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一学生の憂鬱  作者:
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お約束?

ラゼア王立魔術学園。

ラゼア王国、唯一つの魔術師養成機関でもある学園は王族の学びの場でもある。

そのため、学園に入学したい人間は多く、倍率は恐ろしく高い。


正直言うと、入試で落ちればいいと思っていた。ちょっと手抜きすれば、受からないだろうと。

そう、思っていたのに。



あの父が許さなかった。

どう許さないかは、言葉にするのも(おぞ)ましいので割愛する。

まあ、父への認識を改めました。


そういうわけで死ぬ気で勉強する羽目になり、その甲斐あってか、無事合格しちゃいました。


ほんと、恨みます。流斐のバカ。アホ。人でなし。




前記した通り、この学園は国唯一つの魔術師養成機関である。

魔術師は世界共通の魔術師協会が定める資格のようなもの。魔術師と名乗るには協会の試験に合格する必要があるわけです。

魔術自体は練習しだいで誰でも扱える。普段の日常生活でも簡単な魔術は使われているし、魔術が籠もった魔石を使用した器具などもある。

しかし、協会に所属したり、国に仕えるには『魔術師』でなければならないことになっている。

どうして、そうなったのかは過去の出来事に起因している。


魔術の乱用。

それは国を乱し、世界を混乱させた。

何百年と続いた戦争終結後、世界は魔術を規制した。その結果が魔術師協会の設立。

協会は『魔術師』という資格を設け、魔術師を管理し、魔術には初級、中級、上級と段階を作り、魔術師以外が中級、上級魔術を使用するときには事前に許可を必要とすることなど様々な制限が出来た。


『魔術師』になるためには2つの道がある。

一つは、世界に点在する、魔術学園に通うこと。

もう一つは、『魔術師』に師事すること。

どうして、この2つの道しかないかというと、試験を受けるためには『魔術師』の推薦状が必要なため。

言ってしまえば、『魔術師』は世界資格。

その養成学校でもある魔術学園はとっても志願者が多い。さらにラゼア王国においては王族の学びの場であるから、人気に拍車をかけているのだった。




さて。

このラゼア王立魔術学園の教育方法は教室制度というもの。

教師一人に数人から十数人ぐらいの生徒が師事する制度である。どの教師に師事するかは学園が適当に割り振っているらしい。

入学式の後、各々に指定された教室に向かう。

斐名が師事するのは『許宮苺(もとみや まい)』先生。どんな先生なのかは会ってみないと分からない。

とりあえず、教室に向うことにする。

教室に入ると、斐名が一番乗りのようで、誰もいなかった。教室は二十人ぐらいが入れる階段教室で、一番後ろの席に座る。

しばらくすると、紅茶色の髪をした女の子が入ってきた。

女の子は斐名を見つけると、笑顔で声をかけてきた。


「はじめまして、佐崎綾(ささき りん)です。よろしくね」

「はじめまして。嘉月斐です。こちらこそよろしくお願いします」

「同じ新入生同士なんだし、普通に喋って?綾って呼んでね。わたしも斐って呼んでいいかな」


綾は人懐っこい性格のようで、斐名の横の席に座り、しばらく二人で話していた。

話しているうちに、教室にはさらに2人の新入生が集まっていた。魔術学園は4年制なので、この教室の新入生はこれで全員かなと思っていたら、教室の扉が開いた。

扉に視線を向けると、金色が目に入った。

隣の綾が何か言っているが、呆然とした斐名の耳には入ってこない。



金色の髪をした少年と、青銀色の髪をした少年が教室に入ってきた。


金色の髪。

それはラゼア王室の証。





―――まじですか?





もしかしなくても。王太子、その人でした。





お約束ですよね。

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