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異世界食道楽アドベンチャー  作者: 海鼠腸
日本食普及尽力編
118/137

115話 新種発見?

「なんだ? おまえは草に興味があるのか?」


 カサードは歩きながら、アラクネにここに来た理由を話す。

 

「そうなんだ、草……というか、ハーブや薬草とか……そういうのがあるかを、ボク達は見に来たんだが……」

「なんだそうだったのか。 だったらそこに生えている赤い実がある、それを寒い日に食べると体があたたかくなるぞ」


 アラクネがそう言って、足元にある赤い実をつけている草に向けて指を差す。

 その実は、サクランボのような形をしていて、見た目は甘酸っぱそうだ。

 それに気がついたカサードは、赤い実をちぎってまじまじと眺め、実の端っこをかじって咀嚼してみる。

 

「んむんむ……うん、少し甘…んぐ!!! 痛い辛い! 辛い痛い! ひはいいはい!」


 若干の甘みの後ろから、辛さと痛みが時速160kmでカサードの舌と脳天に刺さり、頭の毛穴から汗が吹き出る。

 

「こう言った辛味を何とかするには……そうだ! オリーブオイルで口の中をゆすぐしか!」


 てぃん! と思いついたカサードは、インベントリからオリーブオイルを取り出し、口に含んでモンダミンの要領で口内をゆすいで、ペッと吐き出す。

 

「うげぁー……辛さは何とかなったが、口の中が油っぽい……」

「カサード様、大丈夫でしたにゃ?」


 シャロミーが心配そうに声をかけてくるが、当のアラクネはきょとんとしていた。

 

「うへぇぁ……酷い目にあった……。とりあえず大丈夫だよシャロミー」

 

 心配そうにしているシャロミーに、大丈夫だという事を伝え、インベントリから大根を出し、ポリポリと噛じって食べる。

 

「う~ん、これは新種かなぁ?」

「甘酢っぱそうですにゃ。でも食べたらカサード様が大変なことになったにゃ」

「うん、最初は甘酢っぱい味だったんだけど、急に強烈な辛さが来たんだよ、シャロミーも試しに少し食べてみるか?」

「いえ……遠慮するにゃ……」

「新種の食料の名前付けなきゃなぁ」

 

 などとシャロミートカサードが喋っていると。

 

「おまえ、何か知らないが騒いでいたが、大丈夫か?」

「もう大丈夫だよアラクネ」


 アラクネが会話に割り込んできたが、あっけなく会話を打ち切り、カサードはそっけなく対応した。

 ん~……痛みを知らないイコール辛さが解らないという事なのかな?

 

 う~ん、ベリーの形していて、食べるとトンでもなく辛いハバネロの様……、ん~……ベリネロ? これ候補にしとくか。

 

 とりあえず、小さな川はある、木の実はある、他には多分キノコとか食べられる野草や薬草もあるだろうと思った。

『ハーブとか木の実等の収穫はエルフの村の者達に委託することにしよう。綺麗な小川もあるから、ちょっと土地を改造して、山葵棚を造って山葵の栽培するのもいいなぁ……』

 目を瞑り、腕を組んで考えているとシャロミーとアラクネが、カサードの顔を覗き込んでいるではないか。

 

「?! どうした? ボクの顔になんか変なものでも付いたのか?」

 

 カサードは驚いて1人と一匹? に聞く。

 

「カサード様、何か思いついたのですかにゃ?」

「あぁ……うん、うっすらとだけどね。ここに来て、思わぬ出会いもあったけどね」

 

 シャロミーに聞かれてカサードはそう答えて、アラクネを見る。

 

「思わぬ出会いというのは、わっちのことか?」

「うん、そうだよアラクネ。ボクはこういった出会いを大切にしてるからね。そしてシャロミー、村の周辺地域の事は大体分かったから、一度村に戻って、エタンダール城に帰る準備をするぞ」

「え? もう帰るのにゃ? 早いですにゃ」


 その後、モッコス村でドワーフ達が村の広場に集まり、宴が催された。

 カサード達は飲んで食べて楽しんだ後、一晩程過ごし翌朝、エタンダール城に戻るのであった。

 

 カサード一行が行った遥か後方から、アラクネがコソコソと付いて来ているのをカサードは知る由もなく……。

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