No.5 紅魔館脱出大作戦!その3
はい、5話まで来ました。だけど一向に話が進まない遅展開です。
果たして脱出できるのか!?よろしくお願いします。
「はぁ…はぁ…っ…いったい…何なんだよ!あれは!!…あっ!!」
必死に足を動かし走る少女は、叫んだ瞬間に足を縺れさせ、べしゃっと言う音と共に盛大に転んだ。
「…っくぅ…い、痛い…」
鼻を打ったのか、両手で鼻を押さえ涙目を浮かべる少女は、さっきまでの展開を思い出す。
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魔理沙とパチェリーが空に飛び上がってからは、あまりの展開に俺もあんぐりと口を開けたまま二人の行く末を見上げていた。
「初っ端から本気で行かせて貰うぜ!」
「…まったく…何で毎回こうなっちゃうのよ?」
そう言いあった瞬間に、お互いが光の玉や光線を打ち合い始め、まるで花火の様にキラキラと、踊る様にクルクルと、空を駆け火花を散らす様に、何とも言い難い感情でいっぱいになっていた。
「ふ…わぁ…すげぇ…何これ?」
自分の状況も忘れ、ボーっと見上げていたのが悪かったのか、お互いがキラキラと光るカードを掲げた瞬間、部屋いっぱいに広がる光の玉や光線の流れ弾が、此方の方まで降って来た。
「おー…---っ!!?あぶねぇ!!わわ!!うわああああああああああああ!!!」
とっさに伏せた瞬間に頭上すれすれを、光線が通り抜け転がる様に出口に向うまでに腕や足を擦らせる様に光の玉が降り注いだ。
もう其処からは、振り返る事無く走り抜け階段を上った先に出ると、図書館らしき場所に出てきた。
それでも足を止める事も無く頭を抱える様に走っていた俺は、さっきの事に悪態を付いた所で、無様に転び、泣きそうになるのをグッと堪えていた。
「…はぁはぁ…す~…は~…す~…はぁ~…」
上がっていた息を整え深呼吸すると、前後左右を見回した。
「此処は…図書館か?本がいっぱいだ…だ、誰も居ないよな?」
ゆっくりと立ち上がり体の四肢を確認する。
「あぁ…肌が白いから傷は目立つな…でも…これなら大丈夫か」
あっちこっちに擦傷や軽い火傷みたいになってた所はあったが、ぶつけた鼻以外は痛みは無いようで、服やスカートの汚れを叩いて落とすと、近くにある大きな本棚まで寄ってった。
「どんな本があるんだ?…えっと…何々?愛しのあの人を射止める100選?恋愛の十カ条?……恋人の胃袋把握する料理…集?なんじゃこりゃ…ん?これは…写真集?」
ふと、手に取った薄いアルバムを開くと、先ほど助けて?くれようとした魔法使いの女の子を、小さくしたような子が恥しそうにしてたり、満面の笑顔を振りまいたりポーズを決めている写真が、貼ってあったのを目にして、そっと閉じると本棚に戻した。
「…ウン、ワタシハ ナニモ ミテイマセン。サァ、デグチヲ サガソウ」
そそくさとその本棚から離れ、再度見回すと部屋いっぱいに広がる本棚がまるで迷路のように感じた。
「にしても…ホント大きい建物なんだな…何かの施設…と言う感じには見えないけど…こ」
ふと、アンティーク風な飾台や蝋燭立て、机の上には、占い師が使うような水晶玉や綺麗な石に分厚い本が積み重なっていたりする場所を通り抜け、此処は何処なんだ?と言い掛けた所で声を掛けられた。
「あれ?妹様じゃないですかぁ~」
「こ…ぁあっ!?」
「はい!何ですか妹様?」
振り向いた先には、黒いロングスカートの服に赤いロングヘアーなお姉さんが、嬉しそうに微笑を浮かべ首を傾げていた。
「ん?どうかなさったんですか?」
「い、いえ、…えっと…げ…玄関って何処でしたっけ?」
「玄関ホールは、あそこの階段上って廊下真っ直ぐ行った先じゃないですかぁ♪」
「あ…ありがとう」
「いえいえ~あ、パチェリー様見ませんでしたぁ~?」
「パチェリー…って…あぁ、魔理沙って人と飛び回ってた…」
「あら、また…あの泥棒猫が来てるんですね」
さっきまで優しそうだった表情は一転して、黒い笑みを浮かべると、蝙蝠の様な小さな羽と悪魔の様な尻尾をゆらゆら動かし、場所を聞いて来たので、走ってきた方を指差すと、そのお姉さんは、ふわりとその指差した方に飛んでいった。
「……ちょっと怖かった…」
何とか助かった事に安堵すると、気を取り直し教えて貰った出口の方へと歩き出した。
…どうやら、俺の脱出劇は、まだまだ続くようです。
「…ねぇ、さっき写真集見て顔引きつらせてたけど…そんな変な物だったの?」
「…あぁ、あれか…写真自体は普通だったよ…写真自体はな…?」
「どういうこと?」
「本にさ…赤いのとか濡れた痕が沢山付いてたんだ…ぅ…」
「…」