21/24
第二十一 八百屋のおっちゃん
「へいーらっしゃい。安いよ、安いよ!」
いつも私は落ち込んだとき、近所の八百屋に立ち寄るの。
日焼けした八百屋のおっちゃんは、
お店のロゴ入りTシャツを着て、
真っ黒のエプロンピッタリつけて、生き生きとして、
お店の中を駆け回る。
暗いおっちゃんは見たことない。
――ねぇ、おっちゃん、
おっちゃんに「落ち込む」って言葉はありますか?
「おねえちゃん、今日はトマトが絶好調だよ!
おまけしちゃうよ!」
目を赤くさせた私に、真っ赤なトマトを薦めるおっちゃん。
ああ、そうか。
活き活きとした野菜といるから、おっちゃんたちも元気なんだ。
肩から重荷が降りたように、
私は体が軽くなるのを感じた。
「一つ、ください!」
帰り道、私の買い物袋には、トマトが二つ入っていた。




