……そうだな、少し考えるか。
そこへコンコンと、部屋のドアをノックされる。
「シャロミー、ちょっと見てきて~? ボクは考え中~」
シャロミーに対応を丸投げする。
シャロミーがドアを開けると、モッキンバード達が立って居た。
「カサード様~、今日はおいら達と一緒に、軽くクエストに行きませんか?」
何やら面白そうな誘いがやって来たー。思わず立ち上がって、両手をあげる。
「? 何をしているのですか?」
リリアーナにジト目で言われる。う~ん、視線が冷たい……。
「うん、とりあえずモッキンバード達と一緒にクエスト行ってみよう」
今日の予定が決まってしまった……。
そして、ボク達は宿を出て、モッキンバード達と共に冒険者ギルドにやって来た。
「カサード様達も、冒険者ギルドに登録してみたらどうでしょうか?」
そんな提案をしてきたのはエリミールだ。
「う~ん……そうだなぁ、登録してみようかな……?」
エリミールの提案に乗ろうとすると、シャロミーが止めにかかる。
「いけません! カサード様の身に何かあったら、どうするつもりですか!?」
肩を掴まれて説得される。
「大丈夫、だーいじょうぶだって。落ち着こうシャロミー。キミは心配しすぎなんだよ~」
アマテラス大神から授かった不思議な能力があるから大丈夫なんだけどな。
「さっさと登録してしまおう……」
ボソリと呟き、後ろでプンスカ怒っているシャロミーの視線を感じながら、受付で登録の手続きをする。
「あの、すいません。冒険者登録をしたいのですが……」
受付の女性に話しかける。
「あ、はい。冒険者登録ですね? 少し待ってください……」
受付の女性はおもむろに、何かの板を取り出し、ボクに渡してくる。
「お待たせしました。こちらの魔道具を使って、ご登録をお願いします」
その魔道具には名前・性別・年齢・所持武器等を書き込んで登録する様だ。
この魔道具を見ると、前世時代で言う、タブレット端末だろう。
その魔道具を使い、自分の名前・性別・年齢・所持武器を全て書き込んで、受付の女性に渡す。
情報を書いた魔道具を受け取った受付さんは、冒険者証と思われる木札にかざすと、木札が光った。
あれで登録出来たのだろうか?
「ご登録ありがとうございます。こちらがエタンダール・カサード様の冒険者証です。ご確認下さい」
出来ていた様だ、ボクの冒険者証を受け取り、確認してみる。
【名前】エタンダール・カサード
【性別】男
【年齢】16
【所持武器】刀・短剣
ほぅ、木札に焼印をした様になっているのか。




