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第十 風
三年前の四月。
あの日もこんな暖かい風が吹いていた。
私は桃色のカーテンに包まれて、この校門を通ったんだ。
――風は、どこから来てどこへ去るのだろう――。
季節、匂い、会話、友人……。
風は、それぞれの思い出を持ち去っては、
時を見計らって帰ってくる。
思い出を返しに、帰ってくる。
「ご卒業、おめでとうございます」
片手に枯木色の証書筒を持ち、私は校門を通った。
今吹いている風は、いつ帰ってくるのだろう。
三年前の四月。
あの日もこんな暖かい風が吹いていた。
私は桃色のカーテンに包まれて、この校門を通ったんだ。
――風は、どこから来てどこへ去るのだろう――。
季節、匂い、会話、友人……。
風は、それぞれの思い出を持ち去っては、
時を見計らって帰ってくる。
思い出を返しに、帰ってくる。
「ご卒業、おめでとうございます」
片手に枯木色の証書筒を持ち、私は校門を通った。
今吹いている風は、いつ帰ってくるのだろう。
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