第20話 計画根回し……?
謁見の間で父である国王と、参謀のバステゴットが見守る中、持ってきた計画書を参謀に渡す。
参謀は『どーせろくでもない事だろう』と思った表情で計画書をめくって黙読していく、が途中で国王に渡した。
『あー…… この時代には奇想天外すぎたかな……』
と内心思いながら、国王が計画書に目を通すのを待つ。
「ふむ、何とも奇抜で度肝を抜く計画だな、カサードよ。 お前の思う様にやってみるが良い」
国王の言葉に参謀の眉間に一瞬皺が寄ったが、すぐにすまし顔になった。
流石国王だ、肝が座っているな……とカサードは内心そう思った。
とりあえず国王から許可が下りた。
参謀の一瞬の表情が気になったが、貴族式敬礼をして謁見の間から出る。
その頃には日も高くなり、お腹が空いていたので、昼飯を摂る。
昼食後、自分の執務室へ行き、有能なマイ参謀のジェロマンを呼び各組織作りをする。
農民協同組合、通称【農協】と宿屋観光連盟、通称【宿連】の組織結成と運営出来る人事をジェロマンに頼んでみる事にした。
「ジェロマン、出来るか? 荷が重かったら、他の文官を巻き込んでも良いと思うぞ?」とカサード
「お気遣い有難うございます! 喜んでやらせていただきます!」とジェロマン
「解った 無理はするなよ? 体調に気をつけるようにな」とカサード
嬉しそうな顔でジェロマンが部屋を出る。
ジェロマンが部屋を出てから、暫くしてカサードが少し困った顔でぼそりと呟く。
「あいつ社畜か……? いや、国畜か……まぁ、仕える事に喜びを感じているんなら、それはそれでいいか……」
この国、エタンダール国は広大な領土に恵まれている、その広大な領土を強みに農業・畜産の強化、いわゆるニッチ戦略である。
さらに農作物の生産する一次産業から初めて、六次産業化も視野に入れて計画しようと、カサードは考えているのだ。
それとPDCAサイクルも忘れてはならない。
PDCAサイクルとは
Plan(計画)
Do(実行)
Check(評価)
Act(改善)
の頭文字を繋げたものである。
1周したら、最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、螺旋を描くように1周ごとに各段階のレベルを向上(スパイラルアップ、spiral up)させて、継続的に業務を改善する手法だ。
勿論この手法は、この異世界ではまだこの考えは普及すらしてないであろう。
今度はカチコチパンを何とかせねばと、机に向かい、ペンで何やらイラストと説明文を、紙に書き込んでいる。
その他に何やら色々と書きまくっているカサード。
ふと思いついたように顔を上げ。
「あっ 胡椒栽培するために温室建てなきゃアカンかった! それと、マイ畑周辺に食料研究所みたいなのを建てたほうがいいかもなー?」
そう言って、何やら書いていたのを中断し、新しい紙で、この町にいる一流建築士にその旨を書いた手紙を書き、王宮の刻印が入った蝋印を押す。
後でジェロマンに渡そう。
椅子から立ち上がり、部屋の真ん中で軽くラジオ体操の様な事をして体をほぐす……。




