盗賊嫌いのチート君
僕こと『橘辰子』は学校帰りの途中だったはずなのだが……。
「ここどこだよ!?」
いつの間にか真っ白い空間に、僕はただずんでいた。
見た感じ、僕には身体はあるからたぶん死んでないよね?
「すまんすまん、まさか通り過ぎるだけで死ぬとは思ってなかったんだ。許してお願い」
そこには光の球が漂っており、なんとなくそこから声が聞こえてきた気がする。
第一に感想……。
どこのファンタジーだよ!!
しかし、ファンタジー的な物に生きている間で会えるとはマジ感動。今ならビルから飛び降りてもあまり悔いはなさそうだ。
「いやいや、君死んでるからね」
心読まれた!!
「それぐらい出来るからね。君は今魂が丸裸な訳だし、思っている事全部伝わるから」
マジぱぁないっス。
って事は僕死んじゃったわけ!?いつどこで、何時何分に!?
「そこら辺も説明してあげるから、まずは落ち着け」
落ち着けるか!!
「まぁ、君が死んだのは僕がぶつかったからだよ」
何その理由!!
「決して通り魔じゃないんで、そこんとこ勘違いしないでくれよ?」
何気におちゃらける光球に殺意が芽生えた。
「はい!説明終了!そっちから何か聞きたい事ある?」
説明短か!
「じゃ、質問。貴方は何?」
まさか、どこぞみたいな神様とかじゃないよな?
「心で考えて伝えれば良いのに、それじゃ効率悪いよ」
「人間捨てたくないので」
「ま、良いか。とりあえず君の質問に応えよう」
早くしろ!
「そんな急かさないでくれよ。まず僕は神様では無い。実は神様とはあまり仲が良くないんだな~、これが」
神様だったら崇拝してあげたのに。
僕は神様とか大好きだし。例えば某タコとか。
「へぇ~、趣味が変だね」
うるさいわい!一々心読むな。
「はいはい。で、僕は何者かについてだっけ?」
「そうそう」
コイツの記憶は揮発性か?
「僕は『神祖精霊聖装機』の『融合思念体』だよ」
なにそれ、専門用語使われても分かりません。っか使うな。
「なにそれ?」
とりあえず思っているだけでは解決にならないので疑問をぶつける事にした。
「言っても分からないだろうし、あっちの知識なから更に分からないよ?」
『あっち』って何だよ!
「ま、まさか。異世界とか存在しますか?」
いきなり敬語になる僕。
「ん?あるよ。あたり前でしょ」
実はここまできても未だ現実思考だった僕に衝撃の真実。
「まさか、本当に異世界があるなんて。調べたくなってきた」
世界の可能性というもの関して、実はかなり好きだったりする。
異世界か……。
自然と笑みが出てしまい、腑抜けた顔になってしまった。
「異世界。行きたいなら行かせてあげるよ?」
「マジっすか!!」
子供のように勢いよく跳び上がってしまった。僕は今年で高校2年。突然恥ずかしくなってきた。
出来ることなら救いたい。例えそれが空想でも……。
「ふっふ……。君に人を救えるだけの力と、滅ぼせる力を与えよう。じゃ行ってらっしゃい」
今僕の夢が叶う。
「行ってきます」
最後ぐらいは笑顔で……。
「必ず助けるから!!」
今ここに決意を胸に僕は飛ぶ。
当たり前の日常は終焉を向かえ、新たな日常へ僕は足を踏み入れる。
「行ったか……。さて僕は次喚ばれるまでここで寝ていよう……。お休み……」