第3話 しんどい特訓
筆が遅くて申し訳ない…。
赤絨毯の上に 三角フラスコ・剣・杖 が置いてある。
俺は置いてある物を通り過ぎて玉座の方に上がって行き、王様に近づいて笑顔で。
「パーパ?」
と問いかけてみる。
するとその王様はキリリとしていた顔をフニャリと緩めて。
俺を抱き抱え、高い高ーいしながら。
「よーしよしよし…可愛い我が子よ。どうしたのじゃ? お前のやりたい事を決めぬのか?」
今、我が子といったな?やはり俺は何処かの国の王子様なのか…。
そんな事を考えてると父である王様が階段下まで降りて、俺を赤絨毯に降ろされる。
どうしてもどれかを決めなければならないようだ。
剣は力、杖は知恵、三角フラスコは科学の象徴なのだろうか。
だったら俺は迷わず三角フラスコの方へヨチヨチと歩いていく。
三角フラスコを両手で挟む。そして周りを見渡すと、俺の人生が決まったようで王様も近衛兵さんも頷いている。
その日から読み、書き、から始まり、計算や錬金術に関する勉強が始まった。
要するに英才教育である…。計算の勉強で驚いたのは前世の日本式の教え方ではなく、インド式だった事だ。流石に泣きながら覚えたよ…。
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それから5年が経った………。
俺は6歳になった、しかし未だにお城から出たことはない…。
ほぼ毎日勉強漬けだったからな…。この年になると次は騎士になる為の剣術や所作等の訓練をする段階に突入する。
う~ん…この運動不足の体で急に運動して大丈夫なのか…? と考えながら訓練場兼憩いの場である中庭に移動する為、シャロミーさんの後ろに付いていく。
中庭で待っていた剣術訓練の先生は…俺専属と思われる近衛兵、シャロミーさんの上司の近衛兵隊隊長のイポリュックさん。ちなみに性別は男性だ。
他に大人やら中学生や小学生やらが入り混じって剣の訓練を行っている…。
基礎練習は勿論 素振りからだった。俺は他の子達に邪魔にならないよう隅っこで練習を行う。
兎に角、上に振り上げて振り下ろす動作を繰り返す練習を手が上がらなくなるまでやるらしい…。
心の中で
『なんですかそれ! 助けてくれー! 殺されるー!』
と叫んだくらいだ。
そんな練習を小一時間やらされ、見事に動けなくなりゼーゼー言いながら倒れている俺がいる…。
マジで目の前がチカチカする…。
「馬鹿なの? 俺死ぬの…?」
と 小さくボヤいてみるが、これはどうしようも無い。
遠くで小学校上級生らしき子達が俺の方に指を指し、何やら喋っている。
だがそんなことを気にする気力がある訳がなかった そんな訓練がお昼まで続く…。
お昼になったのか、各自、食堂に赴くようだ。
俺はシャロミーさんにおぶられて食堂へ……ってあれ?皆と違う部屋で食べるの?
他の子達が食堂に行って食べてるのに、俺は食堂とは別の部屋に連れて行かれる。
『何これ? 特別扱いですか?』そんな事を考えてしまう。
大きな部屋にすごく長い豪華なテーブル…何処の宮廷ですか? あっここ王宮でしたね!
そして豪華なテーブルの先っぽの場所に座らされ、豪華な食事を頂く…。
そんな不自由の無い生活を送っていると、自分が駄目になってくるような気がしてきた…。
そして午後から錬金術を学ぶ為、教室で錬金術の講習を受ける。
そんな日々を過ごす…。
ある日の休日、俺はシャロミーさんを呼び出して。
「城下町に行きたい! 街の人たちはどんな暮らしをしてるのか見て回りたい!」
とワクワクしながら頼んでみたが、何故か断られた…。
俺は頼みを断られて凄く寂しい気分になる…。
シャロミーさんは申し訳なさそうな顔をしていた様だ。
他に何もすることがないから、自分専用の部屋で暇つぶしに本を読みあさるしかなかった。
…その夜、俺は王宮からコッソリ抜け出した…街を見たいという目的を果たすために…。
さてさて! 次回はどうなることやら…。