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蒼の夢想い  作者: 藤咲 彩
序章
1/33

日和




 カラン、と下駄が音を立て、私はびくりと息を止める。



 私の先に敷地を出ていたあの人が、そんな私を横目に笑っている。




 くすくすと、ただ笑うだけの彼は、私を促そうとはしない。





 私は止まりかけた息をゆっくりと吐き出し、そっと、自分の足を、外の世界へと。



「…。」



 いつもは、近寄ることもしなかった古くて小さな扉から、一歩踏み出した足が、外の砂利を踏みつけた。



 


 私は足下を見つめていた視線をあげ、再び、彼を見る。



 彼は、やはり、くすくすと。それは楽しそうに、私を横目に笑うのだった。






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