第13話 エレメントとのファーストコンタクト
俺は、愛馬のサクラと共に、城下町を抜けてのどかな農耕地まで下りてきた。
とりあえず、農耕地区を一回りしてみるかな~。
愛馬に跨って、愛馬のサクラと一緒に物凄く広い農地をのんびりと歩いていく……。
城が見える位置の畑に着いた。
そこは、カサードが大地主にお願いして買った畑である。
「う~ん……雑草が生え放題だなぁ」
サクラから降りて、耕す前に草むしりだ。
小一時間ほど、草むしりをしていると、土がモコモコと盛り上がり移動している。
モグラかなー? と思っていると、ピョコンと頭を出し、こちらを見ている……うん? よく見ると、もぐらの頭じゃないぞこれ? 赤い三角帽で白いヒゲをはやした小人……あぁ! あれだ! ノームっていう伝説の土の精霊か! 初めて見た!。
「こ……こんにちは」
ノームの小人さんをなるべく脅かさないように、まずは挨拶からだと思い、挨拶をしてみた。
ブンブンと片手を振っている。
おおぅ! とりあえずファーストコンタクトは順調に上手くいっている様だ。
「ボクの言っている言葉、解りますか?」
ボクはノームにそう問いかけると、ノームは首を縦にコクコク振っている。
よっしゃー! 意思の疎通は出来る! と心の中でガッツポーズをする。
「えっと、キミの姿が見えるのはボクだけかな?」
ノームに再度問いかけると、ノームは首を縦にコクコク振っている。
「なるほど……、これもアマテラス様から授かった能力の一部なのか! まだ色々な隠し能力がありそうだ」
ボクはそんな事を呟くと、ノームは首を傾げた。
何かいちいち反応するこのノームさん可愛い、とほっこりした。
暫くの間、時間を忘れ、ノームと一方的だが、お喋りをしながら草むしりをしていた。
気がつくと、夕方近くだったので、そろそろ帰る仕度をする。
「ノームさん、ありがとう! ボクの話すことを聞いてくれるだけだったけど、助かったよ。ボクはそろそろ城へ帰らなきゃ行けないから、また明日ね~」
ボクは帰り支度を済ませ、サクラに跨り、ノームに手を振って別れる。
城下町の近くまで来ると、何やら騒がしかった。
城の兵に何事かと聞くと、王子が行方不明だと言う。
……え? ボクが行方不明だって?! どうしてこうなっ……あっ! 黙って出たのか悪かったか!?。
一日居なくなっただけでこの騒ぎか……、今度から自重しなくては……、と思った途端に顔から体から汗が出始めた。
ボクは慌てて城に戻ることにした。
城に入ろうとすると、何故か門番兵に止められる、というか槍を突きつけられた。
「槍を下げろ! ボクだ! カサードだ!」
慌てて被っていたフードを取り、顔を晒す。
俺の顔を確認した門番兵は、慌てて槍を下げ謝罪を口にする。
「カ……カサード王子でしたか! 申し訳ありません!」
「うむ。この度は騒がせてすまない、ちと農耕地まで行き、畑を耕していた次第だ。以後、このような事にならぬ様にするつもりだ」
「はっ かしこまりました!」
門番兵と会話を終え、宮殿内へ入る。
自室へ入ると、尻尾とかあちこちの毛を逆立てて、相当ご立腹のシャロミーさんが居た。
フーーー! とか シャーーーー! とか聞こえてきそうで、物凄く色々な意味で怖いです。
「王子! 今までどこへ行っていたのですか! 城中の皆が心配していたのですよ!」
シャロミーに今日一日の行動をカクカクシカジカと説明して、ようやく落ち着いてくれた。
「そうですか……、もぅ! 今度から事前に話しておいてくださいね!」
「解ったよシャロミーさん」
「カサード王子、いい加減私に対してのさん付けは止めてくれませんか?」
「うん! 解った! じゃあボクからもお願い、聞いてくれるかな?」
「な……なんでしょう?言ってみてください」
ちょっと不意を突かれたような表情のシャロミー。
「語尾に、にゃーを付けて欲しい!」
俺は興奮気味にそんなお願いをしてみた。
「え?……えっと、にゃー、ですか?」
「違う! 語尾に だ!」
「わ……解りましたにゃー……」
シャロミーが違戸惑いの表情を浮かべている。
「よっしゃ! 約束は必ず守る! シャロミーも守れよ!」
俺はニヤッとほくそ笑む。
「り……了解だにゃ!」
「うむ! シャロミーは飲み込みが早いな! はははは!」
こうしてボクの部屋の雰囲気は和んで夜が深けていった。
幼少編 長すぎるでしょうか?




