初恋は女の子
朝香小6 11歳 ウケガワ小6 12歳
私は平凡な小学6年生、今恋をしています。相手は違う小学校に通うウケガワくん。背が高くて色白でサラサラの黒髪ショートの男の子。切れ長の目で細く形の整った黒色の眉毛、少し薄めな唇。私は一目ぼれした。
出会いは週3で習っている少林寺拳法。ウケガワくんは茶帯、私は入りたての白帯。新人と先輩が二人一組になってする柔軟体操の相手がウケガワくんだった。腹筋と背筋、前屈はウケガワくんが補助をしてくれた。腹筋と背筋の補助の時、私の足を押さえてくれる。道着なので膝下半分は足が出る。足を押さえる手がいつも冷たかった。その冷たさもキュンとした。白くて長い指だった。私もウケガワくんの足を押さえる番が来る。緊張した。白くて細い足首。私の手は温かいから気持ち悪くないか心配した。ウケガワくんと話すのはそのアップの時だけ、「お願いします。」と「ありがとうございました。」だけ。ウケガワくんは私を見て挨拶をしてくれるが私はまともに見られるわけがなく、斜め下を向いての挨拶だった。真っ直ぐ私を見て挨拶をしてくれる姿もキュンキュンした。ウケガワくんは茶帯なので黒帯の人達と一緒に稽古をする。私は入りたての白帯なので先生や低学年の子たちと基礎練習をする。私は横目でウケガワくんの稽古を見ていた。ウケガワくんは稽古相手の方を見て真剣な顔つきでかっこいい。私の方を見てくれるわけもないのがちょっぴり切なかった。
学校で親友に打ち明けた。「私、好きな人できた!」「え、誰?!同じクラス?」「違う、他の学校の人」「なーんだ、知らない人かー」「習い事が同じで、同い年で白くて細くてかっこよくて…」止まらない私に友達は「はいはい。」と興味なさげだった。でもウケガワくんの事を話せて私は嬉しかったし、やっぱり好きなんだって再確認できた。週3回会うのが楽しみで仕方なかった。段々ウケガワくんの事が知りたくなった。そういえば名前何ていうんだろう?道着の襟のところにウケガワと書いているからウケガワくんなんだろうけど名前は何ていうんだろう?アップの時聞いてみよう…。恥ずかし過ぎてドキドキする。今日こそ!と思っても毎回無理で聞きそびれる。
でも、自分で聞かなくても名前を知る日が来た。その日は月謝袋を先生が返却する日だった。1人ずつ手渡しで先生が渡しに来る。稽古が終わり帯色ごとに整列する。先生が渡しに回る。月謝袋の名前の欄は先生が黒のマジックで大きく名前を書いてくれている。稽古後の先生のお話しも終わり挨拶をし皆は靴箱に向かった。その時、ウケガワくんの月謝袋の名前を見た。
「請川 翔子」。「請川 翔子」という文字が私の胸の奥深くの大切な小さな宝箱に光の速さで刺さった。頭や足、手も止まった。息も止まったと思う。次の日、友達が他校の彼とどうなっているのか聞いてきた。前話した時は反応が薄かったのになぜ今日進展を聞いてくる?!私は答えなかった。女の子を好きになった事を知られたくなかったから答えなかったのだと思う。けど私は好きになって良かったと思っている。




