第4話
「『ディスファケン』双剣モードセット!」
身体から光が溢れだし、手には『ディスファケン』双剣モードが納まった。
「継いでいく!我が世界、偽終焉を写し取れ!!《ワールドフェイク》!!」
対象を閉じ込め、対象を弾く、俺だけの処刑場の出来上がり。
この世界に在るのは俺とコイツらのみ。
しかし、ぶっつけ本番で成功するとは、手帳の能力は恐ろしい。
「叫びも上げず逝け!!」
後は俺の一方的な残虐が行われ、塵ひとつ残さず消滅させた。そして『世界』は消え元に戻った。
「しかし、現代人としてはかなり熱血だったな、僕、引きこもりなのに此処に来てから、良い具合に頭が可笑しくなってきたな……。これもあの御方に会ったからかな……」
さっきはどうも勝手に一人称が『僕』から『俺』に変わっていた。
たぶんそれは、僕の知っている強い人のイメージの一人称が、『俺』だから僕の一人称『僕』が勝手に変換されたんだと思う。
もうその事を知ってしまったから、戦闘中勝手に一人称は変更されないと思う。
それよりも。
さて、どうしたもんか……。
ここがどこの洞窟か僕は分からない。
捕まった彼女達を元の場所にどうやって戻すべきか……。
そもそも、帰すにしたってもう壊滅してそうな気がする。
今更だが後悔し始めてきた。
あの盗賊達(?)の中から一人ぐらい残すべきだった。
ふつふつと後悔の念が。
マジどうしよう……。
とりあえず、彼女達を縛っている鎖を全部外しておくか。
パァン!!
全ての鎖は断ち切られ、彼女達は自由になった。
「これで良し!」
一人ガッツポーズを決めていると、鎖にさっきまで綱がっていた内の一人が、決心を決めこちらへ歩み寄って来た。
「盗賊共から私達をお救いなさり皆の者も含め感謝します」
その娘は頭を下げた。
ボロボロの服を着て身嗜みも調っていないが、10人の内10人が美女と言うぐらいの美少女だった。
瞳はエメラルド色、髪は海のような蒼さ。
やはりなのか、閉じ込められていて髪本来の輝きを失っており、頬が少しこけている。
「あ、どうもどうも」
しかし美少女、実は僕、美少女に対してどうしても挙動不審になってしまい、リアルで会話らしき会話をしたことが無い。
そもそも今目の前に居る少女は、リアルでは見たこと無いほど可愛いのだ。
挙動不審を超え、足がガタガタ震え始めてきた。
僕の脚よ止まれ!!
結果止まりませんでした。
無性に泣きたくなってきた……。
「大丈夫ですか?」
僕を心配してくれるのか、少女は僕に声を掛けた。
「ハァ……ハァ……。大丈夫です。だから心配しないでください」
動悸息切れが激しい。さっきの戦闘では堂々としていたけど、自分の今居る立場を認識し直すと、吐き気と目眩もしてきた。
まさに美女に囲まれる男の構図。
普通の男なら、ヒャッホイ!!とか叫んで喜びそうだが、僕は違う。今全員の視線がこっちを向いている。
鼓動が激しい……。ここに居たら寿命がマッハでなくなりそうだ。
ハッキリ言って……。女性に対しての免疫の無い僕にとって拷問に近いです……。
「貴方の名前を伺っても良いですか?」
透き通る声が響く~。耳から全身に駆け、そして……。
「ガハッ!!」
色々と限界に来ていたみたいで、僕はストレスのあまり吐血した。
「「「「「キャアアァァァァァッー!!!」」」」
悲鳴と共に僕は意識を失った。
反省。
女性に対してもう少し免疫付けたいです。