第11話
「号外!号外!近年に新しいダンジョンがなんか生えてきました!これは号外だ!号外だ!」
「あ、すいませんこれお願いします~」
「あ、いえ、勧誘とかじゃなくて……」
結果、誰も貰ってくれませんでした。
周りからの視線が痛い。
最初はビラをばらまいていた、そしたらうるさいと警備の方から注意を受けた。
次はビラを大人しく、通る人に渡していく作戦を取ったが誰も取ろうとはしなかった。
一部からは勧誘と間違えられたりもした。
なんか人生鬼ばかりです。
ビラがいけないのか……。
自分の作ったビラをよく見てみた。
『伝説☆地下666階ダンジョンクエスト(クエスト関係ありません)』
後はひたすらスライムを描いた。
なんかよく見ると……スライムが多過ぎて、きしょいです。
仕方ないので裏側から順に貼っていくことにしました。
紙は印刷の様にコピーを取るので、かなり有り余っています。
目標は、壁全てに貼る事にしよう。
嫌がらせもこみで。
路地裏に到着。
最初は薄暗い路地裏に貼る事にした。
「1枚~2枚~3枚~接着剤切れた~~!」
渋々、接着剤をスキルにより製作し作業を続けた。
「誰か助けてくれ!!」
どこからともなく男の助けを呼ぶ声が聞こえる。
「あ~無理~だって忙しいもん(棒読み)」
そう言って作業を続けようとした矢先、誰かが僕にぶつかった。
予想外(少し予想していたが)の展開に、手元にあったビラの数枚が空を飛んだ。
「渡り鳥よ!頑張ってね~」
飛んで行くビラに手を振り、送り出した。
まだ見ぬ果てに。
「さて、次行きますかね~」
少し崩れかかっているビラをしっかりただし直し、次に行くことにする。
「待ってくれ!お願いだ助けてくれ!!」
「だが断る!!」
なんか面倒臭い事に巻き込まれそうなので、この場から早々に退場したいのだが男に足を捕まれ動けない。
「見つけたぞ!!」
叫んだ奴筆頭に、ぞろぞろと集まってきた。
数は大体10人程。
「お願いだ助けてくれ!!」
足元の男は泣き叫びながら僕に縋り付いて来る。
「おい、餓鬼。そいつをコッチに渡せ」
リーダー格の男がそう言った。
「どうぞ」
足元に居る男を差し出す。
「ヒィ!!助けてくれないのか!!」
「だってね~、理由知らないし。
追われている理由が殺人とかだったら目もあてられないし、だから僕は何も出来ない訳。お分かり?」
助けた相手がもし殺人犯だったら、間違いなく他からは共犯と間違えられるよ。
「頭~適当に女掻っ払って来ましたぜ」
その中、一人と四足になって鎖で首輪をされている少女が居た。
痛々しい。
薄い布一枚に生気のない瞳。
どれだげ絶望を味わってきたか容易に想像がつく。
「ほらワンと鳴け!」
しかし、鳴かない。
「この馬鹿犬が!!」
脇腹を蹴ろうとした瞬間。
その脚自体が無くなった。
だって……。
僕の右手にあるんだもん。
「グァ!!!!」
鮮血が飛び散る。
彼女に当たるのは好ましくないのでコッチに寄せておいた。
「覚悟は良いか……?ま、聞いてもどうせ答えは変わらないけどな」
パチン!
刹那。
11人の姿はこの場から消えた。
「この子はどうしようか……。
精神の方はずたぼろだろいし、心のケアした方が良いよな」
とりあえずダンジョンに戻るとするかな。
「助けていただきありがとうございます!!」
足元に居たコイツの事完璧忘れてた。
「僕はこの子と一緒に帰るけど……君にこれを託す」
ビラ数100枚を手渡しした。
「はい?」
「感謝は言葉より行動で表そう。
と偉い人は言いました。よろしく!」
そう言って僕はこの子供を抱え空に飛んだ。