表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

第3話


<side 橘>


目を開けると、そこは薄暗い洞窟の中だった。


「此処が異世界?」


周りを見渡すと、どこかの洞窟のようで声が反射し響く。


「此処が異世界だったら、うろつくだけで襲われるよな。神様いわく、何か能力くれたみたいだけど何だろう?」


ポケットを探ると、何時も学校で使っている手帳が出てきた。


何時もの癖でペンを探すが見つからない。


適当に自分の手帳をペラペラとめくると、手帳の最後辺りに赤い文字で何か書かれていた。デ○ノートじゃないよね。


『手帳に書かれている能力ならなんでも使えるからかんばって』


と書かれていた。


瞬間俺は固まった。


「マジで……。チートじゃん」


実はこの手帳はネタ手帳で、考えついた能力やら必殺技の詳細。さらにキャラクターの設定まで書かれている。


え……。アレですか。妄想具現化?


あの御方も良い仕事しますね。


「まさか、キャラクターの能力も使用可能か?」


試しにイメージしてみる。


突然体が熱くなっていく。


片手を前に突き出し、俺専用の呪文を唱える。


「来い!『ディスファケン』!」


突き出した片手には一丁の回転式リボルバーが握られていた。


「あまり重くないな、これなら片手で扱えそうだ」


クルクル回しながら自分の能力を確認した。


「『ディスファケン』モード変更。双剣バージョン、セットイン!」


『ディスファケン』は光になり、形を変えもう片手に剣が握られていた。


「完璧実用性の無いネタ武器だったんだけど、使えるではないか」


何故『ディスファケン』の実用性があまり無いかと言うと、俺の書いてある設定では修理費がぶっ飛んでいるからだ。理由は、中のコアが希少だからということで、設定を書いたからである。


「『空間移動』……、はやめておこう。ミスったら死にそう。動きは再現出来るか……?」


例え近接武器が優秀でも、元となる俺の動きが悪かったら宝の持ち腐れだよな。


「イメージ通りの動きで試してみるか」


まずは、超高速の前進移動。


スッ……。


で、出来ました!


スッスッスッ


連続で試してみると中々良い。


「これなら動きを再現できそうだ」


目指すは、俺の手帳にあるネタキャラクターの動き。


「能力も確認したことだし、此処から出よう」


動こうとしようとすると、遠くから女性の泣き叫ぶ声が聞こえてくる。


「急ぐ!」


俺は声が聞こえた方へ向けて、全力で走り出した。


徐々にに声が大きくなっていく。それにしたがい変な臭いが鼻につく。




……ふざけるな……。


更に声は大きくなり、男の声も聞こえるようになってきた。



……フザケルナ……。


叫び声、喘ぎ声、笑い声。どれをとっても不快にしかならない。


前には、今にも少女に襲い掛からんとしている男がいる。



……フザケルナ……。


無意識に『ディスファケン』を強く握りしめていた。


「誰か助けて!!」


ええ、助けます。


横に一閃。


嫌な感触が剣を伝って腕にくる。


そして、鮮血を吹きながら上半身と下半身が別れ、上半身は地面に落ちた。


躊躇はしなかった。人生初めての人殺しだったが、特に何も感じなかった。



「え……」


少女はかなり刺激的だったか、呆然としいる


こんな歳端もいかない女の子を……。久し振りに切れた、コイツら殺すか……。


周りを見渡すと、鎖に繋がれている女性の方々が、布一枚で床に転がされていたのが見えた。


コイツら…!!


「この下郎共が!!俺の目が黒い内は貴様らの好きにはさせない!!その行為万死に値する!!」


見た限り、後、最低、目の前に二人の男と、腕を後ろに回され拘束されている少女がいる。


その二人は、丸腰だったためか即座に逃げだした。


それを確認し、俺の近くにいる怯えている少女に近付いた。


「遅くなってごめん。君達を助けてあげるから。だから次気が付いた時には幸せに」


そう言うと少女は安心したのか、一言だけ言って意識を失った。


「ありがとう……」


ありがとうか……。

俺の自己満足だからな、あまり感謝される謂れはないのだが……。嫌な感じではないな。


それよりも、さっきまで拘束されていた少女の方も気になるな。


俺は、さっきまで二人の男に拘束されていた少女へ、駆け寄った。


「大丈…」


少女に言いかけた瞬間。


「嫌ああぁぁぁァァァ!!!」


少女は俺の顔を見るなり、突然泣き叫んだ。


「来ないで来ないで来ないで来ないで!!痛いの嫌だ!!痛いの嫌だよ!!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだ!!!」


その少女は、泣き叫びながらも俺から距離を距離を取ろうと、体を引きずりながら後退しようとしている。


そんな少女を見て、俺は現実の非情さを実感した。


俺は両手にある剣を消して、少女に近寄り思い切り抱きしめた。


「うわあぁぁぁぁ!!!!!!」


少女の絶叫が、この洞窟に響き渡った。


心が痛い……。


そんな少女を見てそう感じてしまった。


「離して離して!!近寄らないで!!私をこれ以上虐めないで!!」


俺から逃げようと、もがく少女を更に力強く抱きしめた。



なんて非情……。



なんて理不尽……。


なんて……。



心の底から悲しみが沸き上がり、俺は涙した。


「大丈夫だから…、大丈夫だから…!俺は君らを救いに来たんだ…。だから安心して……、安心して良いんだ…!だからね……」


俺は、少女をあやしながらも落ち着かせようと頑張った。


「あぁァァ……」


少女は、しばらくすると暴れなくなり、俺の胸に顔を埋めた。


「よしよし……。大丈夫大丈夫……。」


少女の背を摩りあやしていると、少女は緊張の糸が切れたのか俺の胸の中で寝息を発てていた。


「さて……。逃げて行った奴らどこに行ったんだ……?」


すると、幾つものの足音が聞こえてきた。


「数を揃えて来たか……。まぁ良い……。御礼はしっかりとしないとな……。」


すると入口あたりからゾロゾロと、あの逃げた奴らの仲間だろうが現れた。


片手には武器を持ち、目をギラギラと輝かせながら俺の方に注目している。


「てめぇ、どこのどいつだ!?」


その内の一人が俺に聞く。


俺はそれを無視し、少女の身体を地面に預け、眼を細めながらそいつらの方を向いた。


「気味わりぃ、やっちまえ!!」


そう言うと、何人かがこっちに走り出し剣を振りかざした。


俺はそれを全て素手で受け止め、蹴り飛ばした。


「我が断章此処に至りて、罪悪為すもの我は処する。さぁ……、断罪してやろう。外道が」


俺の不気味な雰囲気に何人かが腰を抜かしているが、それは一瞬。頭首により激が飛び。


「一斉にかかれ!!」


一斉にかかった。


俺は落ち着いた物腰で。


「誰一人逃がさん……」


そして戦いは始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ