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第六話 人は見た目によりません……特に近くいる人は……。

 ゴブリンから街娘を救出……したは良いけど……。

「ハル様は何処に住んでいますの?出身はどちら?それに……」

 とまぁこんな具合で質問攻めに合っている……確かに見た目は可愛いが、メルヘンな女性はなんかねぇ……。

 

「とりあえず、街まで後少しだから……あと、顔近いよ……。」

 現在、男は一度やってみたいだろう小娘をお姫様抱っこで街まで向かっている、そして服もビリビリだし上着を貸してるけどなんか萌えないんだよなぁ……あからさまな好意は僕がただ単に警戒してるだけなのかな……サラリーマン時代、1回痴漢冤罪に巻き込まれたし……本能的な警戒が僕を守っているのかもしれない。

 

 そうこう考えていると、街が見えてくる。

 住民はセンシア達にお礼を言っているようだ。

「おお!『マリーダ』!」

「おばぁちゃん!」

 あの時の老婆だ、街娘のマリーダは僕から離れて老婆とハグをする、再会出来て何より。

「旅の者、ワシの命だけでなく孫娘まで……それだけじゃない……この街の流行り病まで治してくれるとは……ワシらはお主に感謝してもしきれん!」

「あー良いすよ。」

 どうでも良いけど早くレナード男爵に会わなくては……いや、捕縛したゴブリンではどうだ……?

 

 すると、馬車が勢いよく走ってくる。

「なんだあれ?」

 馬車は近くで止まり中から人が飛び出してくる。

「皆んな!私が来たわ!さぁ、ゴブリン!観念なさい!」

 正体はエナであり、恐らくゴブリンの襲撃を聞きつけやってきたのだろう。

「どうなってんだああああああ!!」

 俺が来た時と同じ反応をしている、何これ……伏線回収?

 

「驚いた、街の皆んなも元気になっておる……。」

 レナード男爵も馬車から出てきて街の様子を見て驚いている。

「男爵よ、この旅の方達が流行り病を治してくれたのじゃ。」

「なんと、誠か!」

 言わずもがなイベントが進行している。

「旅の方よ疑って悪かった。お主達には力がある、どうか私達に協力をしてくれないか?」

「ま、待って!信じられないわ!お父さん、こいつら何か怪しい!」

 エナがレナード男爵に猛抗議する、まぁ信じるのも無理はない僕達の力はこの世界じゃ規格外なのだから……。

「エナ……旅の者はこの街を救ってくれたのだぞ?活気が戻れば立て直せるチャンスはある!」

 

「そうだよ、エナちゃん!ハルマ様はこんな街娘ただ一人の為だけに助けてくれたんだよ、絶対悪い人じゃない!」

「あんた、その服……大丈夫なの!」

 なんか長いムービー見てるみたいだな……早く終わってくれー。

「私は、ハルマ様に全て(恋心的な意味で)を奪われました。私に生きる意味を教えてくれた大切な人なの!」

 ちょっと待てええええええ!!その言い方は誤解を生むだろ!!

「ん?ハル様……ゴブリンのアジトで貴方がゴブリンになるっていう……そういう……。」

「ちげーよバカ!なんでそういう知識はあんだよ!」

 センシアの情報網ってマジで分からんな。

「マママ、まさか……あ、アンタ……幼気で世間知らずなのをいい事に襲うなんて……変態の所業じゃない!」

 エナが動揺しながら話す。

「オメーも勘違いしてんじゃねーよ!男は皆んな変態だけど、常識はあんだよ!」

 ヤバい奴を除いてな!

 

「と、とりあえずだ!エナよ……この方達に協力する他あるまい……今は一刻の猶予もないのだ……だが、エナの意見も尊重するとお主達が何者なのか……これもまた必然だ……。」

 確かに協力相手が何者かも分からないんじゃ怖いよな……どちらにせよ、探索は不十分だし。この世界の事も知らなくてはならない……彼らに協力するには手のひらを全て見せるのが筋ってもんだろう。


 両名を招き入れるように屋敷まで案内する。

「なんとこれは……。」

 レナード男爵は驚く、屋敷の規模で言えば僕の方が大きい……なんてたってゲームで楽に作れるのだから……時間はかかったけど……。

「あんた!本当に何もンなのよ!こんな豪邸……金持ちしか考えられないわ!」

「一文無しですけどね。」

「はぁ?!」

 ゲーム内の通貨は大量にあるけど、この世界での通貨は持っていない……これは死活問題だぞ……。


 彼らを客室に入れ僕達が何者なのかを端的に話す……信じてもらえるだろうか……。

「つまり、お主は元の世界で死に、この世界にやって来たと……しかも『コンピューターゲーム』?と言われる存在にあったメイドと共に……。」

「コンピュターゲームって何よ……アンタはその存在とは違う訳?」

 予想はしてたけどこの世界にゲームなんていう存在はないもんな……彼らが自分なりに噛み砕いて理解はしてもらったけど納得はいかないだろう……。

「やっぱり怪しい!作り話もいい加減にしてよ!」

「待て、エナ……最近はこの聖王国に不穏な空気が流れておる……なんでも別世界から『架空なる品々』を聖王様は召喚しているようなのだ。」

「それって転生石ですか?」

 僕は持っていた転生石を見せる。

「……な?!何故それを?」

「話を聞く限り、僕がやっていたコンピューターゲームの世界からアイテムを召喚しているとしか思えない。」

 となると僕は誰に『転生召喚』されたんだ……この国の聖王なのだろうか……。

「良いか……なんでもその石は二年前に聖王が幾つか召喚したようなのだ……これが強大な力と分かるや否や帝国に宣戦布告し侵略戦争という選択を取った。」

「ほへー。」

「奴らは他種族廃止を訴える輩……人間至上主義であり人間こそ神により生み出されし生物……はぁ……私達はこれに付き合わせられる運命か……。」

 最終的には国を相手にするのかな……僕の作ったメイド達を守るためなら手段は選んでられなくなるな……。

 

「それにしても、異種族が多いわね……あなたのメイド達……それはなんでなのよ?」

「それは、ハル様のせいへ……。」

「待て!これ以上話すな!」

 センシアめ……お前はプライバシーの配慮を覚えるべきだ……。

「なるほど……ハルマ殿も訳ありのようじゃな……。」

 なんか納得されちゃったよ?!

 

「お主の屋敷はまるで帝国の縮図だな……他文化多種族……この客室へ入る道中見た事ない物もあった。私はどちらにせよこの国は好かんからな……」

 恐らくレナード男爵は異種族を嫌っていないようだ……協力関係は結べそうだな。

「私はまだ認めてないけどね!特にアンタ!」

 エナっていう人頑固だな……友達であろう街娘のマリーダとは正反対じゃないか……。

 

「とにかくよ!アンタはここの主人って言うなら自分の従者ぐらい守らないとダメ!こんな所マルクレイブ卿の私兵にでも見られたら大変な事になるわよ!」

「ああ、昨日会ったよ。」

「はぁ!?」

「なんか『覚えてろ』って言ってたな。」

「何したの!」

「ウチのメイドがボロカス言ってぶん殴っただけだよ。」

 ルトロスは一番最初に作っただけあって強いからなー。

「た、大変よ……それ……。」

「うん、知ってる……。」

 正直怖いです。


 彼らと話し合い現在の情勢や敵の勢力を聞いた……まぁマルクレイブ卿だな……彼は聖王国からの要請で市民自治権を自分達に強制譲渡したけど市民から搾取する納付金の桁が一つ多いらしい。こんなん僕のいた世界だったら大問題だぞ……。なんでも多額の金を搾取するが国に収める額はいつもと変わらないようだ。そこが一つの疑問になる。

 次に勢力図だ、一つは先程壊滅させたゴブリンの群れ……そして盗賊のおっさんが所属しているであろう元ウガタ村住民で発足された盗賊団……。ここまでが僕達でも分かる範囲の勢力図。ここからは未知の領域だ、マルクレイブ卿は多額の金を使い最強の傭兵部隊を私兵として雇っているようだ、それが『ガルバルド傭兵部隊』……帝国発の傭兵部隊だが、彼らは仕事を選ばないのでお国に縛られる事はない。クレアトラ街の流行病にもなった化学兵器も帝国からの密輸兵器の件もあるしマルクレイブ卿は帝国と太いパイプがあると予想できる。次に問題なのが、マルクレイブ卿お抱えの騎士団であり『マルクレイブ近衛騎士団』だ。選りすぐりの兵士と騎士を集めたようで常にマルクレイブのいる城には在中しているようだ。この近衛騎士団にマルクレイブを崇拝する『アリス・マネット』という貴族だ、『ホワイトナイト』という白魔法と物理攻撃のバランスが良い職業だと予測する、似たような職業がFOOにもあったからな……。

 とまぁ長々となったが、最初の攻略対象は盗賊のおっさんだ、彼に会ってこっち側に引き入れよう……悪い人ではなさそうだし……。

 

 ——僕はレナード男爵、エナと共にウガタ村へ直行……早速交渉へ挑む。

「はああああ!!降れって!?無理に決まってんだろ!俺が殺されるわ!」

 当然の反応を盗賊のおっさんはする。無理もない……。

 

「あのなぁ……男爵……この盗賊団のリーダーは俺じゃない……たまたまここで警備を任されて通行人をボルだけの下っ端だ。」

「だから、襲われたのか……。」

 ここに来てやっと理解。

 

「良いか……『オウバン』よ……この村には老人しかおらん……だが、食い繋いでおるのはお主が横領した金額の少しを彼らに分け与えておるからだろ?」

 ちなみにオッサンの名前は『オウバン』だ、どうやらこの村には老人しかいないみたいだが、なんとか食い繋いでいた……それはオウバンが通行人から引ったくった金銭で援助していたからだ、めっちゃ良い奴やん。

「仕方ないだろ……俺にとってこの村は、生まれも育ちもここなんだ……見捨てるなんて出来ない……。」

「そうだろ?私の娘と同じように思い出の地には奉仕したくなるものだ……そうだろうエナ?」

「ええ、オウバン……私……貴方が長い年月を得てずっとこの村を支援してたと思うと尊敬する……私には絶対に出来ないし……私はクレアトラ街以外にもこの村に目を向けるべきだったて……ちょっと後悔してる……。」

「そうだ、オウバン……このハルマ殿と共にこの村を復興させた暁にはお前の罪……いや、ここを離れたウガタ村全員の罪を水に流そう……またやり直せる……共に戦おう……この村の為に……。」

「男爵……皆んな……うう……。」

 

 また、長いムービーが出てきたぞ……感動シーンかな……。

 それにしても上手いよなー、なんかこう……話し上手というか……引き込ませるのが……。

 レナード男爵の『穏やかな顔』を注視するとFOOのUIが出てくる……間違いない、レナード男爵のプロフィールだ……。

 周りを見るに男爵のUIはオウバンもエナも気づいてない……。こういう時に限って意味の分からないタイミングで出るんだよなー。

 

 プロフィールをざっくり見ると衝撃の事実が発覚する。

 えっと……性格が口達者……職業……え?

 少し背筋が凍った……何故なら……。

 職業……『詐欺師プロ』だと……?!

 

 お、お前……プロの詐欺師かよおおおおおおおお!!

 通りで上手い訳だよ!その『穏やかな顔』も作ってるってことかああああああああ!!


 後にエナに聞いたがレナード男爵はクレアトラ街の詐欺師であり前のハルタ家の婿養子として上手く取り行ったのが全ての経緯だ、当主になって自分の存在が不正によって引き起こされたものだとバレて弱小貴族になったという訳だ。

 な、なるほどねー?!


 衝撃の事実を抱え込んだままだが、交渉は上手く行った……人は見た目によらないとはこの事だな……。

 

 レナード男爵達とは別れ屋敷へ戻る……なんとも言えない1日だ……。だが、男爵の力は想像以上かもしれない……いや、彼が裏切る事も想定するべきか……どちらにせよ人間ってこえー。


 第七話へ続く……。

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