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異世界食道楽アドベンチャー  作者: 海鼠腸
日本食普及尽力編
110/137

107話 モッコス村増設計画

 お米の種籾はなんとか手に入ったけど、田んぼの方はまだ整備してなかったので、どうしようか思案していた。

 

「う~ん、今から苗を育てても収穫まで約半年程かかるのか……」


 カサードは食料研究所の、誰も居ない研究資料室にてARの検索機能を使い、独りごちる。

 

「大豆は安定的に収穫できるようになって来てるから、中規模的に醤油や味噌の生産拠点……はどこにしようか……?」


 醤油や味噌の生産蔵を、どこに建てようか考え始めるカサード。

 

「えっと……味噌とか醤油造る時の生産桶を作る時に、かなりの木を使うだろうから、モッコス村の近くに新たに建てるしかないかなぁ? ちょっとあの辺りはどうなってるか見に行こう。出来たらドライアドに頼んで、山葵種でも出して貰って、山葵栽培が出来る場所があるかもしれない」


 そう考えたカサードは、早速モッコス村に行く為に、荷物や馬車の準備をしに一度城に戻ることにした……。

 

 パカパカパカと、貸し馬車に乗って城に戻る。

 

 城に戻ったカサードは自分の錬金アトリエで、持って行くものを見繕モッコス村に行く準備をしていると、ペシェが声をかけてきた。

 

「ぼく…も手伝う……よ」

「ん? じゃあ、これ持ってくれないかな?」


 そう言って、カサードはちょっとしたイタズラのつもりで、結構重い金床を指を差す。

 

「う…ん、わかっ…た」


 やる事を理解したペシェは、重量が六〇㎏程ある金床を片手でむんずと摘んでヒョイと持ったではないか。

 

「ぶっ?!」


 あまりにもペシェが簡単に持ち上げるものだから、カサードの方が驚きの声を漏らす。

 

「ん… カサ…ドさま。どうし…たの?」

「いや……ヴヴン……なんでもない」


 カサードは少し咳払いをして、その場を取り繕う。

 

「それを馬車のある所に置いて来てね」

「う…ん、わかった…」


 ペシェは重い金床を振り回して歩き、馬車のある方へ歩いて行った。

 

「あーびっくりした……あんな細い体で、あんな重い物体を持ち上げるあの子は何なの? 今まで気にしなかったんだが、一体何者なんだろう?」


 カサード以外誰も居ない通路で呟く。

 取り敢えず、必要になりそうな道具を、インベントリにポイポイと放り込み、あまりペシェを待たせないように急いで馬車の所に戻る。

 

 馬車の所に戻ると、ペシェにシャロミー・リリアーナが話しかけていた。

 

「ありゃ? シャロミーとリリアーナ、いつの間に来てたんだ?」


 カサードは、馬車の近くにたむろしているシャロミー達に話しかける。

 

「あっ カサード様、今度はどこに行くつもりですか?」


 シャロミーがジト目で迫ってくる。

 

「カサード様! わたくしを置いて行くなんて酷いですわ!」

 

 いや……まだ出発前なんだが……。

 

「待て待てお前達、ボクはモッコス村周辺に何か良い場所が無いか見に行くつもりだったんだが。シャロミー、リリアーナ。お前達も一緒に来るんなら、冒険者ギルドで護衛を頼む必要は省けるんだが……」


 ボクは頭を掻きながら、言い訳がましく2人に言う。

 

「「勿論一緒に行きます!」」


 おぉぅ ハモった。

 

「ん、わかった。4人でモッコス村周辺の探索に行こう」


 そんな感じで、若干おしゃべりが不自由なペシェとボクの護衛シャロミーと貴族系魔法使いリリアーナと、あれこれと必要な物を荷台に積み込んで、モッコス村に向けて出発するのであった。

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