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トロピカルバナナ二世  作者: 夕凪 瓊紗.com


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②フローズンバナナ襲来



――――精霊の間から戻った俺はオリハルコンのハルきゅんを目一杯愛でていた。


「……と、言うわけでハルきゅんが俺の相棒なんだ、姉さん」

「……でち!」

ハルきゅんをお膝に乗せた俺の目の前にはボンキュッボンの魔族美女がいる。赤紫のロングヘアーにアメジストの瞳、角は金色だ。

みんなから『姉さん』の愛称で呼ばれるクレナイ・アネッサン姉さん。魔王四天王紅一点である。


「あら、いいんじゃない?とってもかわいいわ」

「さすがは姉さん!姉さんなら分かってくれるって分かってた!」

「もちろんよ」

うう、四天王だから強いだけではなく面倒見もいい性格もいいとか最高だな!もはや俺のどストライク。


「それで姉さん」

「ん?」


「姉さんのモリブデンとぼくのハルきゅんはとてもお似合いだと思わないか?」

「えっ!?」

「リブたん?」

姉さんのお膝にちょこんと座っていた幼女……モリブデンの精霊リブたんが反応する。モリブデンも金属の精霊だがあまり性質が明らかになっていない異世界特有の珍金属だ。


「でち?」

「はわわっ!リブたん、お似合い?」

かっわいーいっ!性質とか加工方法とか分かってなくてもモウマンターイッ!かわいいは全てを解決する。

だからねえ、こんなふたりのかわいいを眺めながら俺たちは……。

「姉さん、結婚しよう」

情熱的な瞳であなたを見つめよう。


「やだ、年上をからかっちゃダメよ!だいたい私はサギリくんより200も上なのよ?」

「魔族の100、200はたいした問題じゃあない!」

魔族は成人の16歳まではひとなみだが、そこから徐々に成長速度が遅くなる。そしてだいたい1000歳まで生きるのだ。


「だから姉さんっ」

「んもう、だーめっ」

そんな姉さんもか~わ~い~い~っ!だからこそ俺は姉さんを諦めきれないっ!


「大変です!サギリさま!クレナイさま!」

そこに飛び込んできたのは俺の侍従だ。お……俺と姉さんの夢の時間がぁっ。


「勇者と聖女が攻めてきました!」

ええぇ――――っ!?ドッテーンッ!!ここに来て異世界のお決まり展開かよ~~っ!しかし俺は魔王子。魔族の国の魔王子として行かねばならない。ふぐっ。


何たって魔王の間にいきなり強盗されても困るし、ダメだろ不法侵入だ。

てなわけで俺たちは魔王城の門にやって来た。


「よくぞ来たな魔王!ぼくは勇者エイト・タチバナ・フローズンバナナ!召喚勇者だ!」

確かに顔立ちは金髪黒目の日本人だな。うん、勇者が金髪だっていいじゃないか、金髪の日本人だっている。それに称号がフローズンバナナ……だと!?南国だからこそ、フローズンシャーベット名はみんなの憧れだ!


「私は聖女チェリー・ポップピーアアーメ!勇者さまのためにサポートします!」

え……?あ……?今苗字何つった?


「さあ魔王!覚悟ぉっ!」

勇者が剣を振り上げる。


「きゃっ、いきなり!?」

一緒に来てくれた姉さんがびっくりしている。

「姉さんは俺が守るううぅっ!砕け!俺の鈍器いいぃっ!」

バキイイイインッ!


オリハルコン(※鈍器)は見事に聖剣を粉砕した。


「きゃあぁぁぁっ!!?勇者さまの聖剣がぁっ」

聖女が悲鳴を上げる。


「うそぉっ、折れたぁっ」

驚愕する勇者。俺たちは金属の加護を受けているがお前らは魔法の加護だけ。鍛え……てはいないが素材的に最強のオリハルコンの前では何の意味も持たない。


こう言う時はやはりお国言葉だ。違う地方の言葉でも何だか懐かしく感じてしまうことってあるだろ?


「まあ落ち着け、勇者。まずは話をちゃんとしなさいバナナ」

俺はトロピカルバナナ方言で優しく語りかける。

「誤解があるかもでしょうがフローズンバナナ」

これぞトロピカルバナナ流。南国独特ののんびりまったりしつつも人情に溢れる言い回しだ。


「うーん……まあ聖剣折れちゃったし……そう言えば……魔王は女性ですか?それに人間もいる」

トロピカルバナナは偉大だ。トロピカルバナナで冷静さを取り戻した勇者が問うてくる。聖女は『本気ですか!?』と叫んでくるが少し黙っていてくれ。


「私は魔王四天王クレナイよ」

「俺は魔王子サギリ・ダークメテオヌス・トロピカルバナナ二世。いきなり魔王に会えるわけねえだろ、一国の王だぞ」


「そんな……バナナっ」

「バナナでも何でもっ!これを現代日本に置き換えればいきなり皇居や官邸に押し掛けるのも同じ!」

「な……なるほど、それはいけない!でも何でそんなこと知ってるんだ?」

「俺は前世日本人だ」

「日本から来ました!」


『おっしぇいナカーマ!』

海外で日本人に出会うと途端に信用してしまう日本人の悪いくせ。でもここは異世界、勇者と魔王の無用な争いを防ぐために勘弁な。


「本気ですか勇者さま!相手は魔王の息子!敵ですよ!?」

「けど元日本人!俺は……俺はずっとお風呂に入りたかったんだぁっ!」

こっちってシャワー文化だもんな。


「安心しな。魔王城には風呂がある」

「本当か!?トロピカルバナナ二世!」

「サギリでいいぞ!元日本人のよしみだ。入っていきな」


「ありがとう……!サギリ!」

こうしてお風呂に飢えた勇者エイトを魔王城内へと案内してあげた。

「んもう勇者さまぁっ!このんなのってアリなんですか!?」

……と言いつつも聖女も付いてくるらしい。


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