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南極の北極星  作者: 夜月星野
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第二十三 キャンバスの森

人々がたむろする商店街。

彼らを突き刺す初夏の陽射し。


そんな中、私は見つけた、大きな森を。

この地から、何千マイルも離れている、スウェーデンの森林を。


精霊の宿る青白い木々、活力溢れる深緑(みどり)の葉。

サファイア色の大きな湖。

キャンバスに()かれたその森に、私は一気に吸い込まれた。


なぜだろう。

森に入った私には、「時間」というものがない。

「時」という概念は、この世界には通じない。


でもいいんだ。

時間に追われた日常は、私を疲れさせるだけだから。

日々追われている私には、立ち止まる()は少しもない。


キャンバスに広がるこの森は、そんな私の時間を止めた。

私から、焦りと不安を奪っていく――。





森から帰るとすぐにまた、私の時間は動き出した。

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