44話 魔法学院での出来事……
ちょっといつもより少し長くなったかも…('、3)_ヽ)_
「この学院は、学習棟では一般学科・魔法学科・錬金術学科・召喚術学科・魔道具学科等の初歩から中等の学門を教えている。学習棟の他には、魔法・錬金術実習棟や女子寮や男子寮がある。勿論、魔素修練場もある。ちなみにこの建物は学習棟だ。ここを抜けて、魔法実習棟を見て貰うことにしよう」
廊下を歩きながらカサード達は、リガルディー氏自身の設立した学園の紹介をしている。
「へ~……色々な事を教えているのですねぇ……魔法実習で何をするのです?」
ボクはふと疑問に思い、リガルディーに問いかける。
「勿論、君達の魔法力を見るためだよ。リリアーナさんの名前は、聞き及んでいるのでな」
うん? どんな噂なんだろう? と思い、リリアーナをチラッと見ると、手で顔を覆い隠している。めっちゃ照れてる様だ、耳が赤くなってる。
学習棟の玄関から廊下を抜けて、渡り廊下? から魔法実習棟の建物の中に入る。
中では、この学院の生徒達が魔法の練習をしていた。
なかなか出来ない生徒には、教師が助言等をしている。
「どうです? 凄いでしょう! ここにいる生徒達は、この学院で適正試験を受けた者達ばかりなのです」
おぉぅ? 自慢か? 自慢なのか? と思っていると、リリアーナの肩を優しく押し、空いている場所に促している。
「リリアーナさん、貴方の魔法力を見せてくれませんか?」
リリアーナに優しく話しかけ、学校の備品と思われるワンドを渡すリガルディー。
え? リリアーナって、魔法使えるんだっけ? とボクは首をかしげる。
リリアーナは、数十メートルほど離れた所の的に、ワンドをかざし、呪文らしき言葉を紡いでいる。
ワンドの先から火が出現し、的に向かって飛ばし、的に命中する。
的には防魔法加工がしてある様だ。だって、当たっても燃えてないもん。
すると周りから拍手が起こった。
いつの間にか生徒達は、練習の手を止めて、リリアーナに注目していた。
「流石、エタンダールの魔女リリアーナですな。魔素の練り方が上手です!」
リガルディーが、リリアーナを褒める。
「おー?! リリアーナって魔法が使えたんだな~。ボク知らなかったなぁ。すっげー!」
ボクは、初めて見るリリアーナの魔法に感心していると……。
「次はカサードくん、キミのを見てみたいのだが、良いかな?」
いつの間にか、学校備品のワンドを手に持ち、僕のそばに居たリガルディー。
「え? ボク? 使ったこと無いけれど良いんですか?」
と思わず間抜け顔になる。
「大丈夫です! 私が魔法を教えます! だから大丈夫! やれば出来る!」
ん? 急に熱心になり始めたぞ? マジでこの先生大丈夫か? と、ボクは若干引き始める。
「カサードくん、まずは意識を集中! 魔素を感じるか?」
リガルディーに言われるがままに、目を閉じて意識を集中してみる。
周りの生徒からの『カサードくんガンバレー!』の声援が少し嬉しい。
「ん? 何か舞い上がった埃みたいなのを感じる……」
ボクは感じた事をリガルディーに伝える。
「そうだ! それが魔素だ! 次に周りに散らばっている魔素を、ワンドの先端にかき集めてみよう! 大事なのはイメージだ! ガンバレ!」
ワンドの先端に塵が集まっていくようなイメージをしてみる。
すると塵がクルクルと回転しながら集まっていき、コブシ大の塊になった。
「よし! いいぞ! それを的に飛ばすんだ! 確実に当たるようにイメージするんだ! いけ!」
ボクは目を開け、魔素の塊を的に投げる感じでワンドを振る。
「えいやっ!」
塊は真っ直ぐ的に飛んでいく。そして的に当たる。
ドォーーン!!
派手に爆発し、的は四散、的があった場所が少しえぐれている。
生徒たちが驚いて、キャーキャー悲鳴を上げている。
文字通りどったんばったん大騒ぎだ。
シャロミーとリリアーナは伏せる、と言った咄嗟の行動をとっていた。
爆発の衝撃で、耳がキーンとなってしまった。
「え? えーーーーーー……? どうしてこうなった?!」
初めて魔法を使い、的に当てた感想がそれだった。
「えっと……リガルディーさん、これどうなって……あ」
質問しようとリガルディーの方を向くと、呆然としている姿があった。
「リガルディー先生!?」
ボクは大声で呼ぶと、リガルディーはハッと我に返った様だ。
「カサードくん! 怪我は無いか?! 」
慌てて僕のことを心配してくる。一番パニックになっているのはアンタだよ! と心の中で突っ込む。
「しかしカサードくん、キミの使った魔法は上級魔法の『爆焔魔法』じゃないか! 本当に初めて魔法を使ったのかい?」
だが心配しすぎだった様だ。思ったよりも冷静で、正面からボクの両肩に手を置いて、目線を合わせるように屈み、真偽を問いかけてきた。
「はい、本当に今日、初めて魔法という物を使いました」
ボクはリガルディーの目を逸らさず、見つめたまま答える。
「……うむ、嘘はついて無い様だな。解った、キミの言う事を信じよう」
うん、信じてくれた。マジ嘘なんてついてないよ!
実習棟の一部を破壊しちゃったけど……まぁ、なってしまった事はどうにもならん! と諦める。
リガルディーが、他の先生に原状復帰を頼み、ボク達の学院案内するために実習棟から出る。




