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第一 覚悟しな
――ピピピピッ。
グリルのタイマーが、終了のチャイムを奏でます。
焼かれた――。
俺はグリルから姿を現す。
所々が焦げた俺は、思わず呟いた。
「焼きすぎだぜ」
でも俺を焼いたキミは嬉しそうに声をあげた。
「ママ、サンマさん焼けたよぉ」
焼かれたぜ、俺。
俺は、澄まし顔の大根おろしともに皿に陣取る。
ピヨヨヨヨー。
俺の体にかかる黒い液体。
染みるぜ。
俺を前にしたキミは、両手を合わせ、俺に言う。
「いただきます」
「召し上がれ」
俺はそう呟くと目を閉じた。
覚悟しな。
悪いが俺は、美味いんだ。




