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番外編2 掲示板ライター狂気の谷へ……。

 私は阿部理人……FOOプレイヤーであり、ネームは『ネット掲示板キルケイド記者……ゲームドラゴンズメディア』となっている……その名の通り私は記者であり、今回は『ハル』というプレイヤーから許可を頂いた上で取材する……取材ポイントは彼が一人で作ったという屋敷の地下だ……以前、無断で潜入したプレイヤーが居たらしく、彼の作ったNPCによりPKされたとの事……その後ハウジングシステム内の無断侵入者はグリッチ行為という事で運営によりアカウント停止が通達されたと聞いたな……コレらの事から掲示板で広がり認知された訳だが……運よく私達が独占して取材させて頂ける……この好機を逃す訳にはいかない。


 早速『ハル』から渡された地図を頼りにその場所を目指す……。

「ここがそうか……。」

 コントローラを握り画面を確認している……彼のパーティに入ってる訳で今は自由に彼のエリア内に入る事が出来る……。


 屋敷の中に入ると随分と豪勢だ……これを一人で作るとは大したものだ……。

 彼の記したポイントは西棟……行ってみるか。


 西棟は収納のオブジェクトが多い……木箱など質素な物が乱雑に置かれてある……。

 中央に巨大マンホール……パスワードが……これか。


 キーボードに切り替えタイピング……エンターを押すとマンホールが上に上がり螺旋階段が姿を現す。

 

「おお、面白い。」

 このギミック……男なら惹かれるな。


 螺旋階段を下ると、数多くのスライムを発見した……。

「レベルは1……。」

 私の職業は『王道勇者(ストーリクリア報酬職)』『ウォッチャー』『マジックアサシン(混合職)』まぁ、器用貧乏ではあるが……それなりに強い。


 スライムは剣で簡単に倒せる、問題は彼の作ったとされるNPC……一体どんなのがくるか……。

 奥に進めば進むほど、スライムのレベルが上がる……最初から数の暴力で範囲攻撃を誘発……スタミナやらMPを消費する戦法か……スタミナが尽きるとその場に止まらないと回復しない……尽きたまま行動すれば徐々にHPと精神力が減っていく……気をつけなければ。


 次に出てきたのはクラーケン……そしてまた大量のスライム……これはまずいな……。

 全速力でその場を抜ける……正面の曲がり角に差し掛かると柵の扉を発見……セーフポイントだ。

「危ねぇ……。」

 スタミナ、精神力、MPもギリギリ位か……。

 つかさず、アイテムを使い全回復……NPC遭遇前にぶっ倒れちゃ元も子もない。


「ん?」

 だが、部屋に入ってもバトルエリア内だ……まさか。

「なるほど、まんまと嵌められたか。」

 どうやら、ここが本命らしい。


 天井から槍の攻撃を確認……急いで回避ボタン。

 次に正面からの攻撃……奇蟲人のようで下半身がムカデ……当たると毒に掛かる。

「うお、ターゲットの切り替えが忙しいな……。」

 敵は少なくとも5体いると見た、これはヤバイぞ……。

 急いで、解毒薬を使用して柵の扉から出ようとるが、鍵がかかっており出られない。

「どうする……。」

 すると、蛇人のNPCからの攻撃……見事にクリティカルヒットを連続で喰らう……オマケにターゲットのロックを外してくるときた……スキルである『見えざる脅威』は我々プレイヤーからすれば厄介だ。

「毒も治らねぇ……どうなってんだ……。」

 久しぶりにコントローラを雑に扱ってる……ちょっとヤバイかも。


 次に遠距離から伸びる手の攻撃……なんだ、あの袋被ったNPCは?

 とりあえず、距離を取って回復……手持ちのアイテムも少なくなってきた。

「ターゲットが下に……。」

 今度はモンスターのオートマタ……小さい分当てづらい……ターゲットの切り替えが天井と床、遠くにも目を配らないと……一瞬の油断でPKされっちまう。


「また、反応か。」

 今度は背後……堕天使……コレはヤバイな……転生石を使用したNPCには特に注意を払わないと。

 堕天使から魔法が放たれる……終焉の領域か……。

 するとHPが直ぐになくなる……転生石を使ってるNPCだ……プログラム上そんな滅多に攻撃はしない。

 だが、その予想は外れる……今度は堕天使が率先して叩きにくる。

「なんて攻撃力だ、スタミナの消費が……これ以上防御に回ったら確実に……。」

 コントローラに汗がびっちりと付着……持ち手部分が滑りそうだ……。

 堕天使によってスタミナを削られ、奇蟲人の治らない毒で徐々にHPと精神力が削れる……死角から頭に袋を被ったモンスターの攻撃……オートマタは足元を回ってターゲットをずらしてきやがる、蛇人は天井で体勢を崩すのを待ってるのか槍を構え続けている……。


 精神力が二割に差し掛かった時変化が訪れる。

「あれ?」

 コントローラが反応しない……まさか……。

 あのオートマタ……傀儡状態にしやがった……ステータスの状態異常の欄にそのアイコンが描かれてある……。

「負けだな。」

 私のキャラは操られ自害しNPCによってPKされた……こうして私の取材は終わった……。


 最後に屋敷本体の取材を申し込むと快く引き受けてくれた、どうやらこの屋敷はただの建物なので特に変なギミックがある訳ではないとか……どちらにせよ、記事にするには良い素材だ。


 最後に彼へお礼のメールを送り、取材の終了文を送ってパーティから脱退する。


 数日後……掲示板にて内容を載せる。


 主「皆さん、本日もよろしくお願いします。ゲームドラゴンズメディアのお時間です。」

 名無し「88888888」

 名無し「期待。」

 名無し「何コレ、どういうこと?」

 など、心待ちにしてユーザもいれば迷い込んだ奴もいるようで様々なレスが書き込まれる。

 主「今回取材したのはFOOのとあるユーザ……以前問題にもなりました、グリッチ行為をしダンジョンに無断侵入……プレイヤーがPKされました。その例のダンジョンを制作した本人に許可を頂き私自らが潜入、バトルしました。」

 名無し「おお。」

 名無し「良ゲーktkr」

 名無し「FOOはクソゲー、やってる奴は全員論理学者。」

 名無し「あの、例の奴か……MMOなのにソロプレイやってるボッチ……。」

 等々……。

 私は本人から許可を頂いてスクリーンショットを収めた、その写真の数々を貼る。

 名無し「おお!メイドかわいい!」

 名無し「コレは、変態ですわ。」

 名無し「これで抜いてるってマ?!」

 主「NPCは全員で29体いるとの事です……。しかも職業にメイドを必ず持たせている徹底振り。」

 名無し「てか、よく一人でやったのな……これ作るのに莫大な時間とアイテム……そして通貨が必要なのに……。」

 名無し「地下のキャラはちょっとグロいな……屋敷の方は可愛いのに。」

 名無し「こいつ絶対キモオタデブニート。」

 主「尚、本人はダンジョンの体験と一般公開をする予定はないそうです。上部の屋敷も然り。」

 名無し「なんでだよ、勿体無い。」

 名無し「コンテストとかに応募すればそこそこ良い結果行くだろコレ。」

 名無し「まぁ、ぼっちだし。」

 主「気を取り直して本題ですが、私が戦ったのは地下ダンジョンのNPC……無断侵入したプレイヤーがPKされた理由がよく分かりました。」

 PVEの動画を貼る。

 名無し「普通につえーな。」

 名無し「出た、見えざる脅威……これカス。」

 名無し「やっぱクソゲー。」

 名無し「クソゲー言うとるがお前やったことあるんか(FOO民)」


 ——と、この様に私の記事は様々な意見が飛び交う……ありがたくも様々な方が見てくれる。

 私もFOOが好きでプレイしている、私はみんなとワイワイやりながらのタイプで一人でプレイするのはつまらない……だが、遊び方は人それぞれ、迷惑をかけなければ良いのだ。私の掲示板ではいつも他人のやるゲームに口を出す人が多いと思う……人の好きに首を突っ込むのは違う。ゲームは娯楽……特にオンラインでは人を不快にさせてはいけない……。


「……時間か。」

 私はこれより電車を乗り継ぎ会社まで行く……ゲーム関係に携われる仕事が出来て私は幸せ者だ。

 次の電車に乗り換えるため電車を降りて別のホームへ……。

「ん?」

 すると人だかりを見つける。

「おい……人身事故だってよ。」

「おい、どうすんだ……会社に遅刻する……。」

 その言葉を聞いてこの6番線で人身事故が起きたと直ぐに分かった。


 人だかりの隙間から肉片が見える……。


(終)

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