131話 ゴーレムの停止法
「あの、カサード様……。はぁ……」
警備隊長は困った顔をしながらも、カサードに従う。
とりあえずカサードは、アイアンゴーレムの動きを観察。
アイアンゴーレム達は堀の中に次々と落ち、壁をよじ登ろうとするが、自重でずり落ちてしまっている。
「う~ん、単純な命令しかされてないのかもしれないな」
そんな事を考えていると、遠くから騎士団が列をなして、こちらに向かってくるのが見えた。
「おっ!? 来たか。騎士団の到着後、門を開けて跳ね橋を下ろせ! そしてアイアンゴーレムに騎士団をぶつける! 勿論ボクも戦闘に参加するからな!」
「カ……カサード殿下! 無茶はいけません! 怪我をなさったらどうするのです!」
警備隊長がカサードの身を心配してくれるようだ。
しかし、魔術師部隊はまだ集まらないらしい。
「ん~……。魔術師部隊は後でいいとして、確かゴーレム系のモンスターには弱点があったんだっけ?」
「にゃ? 私はよくわからないにゃ」
「だよねー……」
とりあえず、アイアンゴーレムに近づいて調べなければ。
何てことを思案してると、騎士団が街門近くに到着したようなので、カサードは螺旋階段を降りて騎士団の横に移動する。
とりあえず、フェアリーを召喚し、戦闘予定場所上空に待機させて置く。
そして、カサードが門兵達に号令をかける。
「開門! そして跳ね橋を下げろ! 騎士団総員! 跳ね橋が下がりきる直前で突撃する!」
「「「「「応!!!」」」」」
そして跳ね橋が降り、騎士団が架け橋を渡り切った瞬間に二手に分かれ、アイアンゴーレムを挟み込むような陣形『鶴翼の陣』でアイアンゴーレムを攻撃する。
「うんうん、訓練通り動いてるな。ボクも頑張るぞー!」
カサードはシャロミーは狭間胸壁から戦闘の様子を眺めている。
周囲からガィン! ギィン! と金属音が鳴り始めた。
「ん……騎士団がアイアンゴーレムとの戦闘に入ったね、ボクはまずアイアンゴーレムを攻略するかな?」
等と、戦闘中の騎士団の方々の後ろで思案していると。
「ぐぅゎ!」
「んぇ?」
アイアンゴーレムの攻撃で吹っ飛ばされた騎士がカサードに当たり、共に地面に転がる。
「いてててて……大丈夫ですか?」
「あっ! これはカサード殿下! お怪我はありませんか!」
「はい、とりあえず怪我は無いよ。それより早く戦闘に戻ってください」
「はっ! 了解であります!」
騎士の人はサッと立ち上がり、戦闘に戻っていった。
カサードはもたもたと立ち上がり、お尻についた土を払った後に、アイアンゴーレムがわらわらと湧いて出てくる魔法陣に向かって走り出すが、新たに湧いて出たアイアンゴーレムに、カサードがタゲられてしまう。
魔法陣から出てきた2体のアイアンゴーレムが、カサードに向けてズシンズシンと歩いて来る。
「っ?! おっと!」
アイアンゴーレムが、カサードに向けてビンタをするように腕を薙いで攻撃してきた。
カサードは一瞬焦るが、アイアンゴーレムは思ったより動きは早くない様なので、アイアンゴーレムの腕の動きを見てよける。
「よっし。アイアンゴーレムの動きを、どうやって封じようかなぁ? とりあえずアチコチ調べてみよう」
カサードは左右と、アイアンゴーレムの攻撃を避けながら【emeth】と彫り込まれた字を探す。
「う~ん? 腕には無い……足~……にも無い。どこだどこだ?」
胴体や背中にも無い様なので、あとは頭部……のバイザーの中だろう。
次の攻撃を避けてから、バイザーの留め金部分を抜刀一閃で切り飛ばす。
予想通り【emeth】と入ったプレートがあった。
「おっ! 見つけた! えっと、たしかこれ【emeth】から、eの字を削れば【meth】=死になる。ってーことは、それで機能停止するはずだな」
と言う事でeの部分を、刀とショートソードの2本で削ることにした。
「でぇい!」
カサードは、eの字の部分を魔力で強化した両手の武器で交互に振り回し削っていく。
ギィィィィィィィィィン!!!! という耳を劈くような音が鳴り響き、約1分後にeの字は削れて【meth】になり、アイアンゴーレムの動きは完全に停止した。
「オッケ、止め方は解った。後は無限湧きみたいなのになってる原因の魔法陣を潰すか」
やっぱり戦闘描写を書くのに時間がかかるなぁ……。




