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異世界食道楽アドベンチャー  作者: 海鼠腸
~青年期・国外視察編
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47話 黄弓で高級な料理を食す

 今晩も、宿で食事をせず、外食と洒落込む事にした。

 リリアーナに喜んでもらう為、思い決めた事だが。

「あのサンダーと言う料理人、格好良いのだけど、あのしつこい性格は駄目ね。同じ貴族という事を考えると、非常にがっかりですわ……」

 リリアーナからのキツイ評価を聴いたら、彼はどういう行動をするんだろう? と思いながら、昨夜も来た飲み屋や飲食店が集まる通りを目指す。


 

「カサード様! これはどうゆう事ですか!」

 バンバンとテーブルを叩くリリアーナ。やめてっ! 注目されるからっ!

 食べに来た飲食店は『黄弓』と言う名の店……。

 

「リリアーナが高級な店っていうから、この店に入ったんじゃないかっ ここで勘弁してくれよぅ……」

 あんまりボクを困らせないでよぅ、と言う表情で反論するカサード。


「ですから何故こんな店なんですか!?」

 リリアーナは、中華料理店がお気に召さない様子。

 

「まぁまぁ、落ち着いてー。黄弓コウキュウ料理食べようよー。店員さーん! 精蒸鮮魚と翡翠餃子、牛肉・オイスターソース炒めにツバメの巣のスープ あとは野菜炒めをお願いしますー」

 ダジャレ気味にはぐらかしながら、メニューを見ながら店員に注文する。

 

「カサード様! 私の話を聞いてますの?!」

 リリアーナは再びテーブルをバンバン叩く。

 やめてやめてとめてっ!? と心の中で変な汗をかく。

 

「あぁ 聞いてるよ~? リリアーナは、お腹が空いてるからイラついてる訳なんだね。兎に角、料理を食べればキミは納得するはずだよ~」

 間延びした言い方で、リリアーナを落ち着かせようと試みるカサード。

 

「私の食べたい店は、こんな店じゃないんですっ」

 あー……リリアーナがふてくされちゃったよ。

 頬を膨らませて、そっぽ向いてるリリアーナの様子を見ながら、フフッと微笑む。


 やがて店員が、テーブルに運んできた料理を並べていく。

 思ったよりも量が多くて、ボクは面食らってしまった。

「さぁ 皆、食べよう。いただきますっ」

 いつもの様に両手を合わせてから、箸を使い、料理を食べ始める。

 

「くっ……なんですのこれは?! 物凄く食べ難いですわ!」

「この棒で食べるのですか? カサード様はこの棒を上手く使い食べてますね……」

 ん? と思い、リリアーナ・シャロミーを見ると、リリアーナは、箸をナイフとフォークの様に使い、シャロミーは、ボクの真似をしてぎこちなく箸を使っている。

 ボクはそこでハッと気が付いた。この二人は箸を使ったことが無いんだった……。

 

「あっ ミスった! こりゃ~洒落にならん。ボクが取り分けるから少し待ってて」

 そう言ってボクは、其々の料理を小皿に取り分けて、リリアーナ・シャロミーの前に置いていく。

「あっ 店員さん、ナイフとフォークもお願いしますー」

 箸を使えない二人を気遣って、ナイフとフォークを用意して貰う。

 

「気を使わせて、申し訳ありませんカサード様。それと……美味しいです!」

 シャロミーが料理の感想をボクに言ってくる。

 

「ん……この程度で満足する私ではなくてよ……」

 口ではそう言っているリリアーナだが、パクパクと沢山食べている姿を見てボクは、たははと苦笑いをする。

 

 ボクも料理に手をつける。

 魚・肉・野菜・スープ等等、バランスを考えて注文したつもりだ。

「うん、彩りも良いし、素早く炒めた料理や、蒸した料理が多いから、中に旨みが閉じ込められていて、どの料理も物凄く美味しい……」

 食べながら喋るのは行儀が悪い事なのだが、ついつい食べながら喋ってしまう。

 

 皆でテーブルに並んだ料理に舌鼓を打っている。

「ごちそうさまでしたっ あー美味しかったっ。この店は当たりだったなぁ」

 ボクはボソリと呟く。偶然だったが良い店を見つけたなぁ。

 

「まぁ……カサード様、褒めてあげるから、次も……この店に連れて来て下さらないかしら」

 おや? リリアーナはこの店が気に入ったようで良かった! 何気にデレておる。

 

 食べ終わったボクは、お会計を済ませ、二人と共に店を出て、宿に戻り床に付いてぐっすりと寝ることにした。

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