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南極の北極星  作者: 夜月星野
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第九 なぜ走るんだ

オレは自転車を片道に置く。

靴紐をしっかり結び直し、クラウチングスタートの構えをとる。


もうすぐだ。


すぐ左には、フェンスをはさんで線路が続く。

太陽の帰路を導くように、一直線にのびている。


もうそこだ。


オレは地面を強く蹴り、急行電車と飛び出した。


なぜ走るんだ

そこに道があるからだ


なぜ走るんだ

やりきれないときがあるからだ


太陽の帰りを止めるように、オレと電車は赤ワインをこぼした空へ

ただただひたすらに走り続ける。

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